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緑目のあの娘のためのパンをこねる

作者: 藻岩 憧
掲載日:2022/09/30

 今日も雪が降っている。


 僕は雪が好きだ。母さんや父さんは雪かきしなきゃなんないから嫌いだって言うけど、雪だるま作ったり、雪合戦したり、そうでなくても雪の上に歩いていくだけでも楽しいし、雪かきだって悪くない。


 家にいるときっと父さんが家の手伝いしろとか言ってくると思ったから、今は散歩してる。


 今日はあんまり人が出ていないみたいで独り占めしてるみたいだ。空はいつも通り曇ってるけど、川はきれいだし、葉っぱが厚い花もきれいに咲いてる。




 誰にも会わずに歩いていると家の近くの公園に着いた。


 みんなの家から延びる足跡でわかっていたけど、こんな雪の日だから、やっぱりみんな公園で遊んでるみたいだ。でもどこか様子がおかしい、みんな公園の隅の方に集まってなにかしているみたいだ。

 

見てみると、雪の山がある。多分大人の人が雪かきして集めたんだと思う。皆が何をしているのかというと、その雪山から雪の塊を取って、団子にしているみたいだ。


 いつもだったら雪玉を投げあってる男子も、雪うさぎとか作ってる女子も、おんなじことしてる。




 何してるのか聞いてみると、雪山の中に白い「パン」があって、それをこねてるんだって言った。


 面白そうだから僕もこねてみることにした。はじめはパン生地みたいな感じかなって思ったけど、なんか違う感じだ。折ってもくっつかないし、なんとなくジャリジャリしてる気がする。食べ始めたばかりの粒ガムみたいな感じだ。このジャリジャリ感が癖になりそうだ。


 夢中になってこねていると、段々とスムーズになってジャリジャリ感がなくなっていく。その代わりにゆっくりと、丸く固くなっている。


 気づいたら他のみんなが僕のパンを見つめてる。みんなのパンはまだ柔らかいみたいだ。




 僕のパンがカンペキに丸くなったから、みんなにあげてまた新しくこね始めた。みんな争うようにその白い玉を欲しがっていた。


 ある子が、真珠みたいで欲しいっていった。すると白い玉は本当に真珠になって、その子のものになった。


 パンは願いを叶えてくれるんだ、って分かったから、もっと熱心にこね始めた。僕のパンはカンペキになるのが早いから、みんなに配ってたんだ。




 そのうち、みんなが願いを叶え終わって、こねてるのは僕ともう一人の女の子だけになった。その娘は僕よりもあとに来ていて、パンは出来上がっていない。


 その娘は変な娘で、近くにいるとなんとなく落ち着かない。ソワソワしてパンをこねるのも集中できない。きっとこの娘は魔女で僕を呪っているんだ。緑の目をしているし。僕がうまくこねられないうちに、彼女は行ってしまった。僕はまだこね続けてる。

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