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COTB Clown On The Battlefield.  作者: 時の雨 終
3/10

第三話

[DETECTION](検知)

[INVESTIGATING...INVESTIGATING...](調査中…)

[ALLOW_RECEPTION](受信を許可)

[RECEIVNG...RECEIVING...RECEIVING...](受信中…)

[RECIEVED](受信完了)

[TO_OPEN...>>>DETECT_VIURS_AND_STOP "TO_OPEN"](開封中…ウイルスを検知。”開封”を停止)

[APPLY_THE_PROGRAM "DIAMOND"](プログラム”ダイアモンド”を適用)

[APPLYING...>>>NO_ABNORMALITY](適用中…異常なし)

[APPLY_THE_PROGRAM "Tesla"](プログラム”テスラ”を適用)

[APPLYING...APPLYING...APPLYING...APPLYING...APPLYING...](適用中…)

[END_OF_APPLICATION](適用終了)

[TO_OPEN...](開封中…)

["

1010010101000101010101010101011101010100101010010010001110110101010100101110101001010001010010101011010101010101010010100101010101010101010101001010101010101010101010101010101

EOF(.exe)

"](?EUWT?#?R?QJ?UJUUT??1>>>処理を停止)

[DELETING...>>>DELETED](削除中…削除完了)

[<<<:LOG:>>>DAY:March 8th 2836_"125af565ac5"_](ログ[123af565ac5]に書き込み)

[TRANSITION_TO_STANDBY_MODE](待機モードに移行)

[ONE_IN_THE_BACKGROUND...](バックグラウンドで一つの…)



「何言っているんですか」

「…おお、ルーク」

「寝言があれですか」

「何を言ってたか?」

「何かのプログラムの実行手順をそらんじているようでしたね」

「……仕事のし過ぎか、それとも脳内ハッキングされたか、か」

「前者であって欲しいですが」

「いつもこんな寝言を言ってますよ、彼」

「おや」

「どうやら、そのようだ」


……まさか寝ながらプログラミングをする奴がいるとは思わなかった。



 会議を終え、自分の班の部屋に戻ったルークは椅子に座りながら資料を広げていた。

 彼の視界には共有化された約十ほどのウインドウが視界を埋めている。


『DETECTION』

「お」

「?」

「お前のインターフェースに寄生してる奴がいる。ディスコネクトする」

「大事件じゃないですか」

「それほどでもないだろう。俺ので発見できるからな」


 ルークは自分の目の前のウインドウがいきなり消滅し、『ネットワーク接続が中断されました』という音声が流れた。しかし、無意識の動作で再びウインドウを起動しようとし、途中で止まった手をゆっくりとフロントが下ろした。


「頭ではわかっていたんでしょうけど、無意識の領域でやってしまったみたいですね」

「何回か繰り返す筈です……」


 ルークの隣に座る黒髪の女性の名はレア・フロント。そして彼女の反対側に座る金髪の男性はアストラッド・ウェルク。同じBクラス第3班のメンバーであり、レアが狙撃手を、ウェルクがエンジニアを担当している。

