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Destroy the Marine Base of RED  作者: ArA
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第二章「計画」

【第二章「計画」】


〈12月14日 9:00 オルカ号船内 会議室〉


 依頼を受けて数日が経ち、それぞれある程度自分の役割を考え、行動し、または隊長であるウォーレンと話をした。そして今日はそれらを皆で共有し、作戦を立てるのが目的だ。GHOSTの作戦成功率の高さはこの情報共有が理由の一つだろう。


 集まったメンバーに対してウォーレンが報告と指示をキビキビと始める。

「ここ数日間、それぞれやるべき事をやってきてくれたと思う。今回はリーの潜入を主に話そうと思う。」

リーに視線送り、軽く頷きあってから続ける。

「今回の潜入の主な目的はもちろん偵察だ。ただし実際に諜報するのはロボットを使おうと思う。したがって彼女の役割は主としてロボットを島に持っていくことだ。もちろん実際に島を歩き回って調査をしてもらうつもりだ。アダムにはそのロボットを頼む。ハディージャはいつも通り後方支援を、イワンコフは武器集めと戦術を。今回は中国軍やりあうんだから盛大に頼むぞ!よし、それぞれの役割を全員理解したな?それでは次に――」

「おい、俺はどうなる!?何にも聞いてねぇぞ!」

「アンドレ、お前には筋トレを頼もう。戦いでお前の馬鹿力ほど宛になるものはないからな。」

それを聞いてイワンコフが手を叩いて笑ったが、ウォーレンは無視をして続ける。

「今度こそ大丈夫だな?そしたらアダムから説明を貰おう」

 ウォーレンと入れ替わりで前に出たアダムが手元の端末を操作して前のモニターに画像を映し、話し始める。

「今回使うロボットはこの二タイプです。どちらも米国のレイセオン社(Raytheon Company)が開発したもので、まだ表には出てきていない最先端です。両方ともステルス塗装と消音細工を施したものです。」

そう概要を説明したあとで画面を切り替わり、羽が四つの小型ドローンの3Dモデルが現れた。

「まず今回三機投入するのがこのタイプです。赤外線搭載のカメラとマイクで基地の概観を掴むのが目的です。」

次に映ったのはネックレスのように八つの球体が繋がったロボットだ。

「『丸い芋虫』(Sphere-Caterpillar)という機種です。」

「見たまんまだな」

そうヤジを飛ばすのはイワンコフだ。そもそも彼は機械があまり得意ではない。

「あぁ。だが芋虫以上に使い物になるぞ。コイツにはカメラがありません。その代わりマイクと空間認識装着、高度計などが組み込まれています。映像を見たほうが分かり易いでしょう」

そう言うとモニターや3Dモデルを動かした。

 画面には数珠つなぎになった真っ黒い球が八つ映っている。アダムがムービーを再生すると八つがバラバラになって転がりだした。同じく3Dモデルで作られた建物の中に入った球は上階、下階へと別れて展開して建物の構造を組み込まれた計測機器でスキャンしながら移動していく。目を隣のモニターに移すと、球の通った部分は完璧な立体地図が出来上がって行くではないか。

 「これがこの芋虫の機能です。建物の内部構造を大雑把に捉える事が出来るんですよ。警備システムには検知されることがありませんから、発見されるまで詳細なデータを送り続けてくれます。今回はこの二タイプをある意味実験的ではありますが、使ってみようと思います」

 

 集まったメンバーらが驚きの声を上げる中でウォーレンが声を張り上げて一番大事な要件を伝えようとする。

「さぁ今回の作戦のコードネームだが――」

言いかけたところでアンドレとイワンコフが歓声を上げた。

「待ってたぜ!」

「これを聞いてやっとやる気が湧いてくるってもんよ。」

「今回の作戦は『聖杯(The Holy Grail)』だ。もちろん奪取すべき聖杯はデータの事だ。」

「ヒャッホウ!格好いいなぁ!」

叫ぶアンドレを無視して続ける。

「そして、四機のロボットの名前だがそれぞれセイバー、キャスター、ランサーと、芋虫の暗号名はアサシにしようと思う。異論はないな?」

「今回も随分とファンタジックな名前をつけてくれたわね。」

ハディージャのひとり言を受け流し、全員の顔を見て異論がないことをしっかりと確認したあとで

「これで今日話すべきことは全て話した。リーの潜入日時だが、12月20日に決定した。一週間も無いが皆んな、全力を尽くして準備してくれ。以上、解散!」


 これでひとまず20日まで順調に行くことだろう。メンバー達の質問に幾つか答えたあと、ウォーレンは腕を伸ばしながら甲板へと向かう。

「さぁて、一眠りするかぁ……」


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