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雲
缶の蓋を開けると、プシューと音を鳴らし、中から空気が飛び出てくる。
缶のふちに口をつけ、流し込む。口の中で液体が激しく踊り続け、喉を通っていく。ぐっと顔に力が入り、目を瞑る。
はぁ、と息を漏らして目を開けると、青空が広がっていた。
青空の中に雲が浮かんでいる。母がよく作ってくれたオムライスの形みたいだ。
「ねぇ、何見てるの?」
沙羅が僕の隣に座り、空を見上げている。
「あぁ、あそこの雲」
沙羅は、僕が指差した方向にある雲を見る。
「あぁ! あの雲ね。ウチの実家の太った猫みたい」
「実家の猫かぁ。今度実家の猫に会いに行ってもいい? もちろんご両親にも」
さっき飲んだ炭酸飲料が、口の中に甘く甘く残っている。