 班は一般的に5人構成だが、残りの二人は今ここにはいない。


「パージ……ここと、ここと、ここか」

『コマンドが正しく実行されませんでした』

「ほう?珍しいな」

「大丈夫ですか?」

「問題無い。切り札があるが……使うようなものであっても困るな」


 ウェルクのウインドウが共有化され、ルークとフロントの目に映ったのは、多数のウインドウと、三か所が赤い枠でハイライトされたソースコードだった。


「これが問題のコードですか」

「不可解な点は3つ。逆コンパイルでソースに浮かぶこと、そして何か掻き乱した様子もバックグラウンドで進行している様子もないことだ」

「甘いウイルスですね。三つ目は?」

「だから既に溶けてしまっているかもしれないということだ」

「既に「何か」を実行し終えていると?」

「分からない。不味いな、思ったより甘くなかった」


 ウインドウが消滅し、ウェルクはブツブツと呟きながら立ち上がってそのまま部屋を後にした。


「ねえ隊長、ウェルクが目を瞑りながら外に出ていったんだけど、何があったの?」

「こんちは、いや、こんばんはか、隊長」


 そのまま入れ違いに入ってきたのは一人の低身長な女性とルークと同じくらいの体格をした男。

 女性の方はリオナ・イルヴァ、男性の方はエル・ストガー。イルヴァは重火器を、ストガーはルークと同じ遊撃を担当している。


「私のインターフェースに感染したプログラムがどうやら酷い曲者だったらしく、上へ提出しに行きました」

「あ、だから二つだったのか」

「隊長、何かこっちに伝える要件ありますか?今すぐ眠りたいんで」

「今ウェルクが持ってます」

「ありゃ」

「眠っても大丈夫だと思いますよ。暫くは帰ってこないでしょうし」

「どうも。では」

「どうするの?」

「何をですか?」

「暇できたよね」

「ああ」 


 いえ、特に問題は。と答えながら彼も立ち上がり、ベッドがある方の扉を開けた。


「お先に失礼します。後でウェルクが来たら起こしてください」

「分かりました」


 扉が閉まり、必然と三人が部屋に取り残された。


「さて、本来俺の他には女性しかいないってのは喜ぶべき状況なんだろうけど、」

「貴方が仕組んだのですか?」

「ほら、それを言われて喜べるはずがないんだよなぁ」

「へぇ」


 エルは大きくため息をつき、そのまま崩れるように椅子に座った。


「俺も眠っていいかな、イルヴァ」

「眠りたいって言ったじゃん」

「じゃあ寝るか」

「何かやることは残ってないの?」

「その場合、俺は眠れなくなる」

「じゃあやれば?」

『今俺は一杯の紅茶と女神のキスを必要としている』

「……?」

「つまり、俺は眠るってことだ」


 そこで彼は机に突っ伏し、会話を無理やり中断させる。

 イルヴァが軽く揺するが、動く気配がない。


「寝たのかな?」

「多分違うと思います。十分ほどで動き出すと思います」

「貴方は大丈夫なの?」

「ええ。あまり疲れるようなことは今日していないので」

「これから何をするの?」

「そうですね、少し話でもしましょうか」

「いいよ」


 フロントはプレートに載っていた菓子や飲み物を置き、自分も椅子に座ってから話しだした。


「ハッカーグループである『A.N.other』については知っていますか?」

「うん。規模が一番大きいグループでしょ」

「そうです。彼らのグループの人数は5万人を越えるとされ、政府が彼らの活動を監視付きで公式に許可している数少ないグループの一つです。実績については、彼らが発表しているものですと…」


 過去20年間で100もの敵性ハッカーグループの無力化に成功、インターフェースのパッチファイルの内3割以上が彼らの指摘によるもので、それによって回避した予想被害額は数兆ドル、また今回の戦争を引き起こした元凶の第一発見者が彼らのグループメンバーであること等、彼らは事あるごとに世界で姿を現している。

 ハッカーグループの内では随分と一般人にオープンなグループであり、様々な依頼を快く引き受けてくれる。彼らの為に正当な理由と政府の正式な承諾、そして政府による監視を受諾すればハッキングを逮捕理由としない法律が生まれた程だ。


「彼らが世界に与えた影響は非常に大きなものでした。」

「……一ついい?世界が相当変わるようなことをやったようだけど、でも私というか、恐らくアイリスの半数以上はそのことを知らないよ?知ってるのは規模が飛びぬけてデカいことだけ。なんで知ってるの?」

「彼、隊長がそのメンバーだからですよ」

「えっ」


 イルヴァは驚いて目を丸くし、次いで彼が眠っているドアの方を見てからフロントを再度見た。

 2度目に見た彼女の顔は静かに笑っていた。


「びっくりするでしょう?私も初めて知った時はウェルクと一緒に問い詰めましたよ、貴方は一体何者かって」

「そしたら何て?」

「『私は『隊長』に言われたことをやっただけです』と。おかしいですよね」

「待って」


 隊長?と彼女の眼は質問していた。

 そういえば彼女と今寝ているエルは、ルーク達の同期ではない。

 それでは勿論、前隊長のことなど知らないだろう。


「元々この班は私とルーク、ウェルクの他に二人の隊長と副隊長がいたのですよ。でもその二人は行方不明になった。そのため貴方達がここに配属されたのです」

「………」

「昔、別の惑星でのとある任務がありました。それは1~10班の隊長と副隊長だけが招集され、重要人物を敵の拠点から取り返す任務でした。彼らはその惑星に向かう途中、敵に発見されて襲撃を受け、彼らを乗せた宇宙船は墜落、それ以降連絡はさっぱりです」

「行方不明だと…生きてるの?」

「どちらの確証もありません。彼ら程の実力者なら生き残ってるかもしれないし、宇宙空間に放り出されたのなら生きている筈がないし、と」

「考えてみれば、私達が中途半端にここに入るのって何かしらの欠員がないと入れないんだよね。ごめん、知ろうとしなかった」

「これから知るといいです」


 彼女はここで会話を切った。

 言葉に違和感はなかったが、それに感情が欠落しているようにも思えた。

目標の為に字数は少ないですが投稿。

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