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15話「強奪の術式の解除!」レイヴン視点





俺と祖父は本を頼りに、解呪の儀式に必要な道具を揃えた。


ノエルの部屋に戻ると、クラウスが不安そうな顔で出迎えてくれた。


「クラウス、ノエルの容態はどうだ?」


「それが……先ほどより、顔色が悪く指先が冷たくなっております」


クラウスが目を伏せ、苦しそうに告げる。


「魔力切れの症状が悪化したようだな。

 心配ない」


俺は彼を安心させるようにそう告げ、クラウスにノエルにかけられている術式について説明した。


「そんな……! なんと恐ろしい……」


クラウスが顔を青ざめさせる。


「心配ない。今から俺とお祖父様でノエルに描かれた術式を解呪する」


「ああ、一刻の猶予もない今すぐ解呪の準備に取り掛かろう」


「クラウス、今から言うものを早急に集めてくれ」


「承知いたしました」


クラウスが戻るまで、俺は祖父と共に解呪の準備に取り掛かる。


「旦那様、指示されたものを全て揃えました」


「ご苦労、お前は下がっていろ」


「はい、旦那様」


「お祖父様、解呪の準備が終わりました」


「ああ、早速解呪に取り掛かろう」 


ノエルのパジャマの上半分を脱がせ、彼をうつ伏せに寝かせる。


彼の背中に大きく描かれた術式を確認し、祖父と二人で古文書に記されていた術式の解呪の呪文を唱える。


言葉を紡ぐ度に魔力が吸い取られていくようだ。


ノエルの背中に描かれた術式が青白く光り、空気がそこに吸い込まれ風が巻き起こる。

 

空気と共に俺と祖父の発した呪文に吸収されているような、そんな不思議な感覚に襲われる。


額から汗がとめどなく流れ、身体中から体温が奪われていく!

気を抜くと、魔力ごと体力を根こそぎ奪われてしまいそうになる!


これが禁呪の力か……!


だが、俺は負ける訳にはいかない!

ノエルは祖父とリゼットの為に、少ない魔力で水を出し瘴気を浄化してくれた!

俺はその恩に報いたい!!


生きろノエル!!

そなたを蝕むそんな術式になど負けるな!!


俺は気力を振り絞り呪文を唱え続けた。

呪文を唱え続ける度にノエルに刻まれた術式は青白い光を増し、風が強くなっていく。


カーテンがたなびき、本棚が震え、テーブルの花びんが倒れ、椅子がカタカタと音を立てる。


解呪の呪文が最終章に差し掛かると術式からグオオオオ……! と獣の遠吠えのような音が響いた。


風はますます強まり、棚の本は床に落ち、テーブルや椅子が横倒しになった。


立っているのもやっとだったが、なんとかその場に留まることができた。

俺は大丈夫だったが、病み上がりの祖父は無事だろうか? 


隣に立つ祖父に視線を向けると足元がふらついていた。

倒れそうになる祖父の体をクラウスが支える。


祖父のことはクラウスに任せ、俺は呪文を唱えることに集中した。

古代の文字で記された難読呪文を舌を噛みそうになりながら、唱え続ける。


なんとか呪文を最後まで唱え終え、ノエルに視線を向ける。

ノエルの背中に描かれていた術式が眩い光を放っていた。 

その光は徐々に強さを増していく。

あまりの眩しさに、俺は思わず目を瞑った。


しばらくして、何かが壊れるような「バリン……!」という音が響いた。


目を開けると部屋を包んでいた光は消え、風と獣のような唸り声は止んでいた。

ノエルの背中に描かれていた強奪の術式は、綺麗になくなっていた。


「やった! やりました! お祖父様!!」


「ああ、術式の解呪に成功したようだ!」


祖父は額に大粒の汗を浮かべ、床に膝をついた。


「お祖父様!」


「わしのことはよい。

 ノエル殿の体調の確認を優先せよ」


「わかりました!

 ノエル、無事か!?」


俺はノエルの背中を確認した。

近くで見ても術式の欠片も残っていなかった。


ノエルの体を仰向けにし、心音を確認する。

彼の胸に耳を当てると、心臓がドクンドクンと力強く鼓動しているのが聞こえた。

口元に耳を近づけると、すーすーと穏やかな呼吸音が聞こえた。

彼の手を握るととても温かかった。


「レイヴン、ノエル殿の容態はどうだ?」


祖父が心配そうな表情で尋ねてくる。

祖父の体を支えているクラウスも不安げな顔をしていた。


「お祖父様、クラウス、心配は入りません。

 心音も呼吸も正常です。

 体もとても温かいです」


俺の言葉に二人が安堵の表情を浮かべる。


クラウスが風で倒れた椅子を立て祖父を座らせた。


「そうか、よかった……。

 無事、術式の解呪に成功したようだな」


祖父の瞳には薄っすらと涙が浮かんでいた。


「ノエル様、よろしゅうございました」


クラウスがハンカチで涙を拭った。


ノエル、そなたはこんなにも愛されていたのだな。

彼が無事で安堵しているのは俺も同じだ。


すやすやと寝息を立てる彼の寝顔を愛しく思う。

ノエル、早く目を覚ませ。

そなたの身を案じるものが、こんなにいるのだから。




読んで下さりありがとうございます。

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