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第3話 傷ついた妖精




森の奥・・・





ふわふわと不思議な光の玉がひとつ漂っていた。

弱弱しくふらふらと移動して、ついに力尽きたように堕ちる。




ユシアはその光の堕ちた先にたどり着く。




(これは・・・妖精?)




手で掴めそうなほど小さな少女

背中に羽が生えている。

こんなお伽話でしか見た事ない存在が実在するなんて信じられなかった。



それにしても・・・



その子ひどく弱っているように見える。



「大丈夫か」



駆け寄る。

息も絶え絶えで耳を近づけるとやっと聞こえる程度の声が聞こえる。



「逃げて・・・魔獣が来る、追われているのは私だけだから・・・」



ガサガサ・・・ガサガサ!!!

森の奥から鳥が驚いて飛び立つ声

何かこっちに近づいてくるのがわかる。




魔獣・・・




正直、足がブルブルと震えている。



逃げる?

どうする、魔獣と戦う術なんて持ち合わせていない。

普通に殺されるぞ




だが・・・



だが・・・・・




息を大きく吐く。

気を落ち着かせて、その相手と対峙する覚悟を決めた。







$$$








森の奥から現れたのは、『木の姿をした魔獣』だった。

幹の部分に顔があって牙をむき出しにしてゲラゲラ笑っている。

木の枝の部分にたくさんの血と肉が付いていて気味が悪い。



「なんだぁ?お前?」




「・・・」




「どけよ!・・・俺はこれから、そこの妖精を喰うんだからよぉ!・・・まぁ正直、道すがら馬車襲って、たくさん肉食ったからもう満腹なんだけどよぉ!」




ユシアから、ため息ひとつ洩れる。



(・・・はぁ、どんな恐ろしい魔獣かと思ってビビってたら・・・)







「木じゃん」








その姿を見た瞬間から、

直前の恐怖はキレイさっぱり無くなっていた。




「俺の姿見ても怖がらねぇとか、舐めやがって!!」




侮られたと感じた木の魔獣は激昂し、大きく枝を振り下ろす。



ユシアは落ち着いていた。

くるくると斧を回して、枝を切断し、そのまま一気に距離を詰める。





「木にビビる『木こり』が居る訳ねーだろ」




そして、

顔のある幹ごと、力任せに引き裂いた。






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