Supplies
(この街は高齢化が進み、若者よりお年寄りの方が圧倒的に多い。それにしても、なんでこんなに人が少ないんだ。)
「結構走ったけど、全然人いないね。」
「わたしも同じこと考えてた。みんなどこいったのかな?」
ドラッグストアまでの道中、他の人に遭遇する事はなかった。
「車そんな広くないし、必要なもの考えときゃね。」
確かにスペースが限られているので、闇雲に持って帰る訳にはいかない。
「そうだな。やっぱり、水と食料は1週間分は欲しいよな。あと、ビタミンの欠乏とかもあり得るから、サプリや薬も必要だとおもう。」
「わたしもサプリとかプロテインとか日持ちして、そんなに容量も取らないものがいいと思うの。あとはコンドームとかも欲しいわね。」
「ンンッ!!!?」
「いやそんな変な意味じゃなくて。こんな世界だとお金なんて紙切れでしょ?だからタバコやコンドームみたいな嗜好品がいろんな交渉に使えるんじゃない。」
かおりならではの発想で、自分にはなかったものだった。
(確かにお金に代わるような希少品は今後とても重要になりそうだ。)
「確かに一理あるな。いろいろ見ながらそういうのも持って帰ろう。」
ようやく、ドラッグストアに到着した。
2人はお互いの武器を手に取り車を出た。
「かおり、危険を感じたらすぐ教えてくれよ。」
「わかったわ。先にいっとくけど、この建物には何か感じるわ。」
こんな世界だからモンスター以外に、人間が敵になる可能性だってある。かと言って、ここで、今後に関わる物資の補給を断念する訳には行かない。
友哉は片手に持つ拳銃を強く握り締めた。
入り口近くのショッピングカートを各々持ち、目的の品物を次から次へと投げ入れた。ビタミン剤や、抗生物質などの薬、タバコや、アルカリ電池、
石鹸などの生活用品、将来貴重になりそうなものを続々と探して行った。
「結構手に入ったわね。そろそろいいかしら。」
「でも、まだ車入るんじゃない?車につめて、もう一回来ようよ。」
できるだけ危険を避けたいかおりはこの意見に難色を示したが、やはり人間は欲張りな生き物だった。
2人はショッピングカート一杯の物資を車に詰め、もう一度、店に向かった。
「そういや、インスタント食品なんか、めっちゃ良さそうじゃん。」
友哉の頭には、カップヌードルが将来高級品として扱われるような絵が容易に頭に浮かんだ。
「インスタント系は、一番奥ね。」
かおりのカードはもう一杯なので、入り口で外の見張りをお願いした。
「よしいくぞ。」
友哉は、先程手に入れたばかりの懐中電灯を手にし、暗闇に消えていった。
(暗くてなんも見えねえな。勘違いして、人を撃たないように気を付けないと。」
そう思ったときだった。山積みになったダンボールの影から何か出てきた。
(ちっ、また急に出てきたやがった。今日2回目だよ。)
慌てて銃を構えて目標を見定めた。
「すいませーーん。わたしここのアルバイトなんですー、、、。」
小学生ぐらいの見た目の眼鏡っ子だった。
「申し訳ないっす。なんか敵かと勘違いしちゃいました。」
「いえいえ、とんでもないですー。わたし怖くてずっとここに隠れていて.....。」
どうやらかおりはモンスターではなく眼鏡っ子を感知していたらしい。
「一人で大丈夫ですか?あれだったら女の子の連れもいるんで、一緒にどこかで隠れません?」
友哉はここであることを思い付いてしまった。
( てかここに住めばよくね?笑笑)