第4話 第二連隊長は病弱エリートらしい
――その日、俺はミレリアに案内され、“第二連隊”の管轄区域に足を踏み入れた。
ダガンと最悪な出会い方をしてしまった……
今度はマシな出会い方を心から願った。
そうこうしていると第二連隊の所までたどり着いた。
第一連隊の荒廃ぶりとは違い、ここの空気には張り詰めた緊張感があった。
巡回する兵士は耳が尖った者や獣の尾を揺らす者、そして皮膚の色すら違う者もいる。
「……異種族ばっかりだな」
「ええ、第二連隊は異種族で構成されてる」
「珍しいと言われているけれど……実力は本物よ」
俺とミレリアが歩いている姿を、異種族の兵士たちは見つめていた。。
だが、俺の存在に対する警戒の色は濃かった。
そして、中央の小さな白い建物の扉がゆっくりと開いた。
「――はじめまして、指揮官様」
現れたのは、一人の少女だった。
淡い銀髪、透き通るような肌、そして儚げな雰囲気を纏った息を呑むほど整った顔立ちの少女。
その体には薄手の軍装をまとい、胸元には紋章が刻まれていた。
「私が、第二連隊長のリュミエールです」
「……見た目は、まるで聖女だな」
「よく言われます。病弱な聖女と」
リュミエールは小さく、どこか淋しげに笑った。
「私は身体が弱くて前線には出られません……でも、戦術なら誰にも負けませんよ」
ミレリアが補足する。
「彼女は異種族たちから白の巫女と呼ばれてる」
「白の巫女?カッコいいな」
「数々の戦術で彼らを勝利に導いた天才よ、異種族が彼女にだけは絶対服従してるのも頷ける」
「すごいな……」
「でも、ひとつだけ忠告しておくわ」
ミレリアが耳打ちするように言う。
「彼女見た目に反してセクハラとかには容赦しないわよ」
「前任の副官、からかって触ろうとした瞬間に壁にめり込んだんだから」
「さっき病弱って言ってたよな?」
「……失礼ですが、聞こえてますよ?」
ふわっとした声のまま、リュミエールは微笑んだ。
「私、こう見えても投げ技が得意なんですよ?」
笑顔が怖い。
「だ……大丈夫だ!俺は紳士だからな!」
「本当でしょうか?」
――妙な汗が背中を伝う。
「噂は聞いてますよ、貴方が皇帝の前でパンツを出したと」
「なんでもう伝わってるんだよ!」
リュミエールの笑顔が本当に怖い。
「ふふ……ご安心ください」
彼女の笑顔には、どこか“信頼”が込められているようだった。




