14.
数ある小説の中から閲覧していただき、ありがとうございます。
神殿を出て蔵書館へと向かう。
ここも石造りの建物だ。フレージア商会と同じぐらいの大きさだけど2階建て。
入り口を入ると衛兵が脇に立ち、正面に受付が。
受付に近づき30代中頃のメガネをかけた細っそりした男性に声をかける。
「利用したいんですけど…入館料とか利用の際の注意点なんかを聞いてもいいですか?」
「はい、大丈夫ですよ。まず、身分証を提示してもらいます。入館料は1日利用で1人大銅貨1枚。昼食などで退館する際は受付に申し付けてくだされば再入館の札を発行します。館内での飲食は禁止。本を汚したり、破損させた場合には本の弁償をしてもらいます。館内で複写をするのは自由です。紙や筆記具もこちらで販売してますし、持ち込んでも大丈夫です。」
「ありがとうございます。続けて質問なんですが、本…蔵書はどのような分野や種類がありますか?」
「そうですね…分野が分かり易いですかね…
創生神記=神様にまつわる神殿の書物。
歴史書= 王国を中心とした近隣諸国の情勢を含め
た年代史。英雄譚も含む。
魔法書= 火水土風ね四属性に治癒を含めた考察や
説明。論文。
辞典= 薬草、魔物、香辛料、食物、魔道具等々
多岐に渡り…種類や産地や生息地、利用
方法の説明も含む。
その他= 寄贈された書物が中心。日記や自叙伝と
いったカオスなものも含む…
といったところでしょうか…」
「結構な数の本が揃ってそうですね…調べものや複写を考えたら朝からの方が良さそうですね。」
「複写するなら朝からがオススメですね。写す量にもよりますが。ちなみに蔵書館は朝は9時に開館、夕方18時に閉館ですよ。」
シホに今日は蔵書館を利用しないことを確認して、
「説明ありがとうございました。調べものや複写したい事が多いんで…また後日伺います。」
「はい、お待ちしておりますね。お気をつけて。」
受付を後にし、衛兵に見られながら蔵書館を出る。
うん。蔵書館は1日丸々利用したいから後日改めてだな。
戻りながら小さめな店をチェックして晩御飯にしよう。
「シホ、蔵書館は思った以上に数も種類もありそうだね。複写も考えたら…紙と筆記具は買っておく?」
「戻る途中にお店があったはず…蔵書館は次の休みに朝からかな?」
シホと一緒に雑貨屋や八百屋、精肉店と必要な物は買いつつ冷やかしていく。
中心部の噴水が見える頃には空も茜色に染まり始めた。
「シホ、そろそろ晩御飯食べよっか。昼間に気になった大衆食堂っぽいところでいい?」
「うん。見た感じ親子連れとかも入ってるし、雰囲気も悪く無さそうだから大丈夫だよ。」
全面は開け放たれ奥の厨房まで見える店内。シホが言ったように親子連れが多い感じだ。
シホと連れだって店内に向かう。
「いらっしゃい!そこの奥の席が空いてるから…そっちに。注文の時は呼んでくれたら行くから。」
席に座るが…テーブルの上にはメニューは無いな…店内を見渡すと厨房横の黒板に本日のオススメ。壁に定番の料理の札がかけられている。
「シホ、ここはメインにパン、スープが付く定食がメインみたいだ。ご飯…やっぱメニューには無いな。内容は…肉、魚の干物、野菜の種類と…調理法で焼き、炒め、揚げ、煮込みってとこかな?」
「お昼にお肉食べたし…魚?野菜の炒め物も捨てがたいなぁ…」
「うーん…俺は今日のオススメにしてみようかな?」
店員さんを呼びオススメと野菜炒めの定食、飲み物で果実水を頼む。
運ばれてきたオススメの定食はボアの味噌煮込みに野菜の素揚げがメイン。野菜炒めにはキャベツ、もやしにボアのバラ肉の薄切り。それに黒パンにスープ。基本的に味付けは塩。やはり香辛料は高いので…それなりの店でしか使ってないんだろうなぁ。
ちなみに黒パンは焼き立てなのか宿舎やサンドイッチに使われているのより柔らかかった。
そしてスープは鶏出汁?具には米であるマイス…美味しかったが、コレジャナイ感が…
アルトの一般的な食事だと素材を活かした塩味が中心で甘味は果物が主。上流階級で香辛料を使用した料理が加わって…時々砂糖やハチミツを使った甘味が加わるってところだろう。
お腹もいっぱいになり、東馬車通りを進んで宿舎へ戻る。シホも満足したのか笑顔だ。大通りは魔石を使ったランタンが各所にありそれなりの明るさが保たれてれいる。自分達が歩いている反対側の職人街に面している通りは被服、革製品、武器や防具の個人店が並んでる。
そういえば…大衆浴場もあるって言ってたな。
風呂には入りたいが…また出てくるのも手間だし、明日リーナさんあたりに確認して次の休み、蔵書館の後にでも探してみよう。
宿舎に戻りホリィさんにお湯を貰って部屋に戻る。
ゴドリック商会も査察が入ったって聞いたし、襲撃はもう無いかな?これも協会で確認だな。
蔵書館での複写を考えたら2、3日おきに休みを取るか?
これは明日の休憩でシホと相談かな?
シホは隣ですでに寝息をたててるし、明日からも薬草採取頑張ろ。
お読みいただきありがとうございました。
読んでみて、面白かったと思ってくれて評価してくださると嬉しいです。
不定期になるとは思いますができる限り書き続けていきますので、よろしくお願いします。