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背中を洗うのは当然です

 家に帰ると——


「ご主人様」


「なんだ?」


「お風呂、一緒に入りませんか?」


「は!?」


「奴隷は、ご主人様の背中を流すものです」


「そんなルールは——」


「私が、今決めました」


「だから、自分でルール作るなって——」


「ダメですか?」


 シエラが、上目遣いで俺を見た。


 ——これ、ずるい。


「……背中だけだぞ」


「はい」


---


 浴室——


 俺は、タオルを腰に巻いて座っている。


 シエラは——


 タオル一枚で、俺の後ろに座っている。


「洗いますね」


「お、おう……」


 シエラの手が、俺の背中に触れた。


 柔らかい。


 そして——


「っ!?」


 背中に、何か柔らかいものが当たった。


「シ、シエラ!?」


「はい?」


「背中に——」


「ああ、これですか」


 シエラが、平然と言った。


「手だけでは洗いにくいので、体で洗っています」


「体で!?」


「はい。こうすると、隅々まで綺麗になります」


 シエラの体が、俺の背中に押し付けられる。


 柔らかい。


 少女の華奢な体が、背中に密着している。


 濡れた肌と肌が触れ合う。


 シエラの小さな胸が、背中に当たっている。


 そして——


 シエラの手が、俺の肩から胸へと滑り落ちてくる。


「シ、シエラ!?」


「洗い残しがないように」


「いや、胸は——」


「ダメですか?」


 上目遣い。


 濡れた黒髪が頬に張り付いて、なんともいえない色気がある。


「っ……」


 ——やばい。


 俺、今、めちゃくちゃ興奮してる。


 相手は十五歳だ。


 中学生だ。


 俺は二十七歳だ。


 アラサーだ。


 十二歳差だ。


 しかも、裸で密着してるんだ。


 シエラの体が、背中全体に押し付けられている。


 小さな胸。細い腰。すべすべの肌。


 シエラのお腹が、俺の背中に当たっている。


 シエラの太ももが、俺の腰に触れている。


 これは——


 犯罪じゃないか?


 ——いや、この世界では合法のはず。


 ——でも、俺の心が……。


 ——俺は異世界に来て、何をしているんだ。


 ——犯罪者になるために転生したわけじゃないだろ。


「ご主人様? 顔が赤いですよ」


「そ、そりゃそうだろ……!」


 シエラが、くすくすと笑った。


「ご主人様、体が熱いです」


「お前のせいだ!」


「私のせいですか? 嬉しいです」


「嬉しいのか!?」


「はい。ご主人様を興奮させられるなら」


「……」


 ——興奮って言った。


 十五歳の女の子に、興奮を指摘された。


 ——死にたい。


 完全に、からかわれている。


 でも——


 シエラが笑っている。


 最初の頃の、死んだ目はもうない。


 いたずらっぽくて、可愛い笑顔。


 ——これでいい。


 からかわれても、いい。


 シエラが笑ってくれるなら。


---


 風呂から上がった。


 俺は——


 完全に、のぼせていた。


「ご主人様、大丈夫ですか?」


「……大丈夫じゃない」


「膝枕、しましょうか?」


「は?」


「奴隷は、ご主人様に膝枕をするものです」


「また自分でルール作ってるだろ」


「はい」


 開き直られた。


「ほら、どうぞ」


 シエラが、膝を叩いた。


 シエラの太ももが、湯上りでほんのりとピンク色になっている。


 すべすべした肌。


 細くて、柔らかそう。


「……」


 俺は——


 観念して、シエラの膝に頭を乗せた。


 柔らかい。


 温かい。


 シエラの太ももが、俺の頭を支えている。


 すべすべした肌。


 細くて、柔らかい太もも。


 ——やばい。


 また興奮してる。


 相手は十五歳だ。


 膝枕されてるだけで興奮するとか——


 俺、本当に大丈夫か?


「どうですか?」


「……悪くない」


「ふふ。よかったです」


 シエラが、俺の髪を撫でた。


 小さな手。


 細い指。


 優しい触り方。


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