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SSR看護師天使、地上に放置された結果——世界最強の闇落ちアイドルができました  作者: ふりっぷ
第二章 マクタン島 カジノ神殿ラピス・レクイエム編

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融合の裸再会 ~カジノ神殿と残留思念~

再会は、いつも理想通りとはいかない。

融合、残留思念、不完全な復活――

それでも「戻ってきた」ことに意味はある。

「おおい、ここから出してくれぇ」


ラウルのポケットから声が聞こえた。


(リズ、どうした。声を上げるな)


ポケットの口を開くと、

金髪の美女がするりと飛び出してきた。


ポケットの内側を抜け、陽光に晒されたその姿は、

思わず目を細めるほど眩しい。


「最高だ、ラウル。よくやった!」


両手でがしっと手を握られ、ラウルは思わず口を開く。


「はぁ!?」


だが、相手は意に介さず満面の笑みだった。

金色の髪が肩先で揺れ、まるで現実感のない存在感を放っている。


「ちょっと待て。リズをどこにやった?」


「お前がドリップの意思を拒絶したおかげでな。

残留思念がこっちに流れ込んできた。


今の俺は……ほとんど一体化してる」


その言葉を遮るように、ユキが勢いよくリズに抱きついた。


「ドリップ……もう二度と会えないと思ってた」


「すまんな」


リズはユキの頭を軽く撫でる。

その仕草は、確かに“懐かしい誰か”のものだった。


だが、ユキの腕に込められた力に、リズが小さく呻く。


「あと、公衆の面前で裸は駄目」


「最初は誰しも裸で生まれるものだろ」


「そんな理屈はいらない」


ユキは一層力を込める。


「い、いてぇ……今の俺はほとんど力が残ってないんだぞ」


「心配させた罰。買い物に付き合ってもらうから覚悟して」


「……わかった。だから腕を外せ」


ユキはため息をつき、自分の上着をリズの肩にかけた。

金色の髪が布の隙間から覗き、そこだけ妙に神々しい光を帯びる。


その光に引かれるように、金色の粒子が周囲を漂った。


「このリゾートに足りないもの、分かるか?」


「魔物避けの結界だ。強化しないとユキが動けない」


ラウルが即答する。


「違う違う。カジノと神殿だ!」


リズが両手を広げると、

肩にかかった上着がはだける。


ユキが素早く立ち上がり、前のボタンを留める。

テーブルのカップがかたんと音を立てた。


「両方一緒に建てよう。カジノの神殿!」


「また言葉が乱れてる!」


ユキは軽く脛を蹴る。


「いてて……巫女が踊るのは古代の正統だぞ」


「そこだけ史実を持ち出さない!」


一瞬、場の空気が緩む。


だが、遠くでは異形の咆哮が響き、

金色の粒子がわずかに震えた。


――それは、再会というには歪で、

融合というには、あまりに切実な瞬間だった。


金髪の美女は、確かにリズの面影を持っている。

だが、声色や視線の奥には、別の意志が混ざっている。


この場に立つのは――

リズでも、ドリップでもない。

その両方だった。


ユキの抱擁に応えるその手には、

かつて戦場で触れた体温の記憶が宿っている。


それを見つめるラウルの背に、冷たい汗がにじんだ。


――俺の選択は正しかったのか?

だが、残留思念でもドリップはここにいる。


金色の粒子が揺れ、

リズの瞳の奥で、微かな影が静かに瞬いた。


ラウルは首を振り、小さな疑念を追い払った。


「で、そのヴィトンのバッグってどこで買う気だよ」


ラウルが呆れたように尋ねると、

リズはふふんと鼻で笑った。


「決まってるだろ、日本だよ。

前に預けたクレカがまだ新宿の喫茶店にあるんだ」


「まだ残ってんのかよ」


「聞いて驚くな、店主はあの武雄だ。

きっと律儀に店を守り続けているに違いない」


「日本か…少し遠いな」

「ちょっと試したいことがあるんだ。

 カメの精霊を使う」


ユキが目を輝かせ、即聞き返す。


「カメの精霊?」


「ああ、マクタン島の海辺に呼べば来るぜ。

『カメ、カメ、カメェェェェェ!!』ってな」


ラウルが肩をすくめた。


「そんな子供騙しみたいな……」


ユキが半信半疑でリズを睨むが、

リズはニヤリと笑って海岸へ引っ張る。


「本当に来るからな。

崩壊後の世界でデカくなってんぞ。

世界中で唯一、先の大戦をボイコットした伝説のカメだ」


「いや、伝説のカメって何だよ」


ラウルがつぶやくが、二人は構わず海岸で叫んだ。


「カメェェェェェ!!」

「カメカメカメェェェェ!!」


叫び声が波に響き、海面が泡立つ。

巨大な影が、ゆっくり浮上した。


「本当に出たぁ!」


ユキがぴょんぴょん跳ねる。


「よし、ユキ乗り込むぞ!」


「カメさん、空間魔術を使えるんだ」


「こう見えて移動も早い。

明日には日本に着くだろう」


甲羅の隙間が歪み、空間の渦が二人を飲み込むように――。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

重たい設定のはずなのに、なぜか騒がしい三人(+カメ)。

次回は舞台を一気に日本へ。

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