迷い
「あ、あの、大丈夫ですか?
病院とか行った方が••••。」
車の男性が、2人の会話を遮るように言った
「ああ、えっと大丈夫です。
この通り怪我もないですし。」
遥がそう言うと男性は頭を下げ
謝るとその場を去っていった。
さて、この幼馴染をどうしようかと
考えながら愛花に目をやると
愛花はもう一度ハルと一緒にいたいと
つぶやいた。
「あのね、愛花。俺を助けるために
島を出てきてくれたことは本当に
感謝してる。でも•••。」
君とは一緒にいることは出来ない。
そう言おうとしたが愛花の悲しそうな顔を
見たら口に出せなくなってしまった。
「私ね、ハルがいなくなってから
島でずっと1人ぼっちだったの。
もう1人はさみしいよ•••。」
「そうは言っても、俺は町田で寮生活
してるわけだし、
愛花は島の高校があるだろ?」
「わかった。島高やめて、一緒に
町田の高校通う。」
愛花がきっぱり言った。
「いやいや、わかってないから。
そんなの一族が許すわけないじゃん。
ましてや一族に破門された
俺について来るなんて•••。」
「ハルは私が、側にいることが嫌なの?」
「そうじゃない。そうじゃないけど•••。」
遥が口ごもると沈黙が流れた。
「私を利用すればいいじゃん。」
愛花がしびれをきらしてそう言った。
「私は自分に近いと認識した人の
未来を予知できるんだよ?
よく一緒にいる人なら、
より鮮明に予知できる。
ね?ハルに不都合なことなんてないよ?」
「違う。俺は愛花のこと
そんな風に利用しようとか思ったことは
ない。
そうゆうことじゃなくて
俺は愛花と一緒にいる資格ないんだよ。」
「資格?そんなもの•••。
私はハルといれればそれで•••。」
愛花が悲しそうにそう言った。
覚悟を決めるしかない遥はそう悟った。
「愛花、ごめん。」
遥が愛花の額に手をかざそうとした。
「ハル、消すの?私の記憶を。」