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COTB Clown On The Battlefield.  作者: 時の雨 終
5/10

第五話

1B-5B

1アイゼン・パーカー(男)

2マーレット・イヴ(女)

3スミス・フォード(男)

4ニール・フォックス(男)

5ジャック・ライト(男)

1C-5C

1ルーク・クライス(男)

2アストラッド・ウェルク(男)

3レア・フロント(女)

4エル・ストガー(男)

5リオナ・イルヴァ(女)

理解の手助けになれば。

『圏内に複数の敵を検知。データベースと照合…E-380、E-379』

「セーフティ解除」

『『『『『セーフティ解除』』』』』

『15秒後に500メートル圏内に侵入』

『そこで全員停止。遮蔽物に身を隠したらチャット音声を上げてください』

「聞こえましたか、十五秒後に停止です」

『はいー』

「マーレットさんとウェルクは索敵を続けてください、その他はそこで作戦会議です」

『『『『『了解』』』』』

「あとDreamer's Utopiaを流しているのは誰ですか、チャンネルを変えてくださいよ」

『……へーい……』

『お・前・か』

『違う!俺じゃない!勝手に流れてたんだ!』

『……マーレット?』

『あら、失礼しちゃうわ』

『この、』


 15秒後、ざわざわと騒がしいチャットの中でパーカーが話していた。


『静かに。今回は目標のE-380の他に379もいるそうだね。聞くところでは379とドンパチやる班はいない…んだっけ?』

『はい』

『じゃあ…幸い2班いることだし、引き離しを行おう』

『一応全員経験済みだったか?』

「そうですね。ただコツを掴んでるのは私とパーカーと…」

『ウェルクさんとライトさんだね』

『行けるか?』

「可能です。皆さん、今回でコツを掴んで帰りましょう」

『じゃあそれで。後は配布されるマニュアルに載ってない現場のマニュアルを配るよ』

『どうやって?』

「実践で身をもってして、でしょうね」

『頼りにしてるぜ、隊長さん』

「善処します」

『準備は良い?alias_6を立ち上げたら、それぞれ指定の座標について待機。カウント3で行くよ』

『alias_6を起動します』

「3、2、カウント、ゼロ」


 パワードスーツの駆動音を置き去りにするが如く走りだした彼らは、瞬く間に別れ慣れた手つきで座標が指す位置へと移動する。


「こちらルーク。持ち場に付きました」

『早いな。こちらライト、同じく』

『アストラッド、到着した』

『アイゼン・パーカー。僕より後は連絡する必要はないよ』

『こちらエ…おっと』

『以後B、C班隊員を順に1B、1C…と呼称』

『3C、5C、2B、4B、斉射』

『『『『了解』』』』


 刹那、世界が光に包まれ、幾本もの銃弾やエネルギーが尾を引いて敵へと肉薄する。

 それは相手が気付く間もなく着弾し、爆発し、そして戦闘の始まりを告げる轟音となった。





「初弾全弾命中。これで3日連続ですか」

『交戦開始』

『敵損害:E-379[反応速度低下]:E-380[内部露出]』

『ラッキー』

『いや、アンラッキーだ』

『脅威[15]を検出』

「300m、キルレンジですね」

『3C、ポイント2へ移動します』

『1C、2C、3B、吶喊』

「了解」

『アイサー』

『了解』


 告げられる敵損害情報を尻目に目標へ向けて接近を開始する。

 地面をこれでもかと踏みしめて加速しながら銃を取り出し、構えた。


『脅威[36]を検出』


 情報が届いた瞬間に右へ踏み切り、ロールで射線を回避する。

 銃弾は自分を掠めて突き進み、着弾し、地面を抉る。

首を僅かに動かして自分にここ数秒でやって来る脅威が存在しないことを確認し、加速しながら敵に接近していく。


『150m、敵ECMにより一部の機能が使用不可です』

