表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SSR看護師天使、地上に放置された結果——世界最強の闇落ちアイドルができました  作者: ふりっぷ
第一章 御使いガールズの誕生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/24

魔核の継承 ~身代わりの微笑み~

終末の粒子が降り続き、運命そのものが軋み始める世界。

一度は笑って流した冗談が、誰かの未来を左右する時がある。

「しずちゃん、助かったー!」


夏樹がハンマーを肩に担ぎながら、満面の笑みで駆け寄る。


「テレビ中継されていたので、とりあえず向かいました」


志津香は簡潔にそう告げると、腰巾着から黒い塊を取り出した。


ゴゥゥン…と低く唸るような音。


黒い岩のような塊は、まるで心臓のように脈動していた。


――表面に赤黒い血管が這い、触れる空気すら震わせる。


「これを装備してください」


「いやいやいや、明らかにヤバそうなんだけど!?」


夏樹がハンマーを盾に身を引く。


「オロロローン」


謎の低音の共鳴音に、恵と紗耶香も肩をすくめた。


「魔王の魔核です」


「いや、だから私ら天使でしょ!?」


恵が慌てて翼を広げ、守りのポーズ。


「じゃあ、私が装備します。

 先程の海獣にもこれの力を使いましたし」


「ちょっと待って! そういう意味じゃないって!

もうそういうの、もっと偉い人に許可とってから使おうよ!」


志津香は少し視線を落とし、静かに告げた。


「ガウはもう、戻ってきません」


「え……何かあったの?」


志津香の手が、魔核の上で微かに震えた。


「婚約者の仇です」


その一言に、場の空気が冷えた。


さっきまでソフトクリームを舐め、

遊園地で盛り上がっていた空気が、一瞬にして静まり返る。


夏樹も、紗耶香も、恵も、言葉を失い、

その目にだけ志津香を映した。


「……ちょっと長くなりそうね。

 一旦、場所を移しましょうか」


夏樹がふっと肩の力を抜き、微笑む。


「そうだね。まずは、話聞かせて」


四人はテーマパークで逃がした男のマンションに入り込んだ。


IDを移してあるので、逃げられるわけがない。


ドアを蹴破る音が響き、埃っぽい空気が鼻を突く。


「うわ、汚な。ゴミ袋捨ててないじゃない」


紗耶香は腰に手をあてて言った。


「広さはあるのにもったいない」


恵がきょろきょろと物色を始める。


「匂い除けもしておきましょう」


志津香がどこからか取り出したスプレーを辺りに吹きかけた。


「俺の顔に吹きかけるのやめろっつの!

って一人増えてるし!」


男――北島 翔はむせながら叫ぶ。


北島翔(きたじまかける)。逃げ足がとっても早そうなお名前ね」


紗耶香はベッドに腰掛けながら言った。


「紗耶香さん、貴方はあの戦いで死んでました。

クレタ島の次元断裂に巻き込まれて」


「えっ」


紗耶香の目が見開かれる。


志津香は紗耶香の前で土下座した。


「本当はこんなこと言うべきではないのはわかっていました。

でも、武雄が寿命を削ってまで得た情報を伝えたかった。

私の自己満足なんです」


声がわずかに震え、魔核の脈動が部屋に響く。


紗耶香も膝をついて首を振ると、志津香を抱きしめた。


「だって…看護師天使になる前に私もう死んでいるし、

今は放課後みたいな感じかな」


二人の翼が触れ合い、淡い光が漏れる。


「でも、10ある未来の9が滅亡で、1つだけ免れる選択があり、

仮にその1つを選択出来たとしても…


そういう惑星は最後には滅亡するんです。

そういうものなのです」


「……あの時免れた死は、またどこかで襲い掛かってくる」


「それって身代わりをたてられないのかしら?」


「えっ?」


恵も夏樹も同時に声を上げた。


「冗談よ。私ってずるい女だから、そういうこと考えちゃうの」


紗耶香がウィンクし、皆の緊張を少し解す。


志津香は神妙な面持ちで応じた。


「身代わり信仰は民俗学的にも、普通に古くからあります。

紙の人形を厄除けとして川に流すとかですね」


「いつか言おうと思っていたけど、

しずちゃんの普通って、普通じゃないときあるから」


紗耶香は指を組みながら言った。


「だから聞きたいの。

 身代わりを出すにはどうすればいいと思う?」


「運命に対する身代わりということであれば、

等価交換になると私は思っています」


魔核がゴゥゥンと強く脈動し、

部屋の空気を重くする。


紗耶香は怪しい笑みを浮かべた。


「それなら答えは出たじゃない。

紙の人形なんかじゃ到底追い付かないってことよね」


彼女はすっと立ち上がると、魔核に手を伸ばした。


黒い塊が応じるように震え、赤い光が指先に絡みつく。


「その魔核、私がもらうわ」


――その瞬間、紗耶香の瞳に、戦場の影がよぎった。



読んでくださりありがとうございます。

魔核の継承は、彼女たちの選択と運命の分岐点になる重要な章です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