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「俺の正妻になってはくれないか?」
うん?どうしてこうなった?
ちょっと待って整理しよう。
確か朝起きてその後騎士団の皆と朝練して、火蓮がお前達はたるんどる!!とか言って騎士団の皆に凄いスパルタしてた。何気に紅蓮もヒィーヒィー言ってた。
その後朝食を食べたけど毒が入ってたみたいで舌にちょっとピリッとした感覚があって美味しかった。致死量じゃなかったから平気だし。これ入れた人は私達を拘束したかったのだろうけど殺すつもりの量を入れなきゃ無理だということを学習して欲しい。だって言ってないけどここで食べる食事全部に毒が入ってるんだもん。紅蓮は体が痺れてた。こんなの平気で食べれる雪達は本当に人間か!?なんて言われてしまった。
まあ、そんなこんなでようやくトラウマの玄関ホールについてみると見送りの為か結構な人がそこに居た。
そしたらトラウマの原因ことキラキラジャガ芋もといギルネスト・ディ・ウィリアムが目の前にやってきた。
昨日の事を言われるのかな?って、ちょっと心配してたらこの文の冒頭の言葉を投げかけられたのである。
~回想終わり~
って!は!?
何言ってるのこのキラキラ君!!いや!ギラギラ君は!!正妻?ふざけんなよ!!12才にして誰が結婚するか!!馬鹿じゃないのこいつ!え?馬鹿なの?死ぬの?てか死んでくれえええええええええ!!
そんなことを思っている私をよそに何やら周りがキャーキャー言い出している。主にシェリーと火蓮だが・・・、正直黙って欲しい。
そして何やらギラギラ君は頬を真っ赤に染めてこっちにとても熱い視線を送っている。視線が熱すぎて火傷しそうですよ。
まあ、取り敢えず断ろう。
「すみません。私は貴方の正妻になることは出来ません」
その言葉を言った瞬間何やら空気が固まった。どうやら断られるとは思ってなかったらしい。
空気が重い・・・。一応穏便に済ませたいからフォローしておかなければ!!
「よく考えてみてください。私はまだ12才です。まだまだやりたいことが沢山有りますし、こんな若い内から結婚はしたくないのです。
それに、私は貴方の事をよく知りません。それは貴方にも言えたことではないでしょうか?そのように焦らずともお互いをよく知り、ハッキリと物事を決めてからでも遅くないかと思われますが?」
よし!これでなんとかこの空気から脱出できるはず!
そう思って目の前のギラギラ君を見てみるともの凄い顔を真っ赤にして嬉しそうな顔をしていた。
さっきまで凄い落ち込み様だったのに・・・。
「それは婚約を結んでくれるということか!?」
そんなことを考えているとギラギラ君もといギルベルトが私の手を掴んでそう言ってきた。
え?どうしてそうなってんの?
私はただ穏便に彼を振りたいがために行った言葉なのだけれど・・・。
「ちっ違います!!私はただ貴方を好きではないのに場に流されてに答えてしまっていけないと思い、なるべく穏便に済ませようとしただけです!」
あっ!ヤバイ!!つい勢いで言ってしまったけど・・・、何とかなるかな?
「俺は、雪に嫌われては無いのだな?」
あれ?思ってた返答と違う?
「そうか!なら良かった・・・。」
私が頷いたのを見て彼はそう言った。
正直こんなことを言われるだなんて思っていなかった。
なんだ結構可愛いとこあるじゃん!本当に人生をあの時からやり直したんだねと、思っていると彼はこちらを向いて「ならば!雪に俺を好きになってもらうだけだ!!」とか言い出した。
ねぇ、いい加減疲れたからさ、コイツ殺してもいい?良いよね?
「待っていろ雪!!いつか絶対俺に惚れさせてやる!!」
そう言った瞬間玄関ホールの中で歓声が上がった。「王子~!頑張ってください!!」とか「兄様!!ファイトです!!」とかいう声が鳴り響いていた。
それらの声に目の前のギラギラ君は「応援よろしく頼む!!」とか言って周りの声に応えていた。
もう帰る!なに!!玄関ホームは私のトラウマや黒歴史を作る場なのか!正直もう来たくない!!
「では、失礼します」と言ってその場から逃げるように出ていった。
「待ってくれ!!」と、声が聞こえたけど無視した。こっちの都合も考えて欲しい!
ようやく里に戻ってきた。でも戻る最中に火蓮がチョッカイを掛けてきたからやり返した。そしたら本気で怒ってるのが伝わったみたいでもうからかってはこなかった。
もうあんな経験はしたくない・・・。切実に願うよ・・・。
帝国編終了です。
有難うございます!!
次は色々伏線にも出ていた勇者編です。
年数が経つ予定ですがよろしくお願いします。