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システムを打ち破れ!

日曜スペシャルってことで、少しだけ長いです。

 悩みに悩んだけど、結局わからなかったから拓を頼ることにした。


「で、どう思うー?」

「だから、なにがだよ?……お前の会話にはいつも主語がねぇーんだよ、主語が。」

「初期武器のこと。」

「今度は主語しかねぇっ?!―――うーん……まず、壊れない武器って時点でチートな訳だから、ただ単に強化とかしてバランスを崩されないようにする対策なんじゃないのか?……生産スキルについて気になるなら、いろんなスキルについてかかれた本とかが置いてある図書館に行ってみたらどうだ?」


 はぇ~、そんなものがあったんだ。それならいろんな情報が入手できる!けど…


「それってどこにあるの?」

「あ………第一の街だ。」

「えー……遠いよね?」

「そんなことよりも、だ。第2段大型アップデートが一週間後になったぞ!」

「それってすごいの?」

「お前インフォメーション見ろよ……って俺の役割だったか。――簡単に言うと、LVOのワールドが今の三倍の広さになって、MOBの種類も増える。アイテムの種類も増えて、隠し要素も増えるらしい。でも、今回のアップデートで一番すごいのは“女神”の導入だな。」

「女神?……それもNPCだよね?」

「そうだ。でも、街にいるNPCよりも高度な感情のプログラムを持っていてな―――」

  ・

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 結果、拓の話を纏めるとこうだ。

1.一週間後に大型アップデートが来る。

2.内容は全体的な拡張と女神の導入

3.魔王軍vs勇者軍のイベントがある

4.PLは↑のどちらかを選び、同数になるようにNPCで補完。

5.イベントの詳細は未発表だが、PKのようなものと言われている。

6.拓は魔王軍を選んだ。


 そして今、私は第一の街に来ている。もちろん、図書館だ!


「てきとーな魔術書を取ってみたはいいものの……文字が読めなーいっ!」


 前やっていたゲームでいう、ルーン文字のようなものがずらぁっとかかれている。

 言語系スキルがあれば読めるんだろうけど…


「こうなったらやけだ!これは魔術書。なら、この文字のなかに魔法についてかかれたものがあるはず!」


 そう、しらみつぶしじゃいっ!よくみると、文が短い感覚で区切られているところがある。あと、魔方陣のような絵の下に短くルーン文字?が書いてある。


「よーし、これらを全て書き上げて、MPを流してみるぞ!……おーー!」

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 な、なんとか当たりを引いて、【魔法文字】というスキルと【魔文附与】を得ることができた。しかも、魔法文字に関しては最初からLvMAX(15)だったのだ!

 これが9時間ぶっ通しによる成果である。

 けど……し、死ぬ……頭が…あ、ログアウ…トを―――

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  ・

「はっ!ログアウトするの忘れてたっ!」

「アンドレアさんには連絡したから大丈夫ですよ。ただ、あまり脳に負担をかけないようにしてくださいね?」


 隣から聞き覚えのある声がした……それに私にとっては心地のよいいろんな植物の匂い……

「レイラさんっ?!」

「はい、なんでょうか?」

「え、えっと、なぜ私がここに?」

「図書館でポーションの製造方法とか材料になりそうなものについてよく調べに来ているの。その図書館で懇意にしている方が“気絶”の状態異常で倒れていましたから。」


 あっ………ログアウトしたら拓にめっちゃ怒られる!


「そ、そうでしたか、ありがとうございます!と、ところで今は何時ですかね?」

「?……午後の6時ですよ?」


 ああああぁぁぁぁっ!……終わった…燃え尽きたよ、真っ白にね……。

 よし、こうなったら開き直って徹夜ログインじゃいっ!


「あ、そうだ。レイラさんは勇者軍と魔王軍のどちらを選んだんですか?」

「う~ん、まだ選んでないんですよね…ルフスさんはどちらにしましたか?」


 あっ、まだ選んでなかった!まぁ、決まってるけど。


「私は魔王軍ですね。たった今選んだんですよー」

「と、言うことはアンドレアさんも魔王軍ですか。」


 あれ?何でわかったんだろう?


