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〜若者の若者による若者の為の世界〜  作者: nawayo784
若者だけの世界
9/9

Goblins

 

 ここはとてつもない量の物資で満たされている。

棚に出されているものだけではなく、裏の倉庫にも色んな商品の在庫がある。


 くわえて、すこし住宅街から離れており、周囲は駐車場に囲まれている。要塞としての素質は十二分だった。

 

「事態が落ち着くまで、ここにお邪魔させてもらってもいいかな?」


「あたし、ただのバイトだし、いいんじゃないかな」


 彼女の名前は、ゆいのと言うらしい。一昨日に二十歳になったばかりで、一人暮らしをしているそうだ。

 

 かおりに事情を話し、ゆいのに店を案内してもらう事にした。


 自分達が知らない店の裏側には、店内や店の外の防犯カメラの様子を見れるモニタールームや、シャワールームや、空き部屋もいくつかあった。住むにはとても快適そうだ。


 一通り案内してもらい、モニタールームでお互いの自己紹介や、情報交換をしているとき、右上の外の防犯カメラに黒い影が通り過ぎた。


「待って!カメラになんかうつったよ。」


二人の会話を遮り、そのモニターを指差した。


「えっ、なんですか。さっき言ってたゴブリンじゃないですよね?」


「だいじょうぶよね?」


3人が驚いている様子で顔を合わせた時、


「ガッシャーーーーーーーーン!!!」


明らかに商品棚が倒れる音がした。


この音を聞き全員が敵意を持った何かがやってきた事を確信した。


「おれが様子見てくる。ふたりはここで隠れ...。」


「いや、わたしもいく。」


かおりは友哉の震え声に被せ気味でそう言った。


かおりの性格をよく知る友哉は、特に反論をせずに、ゆいのちゃんだけを残して、あの黒い影の正体を確認しに行く事になった。


 モニタールームを出て長い廊下を進み、店内に入る扉を静かに開いた。


 友哉が、前陣で拳銃を構えて、かおりが後ろでライフルを構えている。


 入ってすぐに、奥の方を素早く黒い影が横切った。


「パーーーーーーーン。」


何が起こった分からない友哉だったが、振り返るとかおりのライフルから白い煙が上がっている。


「なに勝手に撃ってんだよ。こんなすぐに銃をぶっ放す奴なんてありえないだろ!!」


あまりの展開に語気を強めて、かおりを咎めた。


「外したわね。あのオーラに包まれてから目がとても良いから当たるかもって思ったのに。」


 ふたりが顔を見合わせて話し合している隙に、奴はもうすぐそばまで迫っていた。


「ウキーーーーーーーーーッ。」


 横の商品棚を飛び越えて、ゴブリンは飛び掛かってきた。


 突然の出来事にふたりは武器を手放してしまった。


 友哉なゴブリンにのしかかられて、その勢いのまま右腕のすぐ横に小刀を突き立てられた。


「いってええええええええ!!!」


友哉は右腕に入った大きな切り傷から血を溢れ出しながら、大声で叫んだ。


ゴブリンを振り払おうとしても、全くびくともしない。まるで岩が身体に乗っかっているようだ。


(いってえし、もうおわりだな。)


ゴブリンが床に刺さった小刀を引き抜き、心臓を目掛けて振り下ろそうとした時、身体から青いオーラが溢れ出した。


 このオーラを見て何かゴブリンは見とれているようだった。そして、友哉はこの隙を見逃さなかった。


 全く動かなかったはずのゴブリンの身体だが、くるりと身体を反転させ、先ほどとは全く逆の体勢に変わり、いつの間にか、相手は自分の小刀を自分の胸もとに突き刺していた。


(ンッ!??????? ウキャーーーーーー!)


ゴブリンの胸からは血が溢れ出し、叫び声もすぐに聞こえなくなった。


「たおしたの?だいじょうぶ?」


かおりが青白い顔をしながらこちらを見ていた。


「だいじょうぶだ。おわったぞ。」


 友哉は何かを成し遂げた満足げな表情で答えた。


 右腕を負傷した友哉はかおりに支えられながらモニタールームに戻った。


 するとそこには目を疑う光景が広がっていた。


 裸の少女と赤色のゴブリンが身を寄せていた。

 

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