泡沫
夢を見ていた。
短く切ない夢を見ていた。
ボクの見る夢はいつだってそうなんだ。
未来のこと、二人のこと、相手のことを第一に考えて、深く重い歪な形をした思念が宿る。そのために嫌われ、蔑まれ、否定される。
もう慣れっこになってきたのかもしれないが、悲しいよ。虚しいよ。どれだけ人を好きになっても、どれだけ人を愛しても、どれだけ人を大切にしても、理解などされないし、それが当たり前だと思う。
でもね、理解しようとして届かないのと、最初から理解しようとすらしないのを『同じだ』と片付けるなんて、あまりに乱暴じゃないか。
夢は儚いもので、真実なんて無いのかも知れないし、表面的で軽薄な繋がりや、内面的で重厚な繋がりに違いもなければ、意味すらないかもね。伝わらない気持ちが、空を駆け抜けて、虹の向こうに消えていくような感じだ。
人の気持ちなんて所詮は移ろいやすく、無機質で、どれほどしっかりと紐を握り締めていても、ふとした拍子に手を離れ飛んでいく風船のようなものだ。我が身、我が意志とは完全に切り離された、まったくの別物。
憂き世の真実は、夢と消え、塵となり芥となる。
そんなもんさ、ボクの人生なんて。
一生涯、孤独感に苛まれて生きていけば良いのだ。
そんなもんさ、ボクの人生なんて。
少しでいい、少しだけでいいんだよ。ボクのこの孤独を認めておくれよ。
自滅するつもりはさらさらないし、悪行を犯すつもりもない。ただ、ボクを、ボクの心を、安らかに眠らせて欲しいだけなんだ。
二年前のあの日、既にボクの肉体は滅んでしまった。
ここいらの土地柄で体は土葬されている。地中深く埋められたボクを再び蘇らせるような蛮行は止めてくれ。ボクの肉体はもうすぐ土に還る。放っておいてくれ。現世に未練など無いし、もう人を殺したくはないんだ……。
懇願も虚しく、掘り返され、蘇らされたボクは、また人を殺し始めた。
2009年1月。




