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「ねえ紅蓮、貴方は人間の常識を何処まで知っているの?」
そう、まずはそこからだ。紅蓮がどこまで人間の常識を知っているのか、それによっては教えることが変わってくるからそこはちゃんとハッキリさせとかないと。
「そうだな・・・。取り敢えず大体神獣は人間を愚かなものとしか認識してないしな、まあ俺もその中の一人なのだが、だから自分が人間の常識だと思ってても違うかもしれない事が多いと思うから大体の事は教えてくれないか?」
「そうですか。では大体の常識についてお教えしましょう。画面の前の皆さんも是非聞いてくださいね?」
「画面?なんの話だ?」
「それではまずこの世界の事と様々な国について説明しましょう。」
こういう時はスルースキルが必要だ!紅蓮も出来るだけスルーしてくれ!
「この世界には大きな国が6国あります。それ以外の小さな国もありますがその6国の派閥のどれかに入っています。勢力順から言うとクリュニー神国、ウィリアム帝国、ハプスブルグ皇国、ハンベルン王国、蘭武国、黒国、魔国ですね。略して下二文字の言葉で国を表すのがよく使われます。
私達黒国以外は多くの土地を所持しております。中でもここ、帝国が一番所有地が多いでしょう。」
「む?では何故神国とやらが帝国より勢力が上なのだ?」
「いい質問だ紅蓮。それについては俺から説明しよう。この世界ではなある一つの宗教が存在する。デメテル教という宗教名で、我々の大地に潤いを与えてくれる神様がデメテルという神様らしくその神様への感謝の心を持つという教えの下行われている。他の宗教も勿論存在するが、大体の大元がこのデメテル教だ。そして、そのデメテル教の中心地が神国なんだよ。
人々の信仰心を集める場所、これほどの所がこの世界で一番の地位に居ないと可笑しいだろう?神国は神による神聖な空気が張り巡らされているのだそうなだからこそそこには神に仕える神官しか暮らせないこととなっているんだ。まあ、異常事態が発生したら入れるけどな。余程のことがない限り有り得ないだろう。」
「ふむ、なるほど・・・。それではその神国とやらは土地や武力などではなく人の信仰心によって成り立っている国なのだな?そして次がここ、帝国だと。」
「ええ、そうです。帝国は主に武力で領土を拡大してきた国の一つね。武力によって領地を拡大したのは帝国以外には皇国に王国です。」
「それでは帝国が実力といったら一番ではないか?」
「まあ、そう考えるのが普通なのでしょうけどこの3国もさほど武力に関してはそんなに大したさはないのですよ。順位を付けられている理由は土地の広さと質です。この3国の決定的な差は他にあります。
一番分かりやすいのが皇国でしょうね。皇国は魔人の国と言われています。勿論人間もいますが魔人の方が圧倒的に数が多いです。王国は帝国とも似ていますが王国は人間史上主義なところがあります。帝国は魔人も国民の中にちゃんと居ますから。」
「ほう?色々と面倒なのだな。」
「ええ、皇国と王国は種族の関係で国同士の争いが絶えませんからね。」
「それでは次の順番の武国とやらはどうなのだ?」
「武国については私から説明するわ、雪ちゃんはあまり知らないでしょうし。」
「そうですね。姉上よろしくお願いします。」
「それじゃあ説明するわね。武国は色々と特殊な人が集まっているのよ。他の国からは黒国と同じ中立国家としてみられているけど実態は全然違うわね。私達は実際に色んな国へと中立国家らしく務めているけど、武国は違う。彼処はただ自らの力を高めたい人々が集まる国よ。武道を極めたいのならばその道を魔術を極めたいのならばその道に行くことが許されている国、つまりは国家がその人が優秀だった場合に後押ししてくれるのよ。まあ、自己満足の為に人が集まる国とでも考えれば手っ取り早いかもね。
そんなんだから周りからあまり驚異に思われていないのよ。でも、一応王家があるし何より土地が大きいからね。順位に組み込まれているのよ。なんでも、今の状態になるまでは凄く強くて大陸に敵無しの国だったらしいけどね。勿論私達を除いてだけど・・・」
へ~そうだったんだ。初めて知った。今度行ってみようかな?
「うん、よくわかった。それじゃあ次にお前達の黒国だったか?について説明してもらえるか?やっぱり先程のような国と同じで土地が多いのだろう?どのような国なのだ?」
「はい、まあ世界的に見る土地は広いことは広いのですけど・・・。私達の黒国は他の国の地図には載っていなのですよ・・・」