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三年後、俺たちの関係はどうなるのか

 ある夜——


 シエラが、俺のベッドに潜り込んできた。


「ご主人様」


「っ!? シエラ!?」


「眠れないんです」


「だ、だからって——」


 シエラが、俺に抱きついてきた。


 薄着のパジャマ越しに、シエラの体が感じられる。


 柔らかい胸が、俺の腕に押し付けられる。


 細い腰が、俺の腰に触れる。


 シエラの太ももが、俺の太ももに絡まる。


「し、シエラ……それは……」


「ご主人様の匂い、好きです」


 シエラが、俺の首筋に顔を埋めた。


「ご主人様……好き」


「っ……!」


 心臓が、跳ね上がった。


 シエラの言葉が——


 頭の中でリフレインする。


 好き。


 好き。


 好き。


 俺の手が——


 シエラの背中を撫でていた。


 背中から——


 腰へ。


 腰から——


「っ——」


 ——待て。


 俺の手が、どこに向かっている。


 これ以上は——


 これ以上は、戻れない。


 俺は——


 手を止めた。


「ご主人様?」


「……悪い。今は、抱きしめてるだけにしよう」


「……はい」


 シエラが、俺の胸に顔を埋めた。


 ——危なかった。


 ——本能に負けるところだった。


 ——俺は、保護者だ。


 ——この子を守る立場だ。


 ——手を出したら、終わりだ。


 ——絶対に、手を出さない。


---


 ある日——


 俺は、ふと気づいた。


 シエラは今、十五歳だ。


 前世だったら、中学三年生だ。


 高校受験の年だ。


 将来を考える年だ。


 ——俺、シエラの将来を考えてるのか?


 ——待て。


 俺は、人手がほしくて奴隷を買ったんじゃなかったか?


 家事を手伝ってもらうために。


 一人暮らしが寂しいから。


 それなのに——


 今、俺が考えているのは。


 シエラの将来。


 シエラの教育。


 シエラの幸せ。


 ——これ、完全に養子を取った気分じゃないか?


 俺、二十七歳で父親になったのか?


 いや、戸籍上は主人と奴隷だけど……。


 心情的には完全に保護者だ。


---


 ある夜——


 一緒に寝ていたシエラが、ふと言った。


「ご主人様」


「なんだ」


「私、いつまでここにいていいですか?」


「……何を言ってるんだ」


「だって、私……奴隷ですから」


 シエラの声が、少しだけ震えている。


「いつか、飽きられたら……」


「飽きない」


「でも——」


「絶対に、飽きない」


 俺は、シエラを抱きしめた。


「お前は、俺のものだ。ずっと」


「……」


「だから、どこにも行くな」


 シエラが、俺の胸に顔を埋めた。


「……はい」


 小さな声。


 でも——


 嬉しそうな声。


---


 ある日——


 ふと、俺は考えた。


 シエラは今、十五歳だ。


 あと三年で、十八歳になる。


 この世界の成人は十八歳らしい。


 ——あと三年。


 俺はそれまで、ちゃんと「保護者」でいられるのか?


 毎日、シエラの誘惑に耐えて——


 毎日、理性を保って——


 毎日、手を出さずに——


 ——正直、自信がない。


「ご主人様? 顔が赤いですよ」


「うるさい……」


「何か考えてました?」


「……別に」


「嘘つき」


 シエラが、にやにやと笑っている。


「大人になったら、何かしてくれるんですか?」


「っ!?」


「今から楽しみです」


「お、お前——!」


 シエラが、くすくすと笑った。


「冗談ですよ。……半分は」


「半分!?」


 シエラの目が、いたずらっぽく光っている。


「ご主人様が待ってくれるなら、私も待ちます」


「……」


「だから——」


 シエラが、俺の頬にキスをした。


「それまでは、これで我慢してください」


「っ……!」


 シエラが、微笑んだ。


「約束ですよ」


「……ああ」


 俺は——


 シエラの頭を撫でた。


 ——三年か。


 ——長いな。


 ——でも、待てる。


 ——この子と一緒なら、待てる。


---


 結論。


 俺は、人手がほしくて奴隷を買った。


 でも、手に入れたのは——


 手のかかる娘だった。


 いや——


 手のかかる娘であり。


 俺を翻弄する小悪魔であり。


 そして——


 いつか、俺の隣に立つ人に、なるかもしれない存在。


 本末転倒もいいところだ。


 でも——


 悪くない。


 シエラが笑っている。


 毎日、俺にくっついてくる。


 毎日、俺をからかってくる。


 毎日、俺を興奮させてくる。


 ——いや、最後のはまずい。


 ——反省。


 でも——


 シエラが幸せそうなら。


 俺も——


 幸せだ。


 そして——


 三年後。


 俺たちの関係が、どう変わるのか。


 それは——


 まだ、分からない。


 でも、きっと——


 悪くない未来が、待っている。


 そう、信じている。


(完)


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