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勇気の試練、過去の幻影

 慈悲の試練を乗り越えた三人は、北の都の奥地にある、険しい山岳地帯へと入っていった。この山の奥に、須弥山があるという。


 次の試練は、「勇気の試練」。須弥山に近づくにつれて、魔物や妖気が跋扈するようになるという。


 山道を歩いていると、突如として、巨大な岩石が彼らの前に立ちはだかった。


「くっ、なんだ、あれは……!」

 アレスが、剣を構える。


 岩石は、まるで生きているかのように動き出し、三人に襲い掛かる。


「アレス、下がって!」

 シャクが、観音経を唱え、岩石を浄化しようとする。しかし、岩石は、シャクの力に耐え、攻撃の手を緩めない。


「くそっ、キリがない!」

 アレスが、岩石を切り裂こうとするが、岩石は何度でも再生する。


 その時、岩石の奥から、禍々しい妖気を放つ、無数の騎士の亡霊が現れた。

「我が名は、ロベール!  西の騎士アレス!  貴様の臆病さが、我らを敗北へと導いたのだ!」


 亡霊たちは、アレスに向かって、一斉に襲い掛かる。


「な、なんだと……!?」

 アレスは、亡霊たちの姿を見て、驚愕する。彼らは、アレスが生前、共に戦った仲間たちだった。


「アレス……、この人たちは?」

 シャクが、亡霊たちを見て、尋ねる。


「……生前の、俺の部下たちだ……。俺の、臆病な判断で、皆、死なせてしまった……」

 アレスは、亡霊たちの姿に、過去のトラウマを呼び起こされ、動揺する。


「アレス!  貴様のせいで、我らの故郷は、北の王家の手に落ちた! 貴様の臆病さが、我らを死に追いやったのだ!」

 亡霊たちは、アレスの心に、憎しみの言葉を投げかける。


「違う!  俺は……!」

 アレスは、反論しようとするが、言葉が出てこない。亡霊たちの言葉は、アレスの心に突き刺さり、アレスは、膝をついてしまう。


「アレス、しっかりしてくれ!」

 シャクが、アレスに駆け寄り、声をかける。


「シャク……。俺は……、臆病者だ……。皆を、死なせてしまった……」

 アレスは、過去の罪悪感に苛まれ、絶望に打ちひしがれていた。


 しかし、その時、カーミラが、亡霊たちに向かって叫んだ。

「うるさいわね!  いつまでも、過去の亡霊に囚われているんじゃないわよ!」

 カーミラの言葉に、亡霊たちは一瞬、動きを止める。


「アレスは、臆病なんかじゃないわ!  仲間を守るために、必死に戦ったのよ!  それを、貴方たち、わかっていたでしょう!?」

 カーミラは、涙を流しながら、亡霊たちに訴えかける。


 カーミラの言葉に、亡霊たちは、少しずつ、表情を変えていく。

「……そうだった……。アレス様は……、私たちのために……」

「……我らは、アレス様を、信じていた……」

 亡霊たちは、過去の記憶を取り戻し、自分たちの過ちに気づく。


 その時、シャクが、アレスに向かって、静かに語りかける。

「アレス。過去は、変えられない。しかし、未来は、変えられる。俺たちは、アレスと一緒に、未来を変えたいんだ!」

 シャクの言葉に、アレスは顔を上げる。


 シャクの瞳には、慈悲の光が宿っていた。


 アレスは、亡霊たちに向かって、深く頭を下げる。

「……皆、本当にすまなかった。俺の臆病な判断で、皆を死なせてしまった……。しかし、俺は、もう、逃げない!  シャクとカーミラ、そして、皆の想いを胸に、俺は、未来を、変える!」

 アレスの言葉に、亡霊たちは、安堵の表情を浮かべる。


「アレス様……。我らは、貴方を、信じておりました……」

 亡霊たちは、光の粒となって、空へと昇っていった。


 亡霊たちが消えると、巨大な岩石も、ただの岩石へと戻っていく。

 アレスは、立ち上がり、シャクとカーミラに、深々と頭を下げた。


「二人とも……。ありがとう……。俺は、過去の幻影を、乗り越えることができた……」


 アレスの言葉に、シャクとカーミラは、安堵の表情を浮かべる。

 三人は、勇気の試練を乗り越え、須弥山の頂上を目指す。

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