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黎明を祈る者  作者: GM
3/9

黄昏への序曲 続(カーラ)

急いで組合に進路を切り替え受付に向い問い合わせる


「上級資格者のカーラ・イコシェイアです。

中級狩りの依頼を受け本日向かう予定だったのですが訳あって遅れました。

派遣先の検索お願します」


今は当日集合して派遣先を教えられる

というのも

以前中級冒険者案内人がヘマをしたのだろう

その皮をかぶった中級妖魔が紛れ込んだ事があった

上級冒険者でも一人で対中級となると勝ち目がない


そして上級冒険者であるという怠慢から現地を知ってる者は先に向かう奴もいた

単独行動それが中級妖魔の目的だったのだ

力のない人間を食うよりも能力のある上級冒険者を食えばその能力ごと自分の物にできるのだ

知恵をつけた妖魔はそのことを知ったのだろう

紛れ込んだ中級妖魔を見破ること出来ず

2名貴重な上級冒険者と急遽討伐に参加させられた8名の中級冒険者が被害にあった事があった

幸い以前の持ち主の能力を消化しきる前に

あとから合流した上級冒険者と中級冒険者に討伐されたらしいが

悲惨な事件だったらしい

自分がまだ子供の頃の話だが知らない者はいない有名な事件だ


それから不測の事態に対応できるよう皆で合流してから現地に出立という形をとるようになった


受付に冒険家手形を渡す

 

「上級手形ですね。ではご本人及び上級者確認をさせて頂きます。

魔術師は、魔力を、武術師は気を手形に籠めてください」



いちいちあれ確認これ確認などと面倒な事を・・・なんて腹立たしく思いながらも従う


組合にも事情があるのだ




下級冒険者なら、手形必要なくすぐ仕事を紹介してもらえるが便利屋のような仕事しか受けられない


一定の成果を上げると中級から身分を証明する手形発行され

重要人物やお偉いさんの護衛など任されるようになる

護衛する相手の懐具合で報酬が変わってくるが比較的安全なため人気も高く

依頼者よりも依頼を受ける者の方が多いのですぐ無くなる仕事だった


そこで護衛の職に溢れた者は強制で別の仕事を任される


昇級し上級になると、妖魔退治の参加資格がもらえるようになり

格段に命の危険性も上がるためこうして力の確認が必要になってくる


妖魔退治の報酬は国が支払う為高額で魅力的だが

上級に昇格する人数よりも命を落としてしまう人のほうが多いので

融通がきき各国で要人扱いをされるようにもなるが

それだけ最も不足している要員だ


皮肉かな妖魔にも階級があり

下級妖魔は、見目が醜く知恵がないため力が強いだけの捕食者だが、

上級冒険家でも二人ひと組でかからないと倒す事が出来ない

割合からいうと下級狩りが主だがたまに中級妖魔狩りの依頼もくる


中級妖魔は、下級に比べ知恵があり捕食した分だけ魔力も上がる為

見目もその分まともになり言葉も操れるようになってくる厄介な相手だ


依頼がくる度下級か中級の確認をとる前に

貴重な上級資格者を回してたらキリがないので

そこで護衛の職に溢れた中級資格者を派遣して妖魔の能力の確認をとってくるのだが、

下級と中級が区別がつきにくい妖魔が居た場合

「貴方は、言葉がしゃべれる妖魔ですか?」なんて聞くわけにもいかず

遠巻きからの目視報告となるので中には誤報もあったりする


上級妖魔に限っては、対面してすぐ亡くなったが伝説になっている上級冒険者

と当時組んでいた副理事だけ対面したという前例が1件しかなく

その上級冒険者は手足をもがれ副理事は重症で記憶をなくして見つかったらしい

命を落とす前に

「絶対に上級にだけは…あの化け物には手を出すな」と言い残し命を落とした

見た目も能力も未知数な為

余程のことがない限り派遣される事もないという暗黙の了解となっている

 

 

「っふん!!」

 

カーラは、勢いよく手形に魔力を籠める 

 

手形は本人の毛髪で特殊な加工が施されており魔術師は魔力を、

武術は気を籠めることで反応し手形に記載されてる文字が浮かびあがる仕組みになっている

なので本人以外使う事ができない事から立派な身分証明になっていた


「有り難うございました。カーラー・イコシェイア様のご本人確認がとれましたのでお返しします」


「カーラ様宛にアヴェルト様より伝言をお預かりしております」


と恭しく封筒を差し出された


・・・


その場で読まずに破り捨ててやった

中身が気になりはしたが取り敢えず顔を見ないと気が収まらない


乱暴な自分の行動に驚いているお姉さんに対して


「急いでいただけますか?」


と万遍の笑みで催促した

失礼しました!担当のものを連れてまいりますと一礼して

一旦裏に下がるお姉さんを見送りながら待つこと数分


「おや、本当にカーラさんですね?中級狩りはどうされました?」

と聞き覚えのある初老の男性の声に驚き振り返ると

長い顎髭が特徴の全身浅葱色のローブを着た副理事長が立っていた


「ヤクタ副理事長!!あ・・・あの・・・すみません・・・

えと、わ・訳あって遅刻しまして・・・こ・これから向います・・・急いで」

さっきまでの勢いが跡形もなく粉砕した


ヤクタ副理事長は一見穏やかな雰囲気をまとってるが

妙に威圧感があって正直苦手というかなんというか・・・

いつも緊張して会話がどうしてもしどろもどろになってしまう


「ふむ…不思議な事もあるものですね?

中級狩りは今朝何の滞りもなく出発したみたいですが?」

と、然程驚いた様子もみせず頭を傾げて髭を指でとかしていた


「えと・・・代わり・・・補充できたのでしょうか?」

今日でた上級の欠員を補充とかありえない


「いえ?そんな報告はうけてませんよ?」

うーんと依然顎髭をとかしながら頭をもう片方に傾げるそして


「皆さんは北の国ケチュアの港町ダールに向かわれました。

嫌な予感がしますカーラさんもこれから向かっていただけますか?」

掴み所のない副理事は、自分も付いていきますからと付け加えた


初老といえどその魔力は一目を置かれるほど絶大でいまだ現役だ

心強い申し出ありがたいが

普段組合から一歩も出ない重鎮がこうもあっさり同行をするなんて


今日はいったい…


「何がどうなってるんだ・・・」


無意識にこみ上げてくる不安から

自分の小さな命を庇うようにお腹に手を当てていた


アヴェルト無事だよな…?


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