探しに 2
遥と新巻は急ぎ足で梅原先輩の
教室へと向かった。
「特進クラスの教室って
どこにあるのか知ってんの?」
遥が走りながら新巻の方を見る。
「うん。何回か行ったことあるから。」
遥は新巻のやや後ろに立ってついていく。
この学校は中等部と高等部、それに寮が
あったりとかなり大きな作りになっているので、まだ自分が知らない所がたくさん
あるのだ。
階段を下って下の階へ行く。
しばらくして
特進と扉にかいてある教室に
辿りついた。
先輩の教室なので
このまま入るわけには行かないし、
どうしようかと2人が立ち止まっていると
それを見かねた先輩が話しかけてきた。
「どうかしたの?誰かに用事?」
「あ、えっと。梅原先輩って
いらっしゃっいますか?」
新巻が問う。
「梅原?」
そういうと先輩はわざわざ教室を
見てきてくれた。
「いつもは、教室にいるんだけどな。
今日はどっか行ったみたい。」
「そうですか。ありがとうございます。」
新巻は残念そうに遥を見る。
「ちなみに、どの辺にいるとか心あたりありますか?」
遥が食い下がって聞く。
「いやーわかんないな。
昼だし、食堂とかじゃないかな?」
それを聞くと遥と新巻は
先輩に頭を下げた。
食堂へと向かうことにした。
「一足遅かったな。」
新巻が残念そうに笑いながら言うと遥は
神妙な面持ちで頷いた。
「なんだかな、嫌な予感がする。」
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新巻と遥が特進クラスをさった後
一足遅れて愛花も特進クラスの
前に辿りついた。
「あれ、おかしいな。」
愛花は思わず呟いた。
愛花は昼休みが始まる前に
予知能力で遥と新巻が見知らぬ男女と合計4人でこの特進クラスの教室の中で
話しをしているのを予知していたのだ。
しかし、今その姿は見当たらない。
「おかしい。未来が変わった。」
愛花は周りを見わたす。
やはり遥たちの姿は見わたらない。
「どうかしたの?誰かに用事?」
愛花の様子をみて先輩が愛花に話しかけた。
「えっと、そんな感じです。」
愛花はふうと小さく溜息をつく。
「今日は 訪ねてくる人が多いな。」
先輩が困ったように笑うと
愛花はその言葉に反応する。
「私以外にも誰か来たんですね!」
「えっ、まっまあ。
ネクタイの色が赤だったから2年生だと思うよ。」
「その2年生誰を探しに来てましたか!?」
愛花が食い入るようにたずねる。
先輩はやや、その圧に押されて
後ろに倒れかける。
「ああ、えっと梅原に会いにきたみたい
だったけど•••••。」
「梅原••••先輩ですね!
フルネームで教えてもらえないですか?」
「いや、いいけど••••。
まあ名前ぐらいなら。
梅原 裕志だよ。」
愛花はそれを聞くとニコッと笑った。
「ありがとうございます!」
深く一礼すると先輩も
つられて一礼した。
愛花は人気のない所まで走った。
あたりを見回す。ここなら平気だろう。
大きな学校で助かった。
神に祈るかのように手を組んだ。
「お願い。私の守護霊。未来を見せて。」
その瞬間愛花の頭には
数々の情報が入ってくる。
梅原裕志の影を探す。
見つけた。
梅原裕志先輩ともう一人ショートボブの
美人を見つけた。
愛花が瞳を開けるとめまいが起きた。
あやうく倒れそうになる。
「早く、この土地に慣れないと•••。」
愛花は重い足取りで歩きだした。
ハルが探してるってことは
あの梅原って先輩には、何かあるんだ。
愛花はぐっと前を向いて
屋上に向かって走りだした。
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「裕志。くる。」
ショートボブの少女が呟いた。
「本当に?すごいな。
なんでわかるんだろうね。」
梅原はぐっと伸びをしながら
笑った。
「私、能力使おうか?」
梅原は首を振った。
屋上のフェンスに手をかけた。
「楽しみだな。」