『3C、ポイント2に到着しました』

「2クリップ分を打ったら2Bとチェンジして下さい」

『了解』

『こちら2B、1分後に用意ができる。間に合うか?』

『問題ありません』

『5C、4Bと合流。準備完了』

「タイミングは自分で見計らって斉射。2C、タレットの展開は」

『完了した』

『1B、2Cの援護に向かう』

「その他は遊撃を。カバー重視で言ってください。4C、5B、二人は回線を04に移動」

『了解』『了解』


『Switch to 04 line...』


『……んで、話は?』

「貴方達2人でE-379の引き付けをお願いします。火力マックスで敵攻撃力を全てそちらに向けさせ、それを連絡があるまで保って下さい」

『ということは…「キルゾーン」が増えると?』

「ええ。ほぼ隙間無く」

『……了解した。善処する』

『ああ、5B、回線はそのままで。2人専用回線に設定する』


『Return to 02 line...』


『脅威[3]を検出。脅威度:大』


 榴弾が発射された。誘導式の為回避は難しいだろう。


 表示されたラインに銃口を合わせ、トリガーを引いた。


 爆発させるのは1つだけで良かった。爆発した榴弾が他を巻き込み、誘爆する。

生まれた煙を突っ切って尚も接近し、とうとう50mを切った。




『敵内部で高出力エネルギー反応を確認』




敵を掠めるように通過し、すれ違う直前にとあるプログラムを実行する。




『敵内部の高出力エネルギー反応消失を確認』


『ヒュー。やっぱ隊長となるとこうも違うか』


「私がまだ生きているからそんなことが言えるんですよ」



 賞賛を皮肉で返し、スタッカートをつけながら右へ左へと銃弾による天を分かつ剣を避けていく。


『脅威[2]を確認』


 2とは何だと一瞬首を傾げるが、直ぐに合点がいって左へ強引に舵を切る。

 その一瞬後に2つの濃縮エネルギー弾が通過していき、後ろで恒星のような光を発する。


『通信障害発生』

『ご……有…程…だ……』

「いいです」


 強烈なノイズが走る通信で辛うじて聞き取れた声に返事を返す。

 どうせあっちも聞こえないか「……で…」ぐらいしか分からないだろう。

 かき氷を思いっきりかきこんだ時の様な頭痛に頭を顰めながら、距離を取っていく。


『敵の行動能力低下。30秒後に回復』

『アタリだ。GOGOGO!』


 どうやら敵のクリティカルな部分に損傷を与えられたようだ。十分な距離をとってから振り返り、ここぞとばかりに撃つ。


『隊長、私は2Bと合流すべきでしょうか』

「いいえ。2B?』

『はあい』

『貴方どこでお茶しているんですか』

『3Cの後ろ』

『!』

『ごめんなさいね。驚いたでしょう』

『……チェンジを』

『了解了解』


 会話に意識を傾けながら手の動きは止めずにリロード作業を繰り返し、減りつつあるカウントを横目に見て次の手を打つ。


「残り10秒で敵が回復。展開し、距離を取って待機」

『マズイな。こちら2C、10秒では間に合わない』

『僕のことを忘れていないかい?』

『ああ、そうだ。そうだった』

『タレットは動くんだっけ?』

『二種類。今置いたのは動かないヤツ』

『2Cと1Cはその場で大丈夫と?』

『ああ』

『こちら4C。現在5Bと行動中。2人でそれぞれのフラッガーになるべきと具申する』 

『敵行動能力低下終了』

「5B、4Cと私以外は自分に接近する脅威の排除の場合に置いてのみ火器の使用を許可。2人はフラッガーをよろしくお願いします」

『要は積極的な戦闘を避けろと?』

「ええ」

『下がるよ。今のうちにリロードと罠を用意して』

『『『『『了解』』』』』

『お気をつけて、隊長』

『脅威[250]が接近』


 彼女への最高の皮肉のつもりか軽く驚く量の脅威が検出された。

 前方に意識を戻せば、この世の悪夢と思える光景が迫っていた。

 砲弾の雨。

 隙間など無い。

