作り手のレベル
以前作り手の能力について言及したけど、今回はそのレベルについて言及したい。私が作家のレベルを見る時に最高理想とするのが、次々と新しい娯楽性の高いものを作り続ける作家だと思っています。作家と言うよりはクリエイターという感じです。特に小説に拘ってるわけじゃないので。ある程度物語が軸の作り手として広く漫画アニメ実写にも広げます。ルーカスに小説が書けるのか?分かりませんが、スターウォーズは面白い物語だと思います。ルーカスはその物語の作り手=作家だと思っています。
そしてこの理想は神だと思っています。私は人間には不可能なんじゃないか?と思っています。この下の優秀だとされてる特別な作家は新しいものは1つや2つで良いと思います。バラエティー豊かな作品を創る事が特別な作家になれる条件だと思います。得意分野が特に無い。上記と何が違うのか?と言うとエポックメイキング的作品じゃなくて良いです。古典的な作品を下敷に自分なりに消化して、ちょっぴりオリジナリティを追加するような物語の王道の作り方で良いんです。
アイデアより良く物語を知ってる方が大事だと思います。大体特別優秀な人って他人のアイデアが下になってるケースが大半です。人間すべてオリジナルのアイデアで作るなんて無理なんです。そんなものすごくもなんともない。面白いものってのは大体すでに作られると考えるほうが正しいです。1つや2つその人の顔とも言うような作品があれば、後は悪く言えばパクリで良いです。
実際これが出来ないんですよ。だから特別な人になるわけです。プロの水準になると大体得意パターンが1つあって、それを延々と上手く変わったように魅せて書くようなケースが大半です。いろんなタイプの作品を書くってのはそれは誰にでも出来る事じゃないので、力量の高さを示してると思います。ただ器用なだけじゃないのは、一つ二つは自分の顔って作品を残せる事です。
得意なパターンをずっとやる人も十分優秀なレベルです。その下がいるからです。所謂一発屋。得意なパターンを連発してるつもりだが、ヒット作1本以外さっぱり受けない。
能力のレベルの差がいろんなタイプを作るとオリジナルの作品を作るできっちり図れるようになってると思います。じゃ器用なだけで、どこかで見たような作品を器用にしか作れないタイプは?これは正直分からないです。案外こういう人目立たないけど長持ちするケースがあるんですよね。
名作だと思うスクラップドプリンセスって作品があるのですが、異世界物が流行してるとなったらすぐにアウトブレイクカンパニーを書く榊さんと言う作家はまさにこれだと思いますが、どっちかと言えば優秀の方に入ります。ただスクプリが知る人ぞ知る名作で、マニア受けの部分が強いのが難点です。誰もが知るような作品じゃないです。
この娯楽性の強さが重要で、文学なら新しいものを作り続けるって作家さん多分いると思います。受けなくて良いならそれほど難しい事じゃないんですよ。何故過去の踏襲が娯楽性が高いほど多いか?と言うとそれなりの数に受けるって条件が付くのでパターンが少ないんですよ。
極論として、そりゃ作家自身は面白いと思ってるんだから。数さえ無視すればどんな作品も本人には娯楽なわけです。ただそれを多くの人は認めないですよね。多分こういった分析しまくってる作家さんなどは、より大衆性が強くなるほど、パターンは少ないと強く感じてると思います。ラノベはそこまで大衆性が高くないので数十パターンってのはさすがに無いと思いますけど。
私はネットにはびこる無いものねだりが嫌で今回の話を書こうと思いました。ネットではありもしない人間じゃない作り手を創造して作品を批判する事が多いです。永久機関じゃないからすべてのメカは否定されるべきだみたいな異常思想に近いんですよ。私が最高点とする作り手は実は嘘です。そんな人人間じゃ無いです。バラエティー豊かとオリジナリティ溢れるを両立するのは無理です。
同じパターンをずっとヒットさせる自体とても高いレベルです。プロの中でも一流と言って良いでしょう。せいぜいその上だけなんですよ。何故その上が存在するか?は、実は受け手って満足させたら駄目なんですよ。作って欲しいのに思う願望をわざと叶えさえない、その方が底を見せないので勝手に創造で作家の能力のレベルを上げてしまいます。
実際凄いのか?そうでもないのか?の答えはありません。でも上にしてしまうのが大半です。同じパターンで固定ファンを作る作家はそれ以外の人を飽きさせます。ファンにもそれいがいの人にも最も得意な武器のすべてを見せつくして終ってしまいます。そうなると創造の予知がなくなります。それが過大評価を生まない理由です。読者の求めに応じないほうが作家は過大評価されます。
これらは人間の性質です。ピンと来ない人は他人を見て大体過小評価が多いと思うはずです。そうです、そういったイマイチな人や凡庸な人間を過小評価する裏返しで過大評価する人が必要になります。そうやってバランスが取れています。
人間はせいぜい出来てこのレベルまでです。それらを過大評価するから神に近くなって妄想的な理想の作家との比較論が出来てしまうんだと思います。敢えて言うなら一発屋よりは器用な作家の方がましでしょうね。ヒットってのは基本運なのでそもそも力量があるのか?自体怪しいものがあります。それなら地味だけどコンスタントに食えるレベルでは売れる人の方が力を感じます。
ヒットと言う結果と能力に対する一つの考察です。ヒットと言う結果を無視した場合はあまり意味の無い話だと思います。ヒットには欠かせない部分を能力として重視しすぎてるからです。