「ふふっ…悪魔さんですものね?」

「!!…そ、それは若気のいたりってやつで~……言わないでぇー!!」


 さて、お話はおいといて、本来の目的を果たそうではないか!


「ん、ではこの部屋をしばらくかしてあげますので、用が終わりましたらまた呼んでくださいね?」

「えっ!べ、別にいてくれてもいいのですが。」

「んー。この際なので言っておきますね。生産者たるもの、自分の武器である製造方法は見せてはいけないんですよ。それが自分の命なのですから。分かりましたか?」


 は、初めてこんなにもしゃべるレイラさんを見た……真顔で顔を近づけてとくとくと語る…ちょっと怖い。


「わかりました。これからは誰かに見られない場所で作業します。」


 よし、レイラさんが出ていった。教えを守るため、出ていった部屋に鍵をかける。私の家じゃないから罪悪感があるけど…仕方ないよね?


「よし……“初心の刀”は初期武器という性質上、装備から外して3日後に自動消滅する。よって、この作業は中断できない。」


 覚悟は決まった。拓にもメールを送った。ゲーム内から現実の方に連絡できるっていいよね。

 まず、初心の刀の説明を全て確認しよう。


“初心の刀”

神が与えし金属によって作られた、特別な刀。

進化、合成、打ち直し、等の強化は一切できず、三日以上装備欄から外すと消える、最初の武器。威力がない代わりに耐久が無限の刀である。


 そう、“強化”ができなく耐久の概念がない最初の武器。この世界において武器防具を強化するには、

 その武器の材料の質自体を上げるレイラさんの【錬金】、武器と武器を合成させてより強い武器を作り出す薬師・細工師・木工師の【合成】、武器に直接素材を練り込んだり一部の素材を交換する鍛冶士の【鍛冶】といった、固有スキルが必要になる。

 【付与魔術】による能力追加は、武器が生成される前に行わないと反映されないと、生産者の集いという掲示板にかいてあった。


「過去にもいたみたいだしね、初期武器を強化しようとした人は。」


 まぁ、誰一人として成功しなかったそうだけど。それ以来、初期武器は新しい武器を買うまでの繋ぎ…普通のMMORPGと同じ扱いに戻ったようだ。


「私が今から試すのは二つ。新しく入手した【魔法文字】による素材の強化と、手作業での合成。」


 このゲームには固有スキルがあるお陰で、手作業による強化は試したものがいないみたい。例で言うなら、薬師がスキルを使わずに鍛冶をする…のような。

 けど、無意識のうちに実はこれをしていたりもする。私がこれに気づいたのは、≪細工師≫が針に属性糸を通していたのを見たからでもある。

 これは他ならない手作業による()()()()()


 黒狼妃で手に入れたドロップ品は不思議なことに、“黒狼妃の魔石”のひとつだけだった。澄んだ蘇芳色で、暗くも綺麗だった。


「うわぁ~……宝石みたいで綺麗~。」


 この宝石に、図書館から借りてきた魔法文字一覧という分厚い本に書かれた[融合]の文字を描く。


「良かった……書いた跡は目に見えないんだね。」


 見た感じ魔石に変わったところは一切ない。


「後は…この刀に魔法文字が書けるかどうかなんだけど。」


 初心の刀に魔石と同じ文字を描く。


             ―――描けた


「よし!成功できたっ!!」


 慎重に、丁寧に、刀の鐔にある4つの隙間の一つに“黒狼妃の魔石”を嵌めていく。

 鐔の形が魔石が嵌まるように少し変形し、まるで、もともとそこにあったかのように黒狼妃の魔石が入っていた。


「目立たないけど、綺麗。……効果も…成功だね」


 素材の力しか使わなかったけど、まるで黒狼妃が力を化してくれているような気がする。


   “初心の刀”

耐久力:∞

重量:1.2

物理攻撃力:100~150

魔力補整:+50

属性:無属性

クリティカルダメージ:100%

<能力>

【黒狼妃の加護】


参考までに、拓からもらった短剣のステータスを。


 “琥牙の短剣”

耐久力:165/165

重量:0.3

物理攻撃力:45~65

魔力補整:0

属性:無し

クリティカルダメージ:70%


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