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詩❲心理描写-暗❳

「いきかた」を教えてよ

作者: 日浦海里

捉え方で白にも黒にもなります

心が辛い時ほど

黒く見えてくると思うので

その場合読むことはお勧めしません


真っ白な朝

今日もまた【きょう】を迎える

何かに臨む鉛筆は全部

鉛筆削りで削りきられた

何かを望んで描いた【あした】は

赤ペン消しゴムで添削された

机の上に開いたノートには

僕の知らない僕しかいない


赤に青に緑に黒に

極彩色に彩られても

明るく見えるのは表面だけで

ページの裏は何もない

色も中身も線の一つも

知らない色に塗り直されるから

怖くて何も描けなくなった


いきかたを教えてよ

一歩足を踏み出すたびに

背の伸ばし方

足の置き方

手の振り方

視線の向け方

事細かくに枠にはめられて

思い通りのヒトガタ作って

人形遊びされるのはごめんだ



真っ黒な夜

今日もまた【きょう】を終える

目覚めれば次もまた全部

動画のように再生された

何度も繰り返される【あした】は

精巧なだけのセル画のようだ

机の上に開いたノートには

次のページなんてもういらない


くろくくろくくろくくろく

ただ一色に塗りつぶしても

ただ色は濃くなってくだけで

どこまでいっても終わりはない

色も中身も線の一つも

判別できないほどの世界でも

底はまだ先で止められなかった


いきかたを教えてよ

この一呼吸吐き出すたびに

肺は萎んで

心臓は脈打って

脳に血は巡っていって

繰り返せるからやり直せるなんて

夢みたいな夢を語って

妄想遊びされるのはごめんだ



いきかたを教えてよ

繰り返される【きょう】なんていらない

真っ黒な夜も

真っ白な朝も

僕の中では全部一つで

曖昧なままの灰色じゃなくて

一色だけど一色じゃなくて

ただ「いきる」だけはもううんざりなんだ

何もできないから

それが言葉になって

零れ落ちていく

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― 新着の感想 ―
[良い点] 抉るような心理描写が好きです。 [一言] 全部同じ黒だけど、きっと「僕」にとっては、ひとつひとつ違う黒。 ひとつひとつ違う黒を塗り重ねて、本当に真っ黒になってしまった。 私はそういうふうに…
[一言]  一日、いろいろあって、塗りつぶされた気になっても。  翌朝には、なにひとつ残ってないような徒労感?  そうして、毎日がすぎる。  からっぽの白と、塗りつぶしの黒の往復……?
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