表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/62

閑話:運営人の苦悩

ほんとに時間がなかったので、閑話という形で短めのものにさせていただきました。運営さんの視点です。

 私の名前は重松 泰久(しげまつ やすひさ)。8人の運営人を全てまとめる、このLiberi Vivere Onlineを作り上げる運営陣の一人だ。

 サービスの開始当初から今でも人気度は最高を誇っており、社会現象にまでなってしまったこともある。


「しっかし、あと一ヶ月を切ったのか?例のイベントまで。」

『そうですね。各AI搭載のMOBは着々と準備を始めています。』


 いくら全ての情報を纏めるといへども、私には限界というものがある。そのため、今では当たり前となった人間同様のAIを持つ彼女に一部仕事を任せている。

 それは、ゲーム内での準備や仕事である。ちなみに、ゲーム上で彼女は何度か出てきているのだ。

 それに……こんなにもおとなしいのは仮面でもある。

「そう言えば、今日はだいぶおとなしいんじゃないのか?レジーナよ。」

『……大変なことが起きました。』

「大変なこと?」

『黒狼妃ノヴィシムルプスが倒されました!』

 嘘だろ……

「今すぐに緊急集会を開くぞっ!」

  ・

  ・

  ・

  ・

「それではどうするんですか、一ヶ月後のイベントは?」

「後、二週間で完成させて、早めに開催するしかないよな?」

「だね、なんてブラックな会社なんだここは~。」

「うむ……その方針で行くとして、今回は何が問題だったと思う?」


 こうなることを全く予想してなかったわけではないのだ。むしろ予想して、こいつが現れる条件に、非戦闘職であること。LUKが55以上あること。なおかつ、30分以内にウルフ系の敵MOBを50体倒すことが必要になる。


「ちなみに、倒したプレイヤーはどんなやつだったんだ?」

「商人」

「「「は?」」」

「動画はとれてなかったけど、デスカメを見る限り、商人のルフスっていうプレイヤーが廻し蹴りで倒してた。」


 おかしい。確かに、商人ならLUKと非戦闘職という条件は満たせるだろう。だが、圧倒的に火力が足りないはずだ……まさか!


「おい、レジーナ!また贔屓とかしたんじゃないか?」

『あれは…若気のいたりってやつですよ。それに今回はしてません。というのも、彼女が商人の職業を選んだのは選択ミスによるものでしたから……』


 くそっ…大変困った。第一段大型アップデートで魔王軍と勇者軍を追加。そのどちらかにプレイヤーを分けて、この狼ボスを守る側と攻撃する側で分かれさせるイベントが……


「確か、AIを導入した百体のうちLv1からあそこまで強くなれたのは12体でしたよね?」


 そうなのだ。あの十二体は各フィールドを自身の力だけを使って生き残ってきた猛者達なのだ。

 実際、Lvは一番低かったが自身の特徴を把握して、力を使いこなしていたのは黒狼妃である。深淵を護り続けし者を除けば一番強かったのではないかと思う。


「はぁ……代えは利かない…か。これからはこんなミスがないように、今週で各狼のドロップ設定と、クエスト内容の見直し。今回はレイドボスだから、ステージ設定と報酬の設定を終わらしてくれ。」

『では、私は各狼の保護とルフスさんの監視を行いますね…まぁ、街中にいるときは見ることができませんが。』

「あぁ、頼む。後はお前らでさっき言った役割を分担して始めてくれ。この仕事が終わり次第、イベントの内容と中身を詰めていくぞ。」

「分かりました。ランキングの導入はどうしますか?」

「変わらん。そのまま各ランキングのトップには報酬を渡せばいい。」

「え~、じゃあさ、今回で追加される二つ名さんはいないのかな?」

「そうだな、その代わり、一定周期で行われる“試練”をそろそろはじめてもいいかもしれんな。」

「それじゃあ、試練ボスにAIを導入しておきますね。」


 こうして、運営人は各々の仕事がヒートアップしていき、あっという間に修羅場となっていった。


 運営陣が地獄と化す頃、ルフスはまたこのゲームの裏をかこうとしていた……それが裏であるということを知らずに。

自覚がないって言うのが何よりも怖いですね(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