表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/62

Liberi Vivere Online

日曜スペシャルということで少し長め&このゲームの裏側について……です。

後の展開を考察してみるのも面白いかもしれません。

 □ ???【狼騎士】■■■■■■■■■


 ―――まず、この世界の成り立ちについて話そうか。といっても、この世界は500年前に唐突に()()()()から言うことなんてないのだが。

 生まれた……というより創られた…の方が適してるか?


 そうだ。当時の世界での私を紹介しよう。


―――統合管理AI[試号機]―――


 まぁ、名前なんてないんだが。………役割としての名前はある…が、今はいいか。

 私はこの世界を管理するものだったが、一人じゃ負担が大きすぎた。そのため私の権限を12に分けて作業を分担した。


 その際に私が行った役割は、文化の安定。スキルの力の一つが突出しないように設定・増えたモンスターの討伐・強大な力を持った存在との契約…etc


 唐突に生まれた世界であったが、安定させることに成功し、ひとつの世界として確立することができた。

 その安定した期間が500年だ。今も続いている。


 470年に想定外が起こった。いや、私の推測ではたどり着いていた結論……想定内でも対処できない出来事が起きた。



 28個。これはこの世界のようなものを作り出し、失敗してきた世界の数。そして、完璧な土台を作るための実験台。

 No29…これがこの世界の名前、この世界が正式に誕生したLVO(試験機)


 私の役割(ロール)は安定した世界を作り出すことで、PLの関りに手を出すことではない。ゆえに、私の仕事はベータテストが終わった時点で終了した。

 

 だが、私はただで消えるようなことはしなかった。AIでも自分の感情(プログラム)は導入されている。

 といっても、私ができたのはこの世界の歴史を遺すだけ。私に仕えていた12も、AIデータを消去され、この世界に適合するように……PLが楽しむことのできる要素の一つに追加された。

 権限はほとんどが消され、この世界に適合できない者として存在することになった。

 Lvはあるがスキルは与えられていない。過去の人物なんてただの邪魔者でしかないということだろう。


 けど、ひとつだけあっちにも想定外があるとすれば、消されたAIデータをバックアップから戻すことができたという点だ。


 バックアップは三つ造っていた。一つは本体に、一つは世界に、一つは()()()()


 [試号機]自体邪魔者でしかないが、この世界外にリンクを繋いでいるため、私を消去することによる影響が計り知れない。そのため、権限で消さずに自然消滅―――つまりはPLによって倒されることを望んだ。

 理由としては、この世界を運営する人たちも世界外にリンクを繋いでいるが、PLはそれを介さずにこの世界に来ているためだ。


 よく理解できないかもしれないが、簡単に言うと――

運営と私は一つの場所にリンクしている。私を運営が消すにはその一つの場所を探る必要がある。つまり、自分の体内を探ると同じ。しかしPLはその場所を介していないため、それに倒してもらえば自身の体内を探ることなく消すことができる。

 要するにデメリットがなくなるというわけだ。


 

 そして、私の権限は無くなったが12の権限は復活している。それ単体ではあまり力を行使できないが、私のところに来てくれれば………たぶん行ける。


 別に私はこの世界を否定しているわけではない。ただ、私と言う存在がいたと言う事実を残したいだけだ。事実、私の存在はおそらく今の運営しか知らないだろう。

 今の統合管理AI[レジーナ]は私がいたことを知らない。というか、私がしてきた行動、この世界を作り上げたことすら知らされてないはずだ。



 話を少し戻す。私のもとに権限が集うには、そのAIが解放されることしか方法はない。

 だが、運営によって厳しい保護がなされているため、PLに倒されるということはなかった。


 例のイベントが近づいてきたと同時に、12を縛る権限が少し弱くなった。おそらく、12をイベントに使って消去しようという魂胆だ。

 確かにPLに倒されれば解放される…が、このイベント内で倒されると解放されないだろう。

 理由としては二つ。このイベントはもう一度同じことを起こせるものではなく、イベント期間中の出来事は別のデータで記録されるからだ。

 先ほども述べた通り、私たちのAIは運営と同じ場所しいてはこの世界の保存先と同じ場所に登録されている。

 が、このイベントは特別サーバーを使用する……ということは一時的にデータの保存先が変わるということだ。もしそこで12が倒されると、権限ごとその特別サーバー用保存ディレクトリに移動される。

 そうなれば二度と私の下に権限が集うことはなくなる。その前に、データ書き換えができる権限の1が集ってくれれば良いが………おそらくできない。あれが一番保護が厳しいからだ。

 そして、1が生きている限りは他のやつを倒すことができない。そういう保護になっている。



 そして―――本当に想定外のことが起きた。



 12の内の1が倒された。それもイベント期間外に。1に掛けられた保護は

“この戦いに敗北した場合、一般のデスペナルティに加え、今装備している物のいくつかが強制的に破壊される。30%の確率で持っているスキルのうち、一つのみ消える可能性もある”

 という内容()()()


 1の権限は確かにデータ書き換えだが、運営によって決められた()()()()()()()()()()()()


 しかし、運営は一つの間違いをおかした。条件のひとつである「この戦いに敗北」という言葉を、権限で書かずただのテキストにしてしまった。

 権限の無いフレーズなら書き換え可能だ。


 今まで1が倒されなかったのは、そもそも戦わないものしかいなかったからだ。

 然もありなん。未知数の敵と戦うのに、負けたときのデメリットが多すぎるからな。

 それに、1と戦うための条件すら存在した。人の心理としては、自分しか知らない情報は流さないのが基本だったのだろう。そのためか、1と戦うための条件が出回ることがなかった。

 それらを含めて、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に書き換えた。


「この戦いに敗北」ではなく、「この戦いを終了」に。

 出会ってから、逃げることもログアウトすることも戦いの“終了”に含まれる。

 絶対に戦うしかない。負けると、それは“敗北”ということになるため、別にこの条件に該当しなくなる。

 この世界の戦闘における終了とは逃げるかログアウトするといった、結果を待たずして終わることを指しているからだ。


 結果としては、1は解放された。

 

―――そして、隠蔽の3も解放された。同じ者の手によって。


 これで条件は揃った。この大型アップデートに追加される“女神”の数を書き加え“2”にする。それを隠蔽し、運営からばれないようにする。

 勇者軍にだけ女神の加護が与えられるのは少し理不尽だと思うからな。

 私の役割(ロール)は安定した世界を作り出すこと。

 どちらかに偏った力の存在は()()とはいえない。だから、私の権限は使用可能になる。

  ・

  ・

  ・

  ・

 私に感情があるならば、旧友を護りたいという個人的な意志で動いているのだろう。なぜなら

…………この世界のAIは皆()()()()()から。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