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2話・アバター作成

 ゲームを起動すると、緑の濃い原始を思わせる密林とそこを闊歩する巨大な獣が映る。その後、空の緑の切目に影が映ると空から急降下してきた怪鳥が獣の喉笛を噛みちぎり、その死肉を食らい始めた。

 場所が変わり砂漠、ラクダの群れが歩むが、突如として起きた流砂に群れは飲み込まれて消え去った。

 場所が変わり市街、凱旋のパレードがとりおこなわれるその中心には巨大な竜に跨った男が民衆に手を振っている。

 場所が変わり海中、巨大なサメが魚の群れを食べつくそうとしているところに現れた禍々しいタコの化け物に襲われ苦悶に身をよじって死んだ。

 場所はさらに変わり、はるか昔に滅びたと思わしき遺跡。生きる者は一人もおらず、白骨化した亡骸が散らばる。

 そうやって場所がどんどんと変わって行き、各所の視点が一つに集まりそこが同じ大陸でおこっていることだと解るとタイトルが出てきた。

 Frontier Online ……と。

「凝ってるな、ワクワクが止まらないぞ」

「私はちょっと怖くなってきたんですけど……」

「まあまあ、ゲームなんだし死にはしないわよ……私たちが死ぬっていうのもおかしいけど」

 一緒に始めた仲間たちはずいぶんと楽しそうだ。

とにかくゲームスタートを選ぶと大陸の輪郭は淡く描かれた絵へと変わっていった。

 説明が出てくる。

≪求む冒険者。西ノ海の果てに見つかりし新たなる大陸の調査。僅かな報酬、未知なる危険、生還の保証無し。多くの者は道半ばで倒れ、僅かな者は名誉と賞賛を得る≫

「募集する気あるのかこの広告」

「元ネタになったとおぼしき南極大陸調査員募集の広告だと5000人ぐらい集まったみたいよ」

「……人間ってバカだな」

 進めるとキャラクターの作成画面についた。

 外見には興味がないのでデフォルトでそのまま進める。

「私、外見は可愛くしたいです」

「私は理知的にしたいわね、あと名前的に中東的な顔立ちに」

「俺は凛々しくも屈強な感じで行きたいな」

 他の奴らはこだわる気が満々だ。

 俺一人先に、このゲームの最大の特徴であるキャラメイクに入る。

 なにせ新大陸に行く前にすでに実績があった冒険者という設定なのである程度まで育ててから始められるのだ。

 初期のスキルポイントは1000点、このゲームでは最大限に成長させて3000点だというのだからそれなりに育った後と言える。


 筋力 頑健 敏捷 器用 感覚 知識 魔力操作 精霊語 信仰

 

「人間の能力って大別するとこの程度の数しかないのかね、後半の魔法系を外すと5つか」

「信仰は意志の強さ、精霊語は交渉力とすると7つぐらいじゃない?」

 それでも少ない気はするが組み合わせで無数の能力になるわけだ。

これらの基礎スキルとそこから派生するスキルの組み合わせは膨大だ、キャラクターの作成で1日潰せるという話もある。

「俺の役割分担はサブアタッカーと偵察そして妨害の盗賊系でいいんだよな」

「頼むぞ3号、なんというかお前が一番そういう器用そうなのに向いてそうだ」

 褒められているのかね……

 種族は能力が平均的な人間にする、やるべきことが多いので。

 まずは敏捷に100つぎ込む。スキルLVは最大で200まで上げられるが序盤には50あれば十分、100あれば全く問題ないらしい。

 

 敏捷100LV 自動取得アビリティー 《敏捷》 移動速度と攻撃速度にプラス補正

         選択取得アビリティー1 未設定

         選択取得アビリティー2 未設定


「スキルLVが50ごとにアビリティーという特殊能力を取得できるわけだが……これ何なんだ?一定値まで上げたら何で特殊能力が付くんだ?」

「そこら辺細かく考えてもしょうがないわよ、チェスで歩兵が一番奥まで行ったら何で女王になるのとか考えても答えなんて出てこないわよ」

「きっと功績をあげた女兵士を王様が娶ったんですよ、すてきですよね」

「その説だとポーンって全部女なわけだが……女を前線の壁にするとか鬼畜だな王様」

敏捷でとれるアビリティーは10ほどの数があるが迷わず《ダッシュ》と《機敏》にしておく。

 どちらも敏捷主体で接近戦をする気なら必須といっていい能力らしい。

 アビリティーはスキルLVに比例して強化されていくので、ゲームがスタートしたら主力は200まで上げておきたいが。


 敏捷100LV 自動取得アビリティー 《敏捷》移動速度にプラス補正

         選択取得アビリティー1《ダッシュ》移動速度にプラス補正、スタミナ消費

         選択取得アビリティー2《機敏》行動速度にプラス補正


 さて敏捷を上げたのでそこからの派生がさらにとれる。


 前提 敏捷50LV以上 

    軽武器 格闘 投擲 弓術 軽盾 隠密 舞踏 水泳

 

