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5話・軽戦士との戦闘

 軽戦士とのチュートリアルを始めると広い部屋に出た。20mほど離れた位置に革鎧を着て右手に剣を握り、左手に盾を張り付けたいかにもな軽戦士がいた。

『これより軽戦士との戦闘を始めます、最初に相手の強さを弱、普、強、超、極の5段階から選んでください』

「あれ?たしかβテストでは強さの調整とかできなかったよな?」

「あった方がいいと判断されたんでしょうね」

「極がβテストの時の強さだろうな多分」

 まあ、とりあえず極を選ぶ。基本的に俺も軽戦士に分類されるので極と同じことをやれば確実に強くなれる。

『それでは戦闘開始まで5・4・3・』

 戦闘開始前に獣精術を使用し、敏捷薬を飲み、コロウタを部屋の隅に移動させ、背負袋を捨て、両の手に毒を塗ったナイフを構える。

『2・1・戦闘開始!』

 開始と同時に相手は脇下に隠してあったスローイングダガーを投げつけてきた。

 避けると、こちらに軽戦士は《ダッシュ》で走りこんでくる。

 相手と同じようにナイフを投擲して隙を作ろうとするが、盾で弾かれ牽制にすらならない。弾かれたナイフを糸で手に戻すと、リーチ差と突進力を最大限に生かした突きを軽戦士は繰り出してくる。

左右に避けても追撃される、後ろに引いても背後の壁に追い込まれる。

 選ぶべきは前進、こちらも《ダッシュ》を使用し相手の懐にナイフを構えながら飛び込む。

 狙いは心臓。半端な避け方では肺を貫きやはり重症、完璧に避けようと思えば体制を崩さざるを得ない。

 だが相手は盾を振り上げこちらのナイフを持つ右腕をはじいた、だがまだ左のナイフが……

 ゴス!

 衝撃とともに視界が揺れた、何が起きた?

盾は右腕をはじいたから使えるはずがない、相手の右腕は剣を握っているから攻撃が来るはずがない、ハイキックはあの態勢からは不可能、頭突きが来るほどには密着はしていない。

 傾いていく視界の中で相手がこちらへの追撃のために右腕をはじくために使用した盾を振り下ろしてくるのが見えた。

 何とか地に体を投げ出して盾は避けれたが、そのまま馬乗りになられる。

 やばいと思ったとき、最初の衝撃の正体に気付いた。

 相手の右腕が空いているのだ。

剣を捨てて《格闘術》で殴ってきていたのか……まあ、今更気づいてもどうしようもないのだが。 

抵抗はするが腕を抑えられた俺の胸に軽戦士が腰から引き抜いたナイフが突き刺さりヒットポイントがすべて消え去った。

『あなたの敗北です、再挑戦しますか?』

 そう聞いてくるチュートリアルを無視して仲間たちとの相談に入る。

「完敗だな」

「まあ、そうだな」

 1号に言われて戦闘内容を確認してみるが良くないな、はっきり言って一方的だ。

「どこが悪かったか検討してみましょう」

「はい、まず先手を取られたのがまずかったと思います」

「あれは油断の一言で済むが俺としてはそのあとナイフを簡単に弾かれたのが一番きつかったな、あそこで崩すことが出てきていれば少なくとも状況をよくできてた」

「今回の戦闘をβテスト時のチュートリアルと比べるたんだが、パワーアップしているぞたぶん。βテストでは剣を捨てて迎撃なんてマネはやってきていない」

「なるほど、βテスト時の強さを前提に戦闘を組み立てて負けるわけだ……戦闘方面では学ばせてもらうとして、装備方面からの改善アイディアはあるか?」

「接近戦でのリーチが短すぎる、攻撃に重さが足りない、この2つが問題ね。だから簡単に距離を詰めても先に攻撃できるし防御もできるから脅威ではないと判断されているのではないかしら?」

「これなんてどうです、ショートスピア。軽武器で射程があって、重さもありますし、投擲も可能ですよ」

 4号に言われてショートスピアのデーターを見る。いろいろと考慮してみるが悪くなさそうだ。

「なるほど使ってみるか」

 ナイフ3本と交換して手に入れた長さ70cmほどのショートスピアを構えて少し振ってみる、当然だがナイフより長く重い。

様々な動画から使い方を学んでおく、このゲームのプレイ動画や槍術の動画、また使い方が近しいであろう薙刀や杖術の動画、さらにはアニメや漫画で似たような武器を使うキャラクター。

 それらをマネしながら、ある一点からからある一点までの到達速度、予備動作の少なさ、相手からみた避けやすさ、糸を絡めての展開、装備の応用、それらを総合的に判断して6579万8924通りのシミュレーションの中から優秀と判断できた100の動作を採用する。

「しかしショートスピアて暗殺者の武器じゃないよな」

「長いし重いしかさ張る。暗殺者の武器じゃないというのは同感だが《暗殺術》を使う相手は人ではなく巨大なモンスターになる可能性が高いぞ」

 とは言え今からやるのは対人戦……いや対コンピュータ戦だが。

「さて、再戦するぞ」

『再挑戦でよろしいですね』

「ああ」

『了解いたしました、それでは戦闘開始まで5・4・3・』

 右手にショートスピアをいつでも投げられるように構え、左手には残った1本のナイフを握る、肩口に背負ったスリングも確認しておく。

『2・1・戦闘開始!』

 開始と同時にショートスピアを投擲し、軽戦士からはナイフが放たれる。

 ナイフを最小限の動きでよけながら前に出る、こちらの槍を軽盾では受けきれないと相手は判断したのか大きく態勢を崩して避けた。

 態勢を崩した相手に糸で槍を戻しながら、左のナイフを投擲してさらに追撃。

 ナイフは盾で阻まれたがさらに次の動きを限定できた。

 相手の腹を狙い、槍を両手で握り下から上に斜めに突きあげる。軽戦士は前回の俺と同じく前に出ることを選んだ。長柄武器の弱点は懐と相場は決まっている、しかも俺はナイフを引き戻していない。

 接近戦は有利だという判断は正しいが、それはこちらが反撃できない状態ならと前提が付く。

 ゴガ!

 軌道上に来た軽戦士の頭にスリングで加速させた石を叩きつける、スリングというのは布で包んだ石を遠心力で加速させて放つ道具だ。

 当然、放たずに石を直撃させれば人を殺すには十分な凶器になる。

 まだ生きている相手に、槍を突き込む。心臓の位置を狙いたがわず突き刺し、さらにひねりを加えると相手は光の粒になって消えた。

『おめでとうございます、あなたの勝利です。再挑戦しますか』

「しない」

『了解しました、それではこれでチュートリアルを終了します』

 声とともに視界は歪み、元の看板しかない部屋へと戻る。

「お兄ちゃんおめでとう」

「まあ、やったのは完全に相手のマネなんだがな」

 初手の投擲で優勢をつくり、リーチの差を生かして先制、反撃はないと思い懐に来た相手に奇襲。

「同じようにすると強くなれるというのは本当だな、よしおれも重戦士からやろう」

「私は魔法使いからね」

「私は支援型なのでチュートリアルは基本だけにしておきます」

 皆の言葉をチュートリアル聞きながらチュートリアルを進める、次は有利と言われる魔法使いだ。



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