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【詩集】花の咲く庭

見知らぬ季節

作者: につき

15.5.13 推敲(5連。微細)

15.5.14 推敲(1連。微細)

まだ若い夏の残照は

柔らかくビルの西壁を染めている

激しかった昨夜の流れは

葦を寝かしつけ水を冷たく光らせた


今、こころの揺れの一休みする季節と季節の間

全てが躍動するための鋭さを溜めている時

柳の青くそよぐ枝と枝の隙間から覗く

捨てきれない幼さを吸いこんでいく空と雲



互いに見知らぬままに

胸躍らせているままに

二人は

真っ白な雲の見える丘の上で出会う


色の無い風は

踝まで埋める一面の若草を渡って行く銀の波となり

交差して 離れて 分かれて また交差して


緑の中に立つ

軽やかな黒の二人の髪を

風は思う様に嬲る

眩しさは斜に横に邪魔されて

思わず掻き上げる手は互いの鏡写し

強く意志を宿す黒曜石の瞳と瞳


音のない時間は過ぎ

二人が透過していく

通り抜け 通り抜けられる時

互いの 憧れと傲慢と幼さが混ざり合い

思わぬ扉は静かに開く


埋めきれない存在の空白に

薄青い季節が流れ込む


知らないわたし 知らないあなた

向こう側のわたしは わたし?

そちら側のあなたは あなた?

止められないくせにいつか出来ると思っている


無限に続く音もなく開いては閉じる扉の列



いつもの駅から道路を渡って

見慣れた家々を通り過ぎる

行き交う

見知らぬ人々

附いてくるのは

昨日と同じ様でやはり見知らぬ季節

お読み頂いてありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 若草の季節、良いですね。 肌寒さと暑さの両方から解放された束の間の安らぎと、心の中で何かがくすぶるような、そわそわするような気持ちが感じられる詩でした。 丘の上で出会い、見つめ合う二人の描…
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