表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SSR看護師天使、地上に放置された結果——世界最強の闇落ちアイドルができました  作者: ふりっぷ
第一章 御使いガールズの誕生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/24

御使いガールズと十の未来 ~青の粒子、揺らぐ運命~

崩れゆく世界でも、

笑って騒いで生き残ろうとする娘たちと、

静かに未来を選ぼうとする佐和子の物語です。

「閲覧者が、この部屋の惨状で見ると笑っちゃうよね」


恵が鼻を鳴らす。


翔はその様子に頭を抱えながらも、どこか呆れたように言った。


「なぁ、いい加減に俺の部屋から出てってくんねぇ?

オレもう心がもたない」


――ゴミの山に埋もれたソファで、

半泣きの翔がスマホを握りしめる。


「え、でも今ここが“世界の拠点”って感じじゃない?」


夏樹がカチューシャを揺らしながらキョトンとする。

ねずみの耳がピョコンと跳ね、部屋の空気を少し和らげた。


「さっきから警察も来たし、ニュースも取り上げてんだぞ。

俺、このままじゃやべぇって!」


翔の声はすでに半泣きだ。


「まぁまぁ、いいじゃん。私たち救世主なんで」


紗耶香が悪戯っぽくウィンクする。

スマホ画面に映る「御使いガールズ」

ハッシュタグが、通知音を鳴らした。


「私、救世主って言われるの初めてだ」


恵がほんの少し誇らしげに言うと、夏樹もふっと笑った。

――その笑顔の向こうで、空の塵が窓辺に薄く積もり始める。


◇   ◇


ガウは地球が塵に覆われていく姿を見ながら、佐和子に話し掛けた。


「この惑星の未来を、大まかに十通りに分けた」


佐和子はその言葉を静かに聞いていた。


視界の先では、塵に飲まれていく青い星が、

まだゆっくりと自転を続けている。


――その隙間から、かすかな金色の粒子が混じり、

星の息吹のように揺らめいた。


「――どの未来も、これまでの人類の延長ではない」


佐和子は呟くように繰り返す。


「お前たちが選んだ過去の積み重ねが、この終末を導いた。


その先をどうするかは、

この星の者に委ねるべきだと私は考える」


ガウの声は酷く冷静だったが、

わずかに揺らぎが混じっていた。


――彼の影が、虚空で一瞬、

佐和子のシルエットを映すように歪む。


「なら、なぜ“私に選べ”と言うのです」


佐和子は一歩踏み出し、ガウの影にその足を踏み入れた。

――その瞬間、二人の間に微かな熱気が生まれる。


「私は……滅びの未来を受け入れることなど出来ません」


静かに、それでも確かな声だった。


ガウはほんのわずか、唇の端を歪めた。


「その言葉もまた、未来のひとつを確定させる」


大気圏の外、塵と光の奔流に包まれた宙で、影が揺らめく。


「だが、勘違いするなよ。

私は今も“受肉”などしていない。


ただ、この星の未来を十通りに分岐させ、

その内のひとつに確定の種を撒くに過ぎん」


佐和子は視線を上げ、ガウの瞳を探る。


黙してそれを受け、やがて自らの胸元に触れ、囁く。


「ならば私は――“この星の娘たち”を信じてみます」


その瞬間、佐和子の周囲の空間が微かに歪んだ。


塵の中で青の粒子が舞い、十の分岐の一部がかすかに揺らぐ。

――それは、地上の天使たちの笑顔を映すかのように、優しく輝いた。


「いいだろう。それもひとつの答えだ」


ガウは最後にひとつ、言い残した。


「覚えておけ、佐和子。

この星の魂の総量は変わらん。


誰かを救えば、その分どこかが沈む。

それが“運命”というものだ」


――その言葉に、ガウの影が佐和子の手に優しく触れ、

ゆっくりと虚空に溶けていく。


残された佐和子は、その場で目を閉じ、

そっと手を胸の前で組んだ。


「……私は、それでもいい」


青の粒子が彼女の周りを包み、静かな決意を照らす。


佐和子は分かれた分岐のひとつ、

「ダンジョンが世界に溢れ、滅亡する未来」に目を向けた。


彼女の体から、ちび佐和子が飛び出してくる。

――小さな翼をパタパタさせ、

無表情ながらもキラキラした瞳で主を見つめる。


「ひとつでも多くの世界を救うのよ」


佐和子がちび佐和子に語り掛ける。


ちび佐和子は無表情で敬礼をした。

その小さな手が、未来の鍵のように輝く。


佐和子は微笑んでそれを返す。


「私はここで、すべての惑星が滅亡するまで

ガウを待つことになりそうだから」


――虚空に残る青の粒子が、

地上の娘たちへ向かって、そっと降り注ぎ始めた。

部屋の笑い声も、

虚空で揺れる分岐の影も、

すべては彼女たちの“選ぶ未来”につながっています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