麗奈と渚の秘密
教室の前で偶然、麗奈に出会う渚。
彼女は渚をじっと見つめ、一言。
(麗奈)
邪魔よ、どいてくれる?
(渚)
ちょうど良かった。
ちょっと話があるんだ。
ここだとマズいから場所を変えよう。
麗奈は腕を組んで鼻を鳴らす。
数人の取り巻きが近づいてきた。
(渚)
ここで話しても良いけど、どうする?
アンタのご両親が関わっている話なんだが……
目を丸くした麗奈。
(麗奈)
私のご両親?!どういう事?
話があるならはっきり言えば。
(渚)
なら、そうしよう。
麗奈は不機嫌さを明らかにしているが、口には出さない。
(麗奈)
それで、なんの用!(ため息)
(渚)
まずは、ボクはアンタと結婚する事になる。
(麗奈)
はぁ?!バッカじゃない?!誰がアンタなんかと結婚するのよ!
(渚)
それはボクのセリフだ!
君の両親に拉致されて、肉体改造されなかったら、こんな事にはならなかったよ!
一瞬、言葉に詰まった麗奈。
(麗奈)
何の事か知らないけど、今の私はこうしてちゃんとしてるんだから、関係ないわ。
(渚)
これでもか?
渚は服を脱いだ。
渚の身体にはちん●とマン●、そして胸があった。
腰、下腹部、両二の腕、首元に淫紋が刻まれていた。
麗奈は思わず顔をしかめた。
(麗奈)
うっ……気持ち悪い!
そんなに自分の身体を晒したいの?
(渚)
その気持ち悪い身体に肉体改造したのが、アンタのご両親なんだが?
表情を険しくする麗奈。
(麗奈)
冗談でしょ?肉体改造なんて、絶対おかしいわ!
(渚)
その絶対おかしい事が、目の前で起こってんだが?
(麗奈)
だから、私はあなたもおかしいって言ってるでしょ!
キッと睨み付ける麗奈。
(渚)
ボクの身体を見てもか?
(麗奈)
信じないわね。
それに肉体改造に一体何の意味があるのよ!
ますます不快感を強くする麗奈。
(渚)
ボクを逃げないようにする為だよ。
ボクをアンタと結婚させて、パートナー兼性処理道具として繋ぎ止めておく為。
ボクの能力にアンタのご両親は目を付けた。
そして将来、財閥の基盤を盤石にし、更に大きくする為にな。
アンタはボクには如何なる科目でも勝てないだろ?
それに嫉妬したアンタのご両親の凶行さ。
(麗奈)
そんな、バカなこと……
麗奈は否定するのに躊躇いが出始める。
(渚)
下校中にいきなり車に押し込まれ、注射され、意識が戻ったらこの状態だよ。
ご両親は喜んでたよ?その後、性処理道具としての徹底的な教育という名の性的拷問をメイド達から受けた。
半年休んでただろ?その時にされたんだよ。
仕上がりに満足したアンタのご両親は、アンタに引き合わせる為にボクを学校に戻した。
門を見てみな?黒服達が居るだろ?アレが見張りだ。
アンタと婚約した証に指輪を嵌め、手を繋いで出て来ないと処分するってさ。
どこまでもふざけた事、してくれるよね、アンタのご両親。
(麗奈)
嘘だ、そんなの認めない……
青ざめて唇を噛む麗奈。
(渚)
なら聞いてみなよ、アンタのご両親に。
ほら、電話してやるよ。
渚は渡されていたスマホで麗奈の両親に電話する。
麗奈は両親から残酷な宣言をされる。
応じないなら麗奈自身も勘当だと。
スマホを渚に返す麗奈。
(麗奈)
嘘……どうしてこんな事に……
(渚)
それはこっちが聞きたいんだが?
人の人生、何だと思ってんだよ!
麗奈の目から大粒の涙が零れ落ちる。
(麗奈)
わ……私……私は……
(渚)
まぁ良い。
こうなったらアンタの財閥、デカくしてやるよ、デカくして乗っ取ってやる。
(麗奈)
待って、何をしに行く気?!
涙を拭きながら必死の表情で問いかける麗奈。
(渚)
アンタと婚約した、これで満足か、って報告してくるんだよ。
麗奈は追いかけて、その場に泣き崩れた。
(渚)
なんだよ、ここまでしたんだ、アンタも腹括れよ。
(麗奈)
私は……私は……
顔を伏せて小声で呟く麗奈。
(渚)
私は?どうした?
(麗奈)
私は……私は、あなたが好きです。好きに決まってるでしょう!
(渚)
・・・は?
