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44.

数ある小説の中から閲覧していただき、ありがとうございます。


朝8時、協会本部前で待っていると筆記試験を担当してくれた男性職員が出てきた。


「おはようございます。本日から5日間を目安にハングベアの討伐を行なってもらいます。場所は王都より北、約6時間ほど進んだ森にて目撃情報。未だ人的被害は出ておりませんが時間の問題だと。あと、試験となりますが3人からは見えない形で2人、索敵と隠密に長けた者が試験官として付きます。状況によって助けには入りますが…その時点で試験は不合格となりますのでご了承ください。」


「わかりました。試験自体は普段通り…自分達のペースで問題ないですか?試験日数が5日間ということですが…大幅に日数を過ぎたら不合格とか?」


「今回のハングベアは見つけづらい魔物としても有名です。ですがこれは試験。期限は2週間、12日がリミットと考えてください。目撃箇所の情報はこの地図に印をつけてありますので参考に。以上となります、ご健闘を。」


やっぱりリミットはあったか…貰った地図を見てみると目撃箇所は結構近い位置でまとまっている。全て森の際、荷馬車や行商人からの目撃情報がほとんど。距離があったため逃げれたのと距離があってハングベアに気づかれなかったのが幸いした感じだ。あと、この付近ではハングベア以外の魔物はツノウサギにナッツボア、それとツリーディアという鹿の魔物が初見だな。王都から近いこともあって数は少ないみたいだけど。


「ユキト。近くまで行ったら、まず森沿いを探索?」


「索敵ではハングベアの特定は出来ないからなぁ…片っ端から索敵に引っかかったのを確認していく感じ?」


「ユキト兄様。戦闘は森の中ですか?」


「森沿いで引っかかったのは森から引きずり出す予定。シホとリュカのクロスボウは森の中だと障害物が多くて扱いづらいし、俺の棍も使えなくはないけど…やっぱり障害物が多いからね。」


「まずは現地まで行って木の間隔とかの確認次第?森の奥にいる可能性もあるんだし。」


「そうだね。土地勘も無いし、地図だけじゃわからないことも多い。シホの言うようにまずは現地の確認だ。」


王都北門を出て目撃情報箇所の近くにやってきた。


「ここら辺りから索敵を始めようと思うが…まずはお昼かな。…索敵に2つの黄色い点、これが試験官かな?軽く森に入った所にいるな。」


「どうする?今日は大丈夫だけど明日からのお昼ご飯はあまり見られたくないわよね?ユキトのBOX使うし。」


「そうだな…明日からは拠点を決めてテントを置いたまま行動範囲を決めようか。それならテントの中でお昼食べれるし。」


「そうしよ。リュカちゃんもそれでいいよね。」


「はい、シホ姉様。ユキト兄様のBOXは知られたら面倒ですものね。」


少し手間になってしまうが昼まで探索、昼に拠点設置。そして昼からは少し森の奥まで索敵をしつつ確認。

夜はテントまで戻ってリュカの浄化でサッパリし、シホの守りで3人共見張りを立てる必要もなく就寝。


試験官は交互に1人王都の方へ離れて行く。協会に報告でもしているのかな?

そんな調子ですでに3日が過ぎて4日目。これまで索敵に引っかかった赤い点は全てツノウサギ…目撃情報のあった北寄りの位置まで進んできている。


「ユキト…そろそろ最後に目撃された場所だよね?もっと北寄りにいるのかなぁ?」


「その可能性もあるね。ただこの近くに来て他の魔物の反応が全く索敵に引っかからないんだ。ハングベアの気配に怯えて他の魔物が離れている可能性がある。」


「そういえば…昨日の午後から全く索敵にかからないって言ってたね。見つかるといいなぁ…」


「ん?シホ当たりかも!索敵範囲ギリギリに動きの無い赤い点がある。森の奥側から少し周り込むよ。」



この赤い点の周りには今までの索敵状況と違って全く他の気配がない。少し迂回する形で風下から近づいていく。


「距離にして約前方30メートル、シホとリュカはクロスボウを構えて少し左右に別れようか。木が結構密集してるし、広い場所はない。無理に当てようとせずに牽制を頼むよ。」


「まだ姿見えないけど…ハングベアかな?ツノウサギの可能性もあるんだよね?」


「動きが無い時点でツノウサギかハングベアだな。音をなるべくたてないように近づくよ。」


目の前に浮かぶマップの赤い点にできる限り音をたてずに近づいていく。残り10メートルを切っただろうか。草や低木の葉の影から前方に黒い固まりが蹲っているのが見えた。ハングベアだ。

シホとリュカにハンドサインで先制のクロスボウを撃ち込んでもらうように指示をだす。


バシュッ!バシュッ!


蹲っていたハングベアの背中にクロスボウの矢が2本突き刺さる。


『ヴァァァオォォォッ!!』


不意打ちを背中に食らったハングベアは前方に転がってから立ち上がりこちらに振り返った。


「シホ、守りを!リュカ、シホのところへ!」


俺はシホとリュカの射線に入らないように斜め前方へと踏み出した。

ハングベアは近づいてきた俺にターゲットを定めたようで口から涎を撒き散らし腕を左右に振り回しながら近づいてくる。爪が掠った木が深く抉れる。

あの攻撃は普通に食らったらまずいな。シホの守りがあっても吹き飛ばされる。

木を盾にしてハングベアの攻撃を躱しつつ纒突を突き入れるが毛皮が堅く浅くしか入らない。足場も悪く踏ん張りが効かないのもあるのだろう。

少しづつ森の出口に向かってるが…本当に持久戦だな。


シホとリュカはハングベアの後ろから攻撃はせずに距離を置いて着いてきている。

チマチマ攻撃を加えながら後退して20分程が過ぎただろうか。木の間隔がかなり開けてきた。

ここまでくれば棍を振り切れる。

俺は大きく振りかぶり振り下ろされたハングベアの右腕を掻い潜り纒刃をまとった棍を振り上げる。


ズシャッ!!


『グギャァァァァァッ!!!」


ハングベアの右腕が二の腕辺りから斬り飛ばされる。

足掻くように左腕を振り上げるハングベア。

だが右腕を斬られた時点の隙は大きかった。俺はハングベアが左腕を振り上げた時点で心臓めがけて纏突を突き入れていた。

ハングベアは左腕を振り切ってきたが、俺は棍を手放しバックステップで避ける。

左腕を振り切ったハングベアの目から光が失われて前のめりに倒れた。


「ユキトっ!終わった?」「ユキト兄様お疲れ様です。」


「あぁ…終わったよ。けど言われた通りタフだったなぁ…森の中っていってもこんなにかかるとは思わなかった。」


「お疲れ様。討伐部位は右手首だっけ?解体はする?」


「さて、BOXへの収納は使えないし…解体するから周囲の警戒を頼むよ。」


今回ギリギリだけど索敵範囲にハングベアが入ってくれて助かった。それこそもう少し森の奥に入られていたらリミットの2週間…下手したら試験不合格もありえたな。


解体を終えると時間は14時過ぎ。

これはもう1日野営してから帰還だな。

なんにせよ無事討伐完了出来て良かった。

試験官は…うん、王都に帰ったみたいだ。索敵範囲には反応が無い。


いつも通り、BOXからサンドイッチを取り出し、スープを作り食事。リュカに浄化をかけてもらい就寝。

明日起きたら王都に帰還だ。




お読みいただきありがとうございました。


読んでみて、面白かったと思ってくれて評価してくださると嬉しいです。


不定期になるとは思いますができる限り書き続けていきますので、よろしくお願いします。

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