 軽武器100LV 自動取得アビリティー 《軽武器》軽武器での攻撃にプラス補正

          選択取得アビリティー1《二刀流》両手に軽武器を持つことができる

          選択取得アビリティー2《スラスト》軽武器の攻撃速度にプラス補正


 隠密 100LV 自動取得アビリティー 《隠密》自身の隠密判定にプラス補正

          選択取得アビリティー1《隠蔽》自身以外が行う隠密判定にプラス補正 

          選択取得アビリティー2《忍び足》移動中の隠密判定にプラス補正


 投擲 100LV 自動取得アビリティー 《投擲》投擲物の命中率にプラス補正

          選択取得アビリティー1《ロングスロー》投擲物の到達距離にプラス補正

          選択取得アビリティー2《パワースロー》投擲物の速度にプラス補正


 軽武器と投擲さらに隠密を100ずつ上げ、敏捷と同じ要領で選択取得アビリティーもとった。

 さて軽量武器と隠密を上げたのでさらにとれる派生がでる。

 

 前提 軽武器50LV以上&隠密50LV以上 

    暗殺術


「暗殺術取るわけだけど現実に暗殺術持っているやつがいたらお前らどうする」

「ゲームでなかったら警察に通報するな」

「面倒ごとの気配しかしないので関わらないわね」

「ひょっとしたらいい人かもしれないじゃないですか、コロ先生みたいに」

「あれ改心して先生を始めるより前はかなり嫌な奴だと思うがな」


 とまれこの暗殺術も100で取る。


 暗殺術100LV 自動取得アビリティー 《暗殺術》 クリティカル時のダメージにプラス補正

          選択取得アビリティー1《毒武器》 武器に毒を塗布することができる

          選択取得アビリティー2《薬毒強化》自身が使用する薬と毒の効力を強化する


「暗殺術が薬や毒の扱いに長けるのはたぶんアサシンの語源が大麻ハンシを服用させて恐怖や痛みを感じさせないようにしてから暗殺をさせたという伝説からだろうな」

「むしろ麻薬中毒者にしてなんでも言うことを聞く状態にした鉄砲玉でしかないだろ」

「夢がないこと言うなよ、3号」

 敏捷系で取りたかったものは全部取った、使ったスキルポイントは500点。

次に感覚系に移る。

 感覚系と博学系は他の基礎スキルとはルールが異なる。

 筋力系だと筋力を上げないと重量武器はとれない、重量武器を扱えるだけの筋力がないと駄目だというわけだ。

 だが感覚系は……


 視覚 聴覚 嗅覚 味覚 触覚 魔力覚 これら全てが基礎スキルなのだ。


 考えてみれば当然、眼が悪いが耳は良いという人間は普通にありうる。ちなみに魔力覚は魔力を感じる感覚で魔法使いをやるなら必須だ。

 とりあえず視覚に50を入れて、魔覚にも50を入れてアビリティーを取る。


 視覚 50LV 自動取得アビリティー 《視覚》視覚で見える距離にプラス補正

         選択取得アビリティー1《動態視力》物体の動く速度が遅く見える


 魔力覚50LV 自動取得アビリティー 《魔力覚》魔力の存在を感知できるようになる

         選択取得アビリティー1《由来把握》魔力の由来がわかるようになる


 これで使ったスキルポイントは600点。

「魔力覚てどんな感覚なのだろうな?」

「知らん、持ってないんで」

「それ言ったら視覚も聴覚も持っていないわよ、私たち」

 つぎに知識系、これも感覚と同じく基礎スキルがいくつもある、それも感覚よりはるかに多い。


 動物知識 植物知識 金属知識 魔物知識 悪魔知識 死霊知識 神聖知識 罠知識 薬毒知識 


 これでもまだ一部という多さだがそれでもこれらは取らないと不味いのだ、例えば……


 動物知識 自動取得アビリティー《動物知識》動物カテゴリーのモンスターの能力がわかる。


 金属知識 自動取得アビリティー《金属知識》金属カテゴリーのアイテムの能力が分かる。


 こんな具合だ。

 たしかに動物や金属の知識なんて普通は持ってない専門的なものだろう。

 とは言え全部取るにはあまりに数が多すぎるので博識というアビリティーが全般的な代用になる。


 博識 自動取得アビリティー《博学》 知識とつくアビリティーの代用になる。(効果は下がる)


 大体半分ぐらいの効果らしいがそれでも博学をMXの200まで上げておいたものが一人は欲しいところだ。そうでないとモンスターの能力が分からないうえ、薬効ある植物や貴重な鉱物のことも分からなくなる。

「2号、ちゃんと博学とってくれよ」

「知性派をやりたいんだから当然取るわよ」

「……すごい会話ですよねこれ考えてみると」

 とりあえず俺に必要な動物知識と罠知識、薬毒知識を50で取る。

 