実は麗奈が渚の事が好きな事を知った麗奈の両親が、渚を繋ぎ止める為というのも凶行に及んだ理由の一つであった。
(麗奈)
好きに決まってるでしょう……
膝を抱えてうずくまりながら、嗚咽しながら言う麗奈。
(渚)
それって……アンタの両親が"それ以外にも理由がある"って言ってたこと?
(麗奈)
・・・はい……
コクリと頷く麗奈。
(渚)
はぁ……それなら、こんな事しないで素直に言えば良かったやん(ため息)
(麗奈)
でも、あの人達は私の思いを理解してくれなかったの。
私が好きなのは、学年トップの才能を持っているだけでなく……
他人の気持ちを考えてあげられる、思いやりのある優しい人。
それだけでないわ。
君は何事にも真摯に向き合い、一生懸命に頑張っている姿に惹かれたのよ。
涙混じりに、消え入るような声で麗奈は告白する。
(渚)
なんでだと思う?
(麗奈)
あなたがいつも私以上に私の事を分かっていてくれて、その上で心配したり励ましてくれたりしてくれるからよ。
目を上げ、潤んだ瞳で見つめ返す麗奈。
(渚)
それもあるかもしれない。
たしかにお前は危うい。
いつ折れるかヒヤヒヤする事がある。
それ以外にも、全てを持っているアンタに全てを持たないボクでも"やれば出来る"って事を認めさせたかったんだよ。
(麗奈)
ありがとう。
涙でぐちゃぐちゃの顔に、ようやく微笑みを浮かべる麗奈。
(渚)
やっぱりお前には、涙より笑顔が似合うな(微笑み)
麗奈は目を伏せ、小さな声で……
(麗奈)
でも、私はもうあなたとの未来はないの?……
そう呟いた。
(渚)
さっき言ったやん、腹括ったって。
結婚して財閥デカくして…………一緒に幸せになろうよ(微笑み)
パァーっと明るい表情になるが、すぐに曇り……
(麗奈)
でも、そんな事を望んだ私を許しては……
(渚)
許さないよ、ボクと幸せにならないと(微笑み)
(麗奈)
本当に、私は幸運なのね……ありがとう、渚。
涙目で笑顔になる麗奈。
(渚)
で、ボクは今日で退学になる。
次期財閥総帥のアンタの右腕になる為の勉強と、無事アンタを総帥にする為の根回しにね。
アンタはどうする?
(麗奈)
もちろん、あなたと共に頑張ります。
私は、これからもずっと、あなたの側に居たいです。
麗奈は即答した。
(渚)
じゃあ一緒に退学する?
総帥になる為の勉強をする為に。
顔合わせとかもあるだろうし。
(麗奈)
はい!一緒に頑張りましょう、渚!
麗奈は嬉々として頷いた。
その後二人は結婚する。
麗奈は渚の根回しもあり、無事次期財閥総帥になる。
渚は麗奈の夫として、また右腕として献身的に支え、その甲斐もあり、財閥は5倍の大きさになり世界屈指の巨大財閥となった。
二人の間に子供も生まれて、順風満帆な人生を送る。
子供達が寝た後、寝室で二人きりになると、麗奈は甘えた声を出す。
(麗奈)
ねぇ、今日は疲れたでしょう?
(渚)
ふふふっ♡
麗奈はそのまま渚に体重を預けて寄り添う。
(麗奈)
今はとても幸せです。
愛しているわ、夫婦になってから、毎日が楽しいわ。
(渚)
ボクもだよ、麗奈。
ありがとう。
渚の頬にキスをする麗奈。
(麗奈)
夫婦になっても、あなたの前では照れてしまうわ。
(渚)
ボクもドキドキする。
クスリと微笑む麗奈。
(麗奈)
私もよ。
でも、私はね……あなたが必要なんだって実感しているの。
(渚)
ボクは麗奈の役に立ててるんだね。
麗奈は頷く。
(麗奈)
ええ、夫である以前に、一番信頼している相手なのはあなたなのよ。
(渚)
ありがとう、嬉しいよ。
渚は微笑んで、麗奈にキスをした。
(麗奈)
私も。
麗奈も幸せそうな表情で渚にキスをした。
渚に腕枕をしてもらう麗奈。
(麗奈)
私は、最強のパートナーに出会えて、本当に良かったです。
(渚)
ありがとう、これからも頑張るよ。
麗奈は目を閉じ、穏やかな表情で……
(麗奈)
ええ、頑張りましょう、あなた。
(渚)
うん。
麗奈は静かに呼吸を整え、眠りにつく。
(麗奈)
……愛してます、あなた……
(渚)
ボクもだよ……
夜が明ければ、また新しい1日が始まる。
麗奈と渚は、二人がかりで世界を揺るがしていくのであった。