プロローグ
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僕は無戒繋柢。十九歳三ヶ月。
身長171センチ、体重59キロ
現在、私立黒沼大学に通っている。
家は都会とは縁が無い田舎のアパートにある。
前までは都会にある両親の家で過ごしていたが、僕は今年からこのアパートに住んでいる。
なぜ、わざわざ都会から田舎にやってきたかは自然が好きだからとか、空気がおいしいからということではない。
それは、僕の存在が家族の中で逸脱していたからだ。
運動ができるとか、頭がいい、そんなことではない。
家族の中で唯一、僕は劣っていた。
僕は頭が悪かったり、運動が出来ないわけではない。極めて『普通』だ。
しかし、家族全員『普通』ではなかった。
父は自衛隊将官。母は世界的に有名な医者。兄は若くもIT会社の社長。妹は数学オリンピック優勝。
『普通』の自分がみっともなかった___。だから、僕はここに住み始めた。
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そんな僕は今日も黒沼大学を目指す。電車に乗って。
現在時刻八時三十分。会社員の出勤時間だ。
しかし、電車の中は静かである。それは当然である。ここは田舎だからだ。
決して、田舎のことを馬鹿にしているわけではない。ただ、都会に比べるとむなしく見えてしまうのだ。
電車の中で僕一人。毎日のことだ。
だが、今日は珍しく厚手のコートを着た男性が乗車してきた。
男は僕の対の席へ座る。こちらを見つめて。
男からの視線に疑問をもちながら、出発の時間を待つ。
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現在時刻九時零零分。出発の時間はとっくに過ぎていた。男の視線は未だ僕に向けたままだ。
これでは、大学に遅れてしまう。まぁそれはそれでいいが。
「電車は出発しない。」
急に話すのはよくないと思うが、きっとこの電車の遅れについてなんか知っているのだろう。
さっきからの視線は言いづらかったから、ついつい見つめてしまったんだな。
「どういうことですか?」
理由が知りたい。理由が分かれば、大学を休むことが出来るかもしれない。
そんな期待を持っていた。
男の次の行動を見るまでは、、、。
「こういうことだよ。」
男は、満面の笑みをしながら、コートの外ポケットから折りたたみナイフを取り出した。
思い出した。この男をニュースで頻繁に見る。
この国では悪い道で有名であり、評判だ。
指名手配犯として。
男に視線を向けられている時点で気付けば良かったと思う。
そう、僕は今、死線の上に立っている__。
文法的に変なとこ等あると思いますが、どうか温かい目で見ていただけるとありがたいです。少しでも、良いと思った方は、どうぞ評価をお願いします。