 動物知識50LV 自動取得アビリティー 《動物知識》動物カテゴリーのモンスターの能力がわかる

          選択取得アビリティー1《動物使役》調教済みの動物カを使役可能


 罠知識 50LV 自動取得アビリティー 《罠知識》トラップの種類と仕組みがわかる

          選択取得アビリティー1《罠勘》トラップを仕掛けると効果的な位置がわかる


 薬毒知識50LV 自動取得アビリティー 《薬毒知識》薬と毒、その原材料の種類と効果がわかる

          選択取得アビリティー1《薬毒加工》作成済みの薬と毒を加工できる


 これで使ったスキルポイントは750点。

 あとは魔法系。魔法系は魔力操作と精霊語、信仰でそれぞれ得意分野が違う魔法が使えるようになる。

 俺が使いたいのは精霊語系なので精霊語に50を入れる。

 

 精霊語 50LV 自動取得アビリティー 《精霊語》精霊と意思疎通可能

          選択取得アビリティー1《魔力融通》精霊の持つ魔力を融通可能


そこからの派生は……


 前提 精霊語50LV以上

 精霊術 獣精術 森精術


 精霊術は地水火風の精霊を操る術、獣精術は獣の精霊を操る術、森精術は植物の精霊を操る術。

 

 獣精術 50LV 自動取得アビリティー 《獣精術》獣精術のLVを怪力、頑健、敏捷に振分けられる

          選択取得アビリティー1《獣適正》獣精術に使用する魔力を軽減する


接近戦向きの獣精術に50を入れるとさらに派生がでてくる。


 前提 獣精術50LV以上&動物知識50LV以上

 狼の躰 鷹の躰 熊の躰 蝙蝠の躰 蟻の躰 蜂の躰 蜘蛛の躰 蟷螂の躰 


 この中でアサシン向きの蜘蛛の躰に50を入れる。


 蜘蛛の躰50LV 自動取得アビリティー 《蜘蛛の躰》獣精術中、蜘蛛の糸を手足から使用可能

          選択取得アビリティー1《脚高蜘蛛》移動速度アップ&スタミナ消費大アップ


「脚高蜘蛛ってもしも人間並みの大きさなら時速300kmの速さで走るらしいな」

「想像するのも嫌ですね」

「4号が珍しくシビアだな、虫嫌いか?」

 これで使ったスキルポイントは900点。

 あとは余った100点を頑健と器用に50ずつ入れて完成。


 器用 50LV 自動取得アビリティー 《器用》手先を使う判定にプラス補正

         選択取得アビリティー1《簡易作成》一度作ったアイテムを瞬時に作成可能(品質は下がる)


 頑健 50LV 自動取得アビリティー 《頑健》スタミナの上限値にプラス補正

         選択取得アビリティー1《強靭》ヒットポイントの上限値にプラス補正


「先にどう作るかを決めてきたが人間が事前知識なしでやるならスキルの把握も含めて本当に1日がかりになりそうだなこれ」

「もう終わったのか3号、早いな」

「お前らと違って外観はいじってないからな。さて、次は装備品の選択だが……」

 同じナイフでも素材や形状で価格がピンキリだし魔法がかかっているようなものや、特殊なギミックが仕込まれているものもある。

 とてもじゃないが初心者用じゃないが設定上は中堅冒険者なのだから持っていてもおかしくないわけだ。

 スキル構成からおすすめの装備を選んでもらえるらしい装備自動選択というのを選ぶ。

 選んでみるとまずは冒険者セットという背負袋とそれに入る、毛布、ロープ、食器に保存食が三日分と3L入る水袋、それに火口箱と松明が5本。

メインウェポンには投擲可能な一般的な戦闘用ナイフ、《二刀流》も取っているし投擲前提だからか予備も含めて4本。

まあ蜘蛛の糸で戻せれるらしいが《獣精術》を使ってない状態での戦闘で投げることはあるだろう。

サブウェポンに投擲を補助するスリング。

 鎧は敏捷をさまたげない胸と首筋の急所だけを守る軽いもの。

 細々としたものを多く使うため、ポケットが多くついた収納力のあるマントと服。

《動物使役》で使う猟犬と《獣精術》で使うための蜘蛛の精。

 トラップを解除するための道具一式。

 作成済みの薬毒関係は敏捷を強化する薬とダメージ毒とβテスター達に魔術師殺しとあだ名された目つぶし薬。

「目つぶし薬って名前が間抜けな割に強いらしいな」

「頑健50未満の相手に確実に盲目状態にするんでしたっけ」

「《薬毒強化》をもっていると頑健がもっと高くても効くらしいぞ」

「頑健取ろうかしら……ああ、けどスキルポイントにそんな余裕がない」

「私は頑健高いですよ、歌唱が頑健基準なので」

「俺も高いぞ、耐久系の前衛だしな」

とりあえずこれらの装備は全て取る。マジックアイテムも取りたいところだったが必要なものが多くてもう取れる余裕がない。

あとはチュートリアルで能力に間違いがないかを確かめておくか。

「とりあえず完成した、先にチュートリアルやってるからな」

「わかっていると思うがチュートリアル中でもスキルや装備を変えることができるらしいからな、いろいろ試してみろよ」

「へいへい」


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