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黎明を祈る者  作者: GM
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黄昏への序曲(カーラ)

冒険家組合の本拠地は、ロッグロスに構えており

全ての依頼は、一旦ここに集められるので利便性も含め冒険者は参集するようになり

四ヵ国からなっているアブラル大陸では一番安全な場所そして結果人も集まり大陸一栄えた国となった

 


『○○ったれ!信じられない!アヴェルトめ!』


短めに切り揃えられた茶髪をガシガシ掻きながら

カーラ・イコシェイアは、眉間に皺を寄せ怒りのまま組合に足を向けていた


同じ冒険家で同階級、魔術師・体術師ひと組の依頼で顔合わせも多く

意気投合し一緒に暮らすようになり生活を共にしてきた恋人は

事もあろうに自分に薬を盛って姿を消していた


絶対ぶっ飛ばす!なんでだよ!?

嫌なら嫌と突き放せばいいじゃないか!

悔しいやら悲しいやら冷静でいられないほど怒りで腹が煮えくり返っていた


姿を消したといっても行き先の検討はついていた

向かった先は、今日の集合場所の組合前広場だろう


昨日上級冒険家の二人は組合の要請で“中級狩り”の依頼を受けていた


“狩り”とは妖魔の討伐の事で

被害を受けた国から要請されて高額な報酬を対価に討伐に向かう


「中級か・・・最近は下級ばかりで久しぶりの依頼だな。

明日の集合まで他の面子は、誰が来るか分からないがカーラ俺の背中は任せたぞ!」

とアヴェルトはカーラの頭を脇に抱えワシャワシャと癖っけの柔らかい髪をかきまわしてくる

女の子扱いされない過度な交流は、とても自然体で自分には心地よかった

「普通は、か弱い女の子を俺が命懸けで守ったげるとか何とか言うところじゃないの?」

と脇固めを難なくといて足を力いっぱい踏みつけた

「バーカお前がそんなタマかよ!守られないと生きていけない女は性に合わないんだよ!」

とでかい図体でわざとらしくイテテと片足を庇う姿が子供っぽくて微笑ましい


中級妖魔ともなると捕食した分だけ魔力も高くなる為

二人ひと組で倒せる下級狩りとはちがって討伐に向かう面子によっては気が抜けない


依頼を受けた日は、必ず酒を買って帰り家でまったり戦の無事を祈って二人で酒を酌み交わす


もしかしたら明日命を落とすかもしれない・・・そう思うと

その晩酒の力を借りてカーラは、ずっと伝えそびれていた事を告白した


「四ヶ月来ていない、妊娠したかも」と、


お互い幼少の頃妖魔に襲われ親を亡くし孤児となって育った分“家族”というのにに飢えてた

が、

時には兄妹・信頼する相棒・親友・恋人のような

丁度良い今の関係が伝えてしまうことで壊れてしまうかもしれないという恐れから

どう反応されるのか怖くてずっとに引き伸ばしていた



「俺が父親・・・?」

アヴェルトは戸惑いながらもカーラのまだ目立たないお腹に手をあて優しく抱きしめてくれ

意外とすんなり受け入れてくれた事が嬉しかった・・・

お互いのぬくもりを抱きしめながらきっと自分達は大丈夫とそのまま眠りについた



目が覚めたらすでに太陽が真上に上がっていて一気に血の気が引いた



やばい!

てか、アヴェルトの姿が見えない!?

とか

起きれなかった自分に腹立たせながらも


あいつめ!なんで起こしてくれなかった!?

とか

考える前に取り敢えず急いで支度をした


中級狩りは案内役を入れ五~六人組で連携を組むため皆が揃わないと出立できない


この依頼には人の命がかかっている

一度も寝過ごしたことなんてないのに・・・なんて甘えた言い訳は通用しない


焦りすぎてバタバタしすぎたのか起きてからやけに喉が渇いていたので

支度をしながら机の上に残っていた酒に手を伸ばした


・・・ん?

酒で鼻が麻痺してたのか夕べは気づかなかったが

容器から微かに果実酒以外の癖のある土臭さを感じ眉をつり上げる


間違いない・・・


冒険家の間ではなじみの深い眠草の香り

これを飲まされた?

でも何故?何の利点があって?


薬に気づけなかった自分の間抜けさと

悲しいやら意味がわからないやらで怒りがこみ上げてきた


あいつめ・・・・!取り敢えずぶっ飛ばす!


やっと目的地の広場に到着して辺りを見渡してみる

出立する時間帯であればまだ露天とかが並ぶ前ですぐ見つけやすいのだが

昼間になっていたために組合前ならではな薬草や携帯食とかいった露天が沢山出ていて

市場程でははないが活気のあるいつもの光景が広がっていた

この人だかりの中でもアヴェルトが立っていればいい目印になる

あいつは、茶・赤・黄・とかいった明るい髪色が主体のこの国で

黒髪に黒目という珍しい色をしていていやでも目立つ上に

きっと若い子とかも見目がいいあいつをみて遠巻きで騒いでることだろう

市場のほうならまだしもこっちのむさ苦しい露天街でそんな集団がいても目立つ

見渡して探してみるがそういった集団もそしてあいつも

他の上級冒険家や中級の案内人らしき人も見当たらない



ありえねぇ・・・置いていかれた?


「うそだろぉ・・・・」



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