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商人の準備

 いやほんとに、ほんんっとに!ビックリしたなんてもんじゃないよ?!これは!!

 あのときはた・し・か・に!! 人の姿は見えなかった!


 スキル【洞観】は自分の視界の情報を任意で詳しく知ることができるというもの。といっても、相手のレベルによっては見ることのできない場合もあるけど……。

 もうひとつのスキル【千里眼】は遠くを見通す……まぁ透視に近い感じで、自分の見ることのできる範囲を大きく拡大できる。

 つまり、洞観のスキルを千里眼で広げて、その範囲内にいる生物(())を任意で調べられるようにしたのだ!


(だから、プレイヤーなら私の感知範囲に引っ掛かるはずなんだけどなぁ……)


 はぁ……とりあえずこれについては終わったことなので放置して………後2日(正確には現在が19時なので明後日の正午。つまり41時間後)まで第一の街から出られないから買い物に専念しよう………かな?

 そうそう、この間だけは第一の街~第三の街までの移動は自由に行えるのだ。ウィンドウのイベント用という欄にある、“移動:第三の街フィシーラ”とかを選択すればいいだけだからとてもお手軽だね。


「…ん!………あの街ってフィシーラって言うんだ。―――はじめて知った。」


 ちなみに、拓は現在装備のメンテナンスで第二の街にいる。あそこのフィールドは山岳地帯で自然にできた洞窟や渓谷が多いらしく、金属類や石系のものがよく取れるみたい。だからか、建築・細工・鍛冶が盛んのよう。

 ただ、出てくるMOBは耐久ともに体力が多く、一筋縄で倒せないらしい。ごく稀に物凄く固くて速いMOBがでるみたいで、経験値がたくさんもらえる…………メ○ルス――ムかな?


「そういえば私の装備は…………問題ないね~」


 短剣は3だけ耐久ポイントが減っていたが、全然問題ないでしょう!それよりも、今振り返ってみて思うことがある。

  〈装備〉

 右手:初心の刀

 左手:深血牙の短剣

 頭:なし

 胴:麻の服(上)

 腕:なし

 腰:麻の服(下)

 足:麻の靴

アクセサリー重量:0/10


 これが今の私の装備だ。武器に関してはなにも言うことはない………たぶん。


 問題は防具だ!常に隠しコート(私はそう呼んでいる)を着ていたお陰で気づかなかったけど、装備欄に空白しかない。埋まっている欄も左手以外初期装備だし。刀は……どうなんだろう?


「次買うとしたら防具とアクセかなぁ。あっ、そう言えば冥暗狼のドロップアイテムってなんなんだろう?」


 アイテムポーチを開こうとし―――

「とと、こういう作業は人目のつかない場所でやった方がいいんだっけ。」


 アイテムポーチを(ひら)けるのは持ち主のPLだけだけど、開いてさえしまえば、中身は誰にでもとることはできる。

 仕組みとしては、アイテムポーチは装備品のポーチ以外目には見えないけど、開いているときだけその空間に存在するようになるかんじ。

 だから、開いているところは誰にも見られない方がいいのだ。


「たしか、こういうこともレイラさんに教えてもらったんだっけ……レイラさん様々だねー。」


 ちなみにポーション類と武器・防具は充実している。

 え?ならその防具をつければいいじゃないかって?……ちっちっちっ、これは商品だぜ?それを自分のものにするのは商人じゃないねぇ!(笑)

  ・

  ・

  ・

  ・

「ふぅ、よしお楽しみの時間だねっ!」


 意気揚々とアイテムポーチを開く。種類順にソートしてあるから、ちょっと探すのに苦労するけど………


「“冥暗狼の夜皮”?………これなんて読むんだろう?」


 説明欄を見ても、『冥暗狼の夜闇のごとき暗さを体現した獣皮。』

としか書かれていない。


「手触りは……皮というより布に近いかも?毛はあるけど長くないし、さらさらしているわけでもごわごわしているわけでもないしなぁー。」


 なんというか…()()()()()()()みたい………


「!!―――柄巻きだ!」


 この世界の血の表現って結構リアルにできてて、血とか水とか汗とかそういったものはある程度の時間が消えるけど、戦闘中はそれらが消える時間が大幅に長くなるんだよね。

 んで、リアルにできているっていうのは、血に油?が含まれているみたいで、グリップとかつけないとすぐに武器が飛んでいっちゃうんだよ。

 ヘファイトスさんの作った短剣に【吸血】のスキルがついてたのは、こういうことが理由のひとつと言えるかな。


「確かに、武器自体に布を巻いて滑り止めにするのはありなんだけど……」


 布が血を吸いすぎた結果、布そのものが腐ったり、武器の耐久がなぜか減ったりするっていう現象が起きる。

 グリップつきの手袋・手甲とかつけてもいいんだけど、手袋は布製だから水分を含むと重くなるし、金属の手甲は錆びやすくなる……って、そもそもグリップ力があまり無い。

 手に傷とか負ってたら、状態異常になりやすくなったりもする……本当にリアル?だ。

 だから、吸血のスキルは結構有能だったりする。


「で、ここに魔法文字一覧の本があります。150ページを開くとそこには!………吸血の魔法文字が載ってまーす。ってことはー?」


 冥暗狼の夜皮にこの魔法文字を描いちゃいまーす!


「結果は―――よし、成功だねっ!」


 説明欄をもう一度確認すると、さっきの文章のしたに〈能力〉吸血 が追加されていた。


「後はこれを3mくらいの長さにして………あっ、そうだ!この作業をしている間にポーションづくりも平行させてしまおうか。……商品の武器にも吸血つけてあげようかな……ヘファイトスさんに連絡しとかないと―――」


 さて、拓の用事が終わるまではこうして宿内でできる仕事をしていよう~っと。



 こうして、ルフスの頭の中から買い物に行くという選択肢が忘れ去られたのであった………。



決して初期装備の縛りプレイなんてしてる訳じゃないんだけどねー?

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