 つまり回避などできない。


「レートを1800ぐらいにすれば迎撃できますかね…?」


 銃の横に付いたレバーを引いてレートを引き上げ、背中のバックパックから取り出したマガジンを5つほど横に取り付ける。

 レート1800とは1分間に1800発の銃弾が発射されることを意味し、それはつまり一秒間に30発の弾丸が発射されるということだ。

 よって1マガジン50発×6より300発。10秒間は弾幕を形成できる。

 マガジンは撃ち切ると自動的に落下し、横にマガジンがある場合それをスライドさせてリロードを行う。

 筋力さえ許せば理論上は20個のマガジンを横に装着可能で、簡易的なマシンガンが作れる。

 右腕に重量が集中し、重心が前のめりになるがなんとかこらえ、照準を合わせる。


『1C!お前死ぬ気か!?』

「失礼な」


 勝算あっての行動だ。

 トリガーを引く。

 連射速度が余りに高すぎると音が繋がって聞こえるということを聞いたことがあるが、どうやらそれは本当だった。

 まるで恐竜か何かを押さえつけているかのような反動に耐え、予測線上の榴弾を次々と迎撃していく。

 爆炎に飲み込まれ、前も見えなくなるが銃口を上に保つ。

 処理しきれなかった遠方の榴弾の爆発に飲み込まれふっ飛ばされたことを認識した時には、既に榴弾の雨は止んでいた。


「5B、4C。私が2体のフラッガーになっているようです」

『十分にヘイト取ってるんだけどなあ』

『動きがアクロバテッィク過ぎるんだろ』

『良く生きてるな』


 残弾数が今ので2割ほど減った。

 弾がある限りはどうとでもなるが、このペースでは5分と持たないだろう。

 対策を講じなければならない。


『火力は下げられるか?』

「いくらかは」

『頼む。こっちもレートを上げる』





『1Cの損傷個所が20を突破』

『どうせ全部かすり傷なんだろうな』

『じゃなかったら死んでるだろうが』

『だとしても凄い回避能力ですね』


 02(班員、または合同作戦時のグループ全員がいる通信)を何とはなしに聞きながら俺、4Cことエル・ストガーは会話の指す彼の援護という名のヘイト取りをしていた。

 背中に背負ったシールドが忙しなく音をたて、イライラが溜まっていく。

 畜生。後でバックルしっかり締め直してやる。


「4C。キレかけてる所申し訳ないがどちらがどっちの面倒を見るのか決めたい」

「E-379の方が走るな。持久走は好きか?」

「お前よりは苦手だろうな」

「決まりだ」

「どこで攪乱をかける」

「お前にお任せしよう。お前の方が慣れてるそうだからな」

「どっこいどっこいだろ」


 そんなことは今どうでもいい。取り敢えずは現フラッガーの彼を火急的速やかに助けねば。


『敵との直線状クリア』

「じゃねえ方がおかしい」


 直後、俺たちはほぼ同時にアサルトライフルを腰に構え、トリガーを引き絞った。

 2本の銃弾のラインは真っすぐ敵を捕らえ、装甲を穿つ。


『上手いね』

「見てんのか」

『隊長の方。榴弾が別の方向に向かったから当てたんだろうなって』

「情報ありがとうよイルヴァ」

「……だそうだ」

「何がだそうだだ。右に避けるぞ」


 理解しているじゃねえかという突っ込みは無粋か。

 一応シールドを取り出して置き、前方に構える。


『脅威[87]が接近中』

「警告が来た時には既に避けてるとは流石だ」

「新しい脅威だった場合死ぬがな」

「死んだことがあるのか?」

「いや。何人か見てきた」

「あっそ」


 死に関する話題は避けた方が無難だ。

 さて、今最も死にそうな彼はまだ生きているだろうか。

滑り込みセーフ…ですか?

『』の言葉はまだ試行錯誤中ですのでちょくちょく変わります。

追記(2017/10/08/2000)改稿を終了しました。


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