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毒龍の討伐依頼

 南の都を悪政王の支配から解放したシャク、アレス、カーミラの三人は、新たな旅の準備を整えるため、冒険者ギルドを訪れた。ギルド内は、依頼を求める冒険者たちでごった返している。剣を磨く戦士、魔法の杖を握る魔術師、そして弓を構える狩人。皆、それぞれの目的を胸に、掲示板に張り出された依頼を熱心に吟味していた。


 シャクは、静かに依頼掲示板を見つめる。民のために戦うことはできたが、彼自身はまだ、この世界での常識や冒険者としての知識に乏しい。


「シャク、何を探しているんだ?」

 アレスが、隣で掲示板を覗き込む。


「いえ、なんというか……俺たちにできることは、いったい何なのかな、と思っていて」


 シャクの言葉に、アレスは苦笑する。


「気にすることはないさ。シャクにはシャクの戦い方がある。それに、俺たちがいる」


 カーミラも、いつもの調子で軽口を叩く。

「そうよ、シャク。私たちは最強のパーティーなんだから!」


 掲示板の片隅に、埃をかぶった一枚の依頼書があった。他の依頼が次々と持ち去られていく中、その依頼書だけは誰も手を出そうとしない。不思議に思ったアレスが、依頼書を手に取ると、依頼内容を見て表情を変えた。


「毒龍……だと?」

 依頼書には、毒龍の討伐が記されていた。しかし、アレスが倒したはずの毒龍が、なぜ再び依頼として出ているのか。


「どうしたのアレス?  そんなに顔色を変えて……」

 カーミラの問いかけに、アレスは依頼書を握りしめ、震える声で答える。


「こいつは、俺が昔、倒したはずの毒龍だ……」

「まさか、毒龍が復活したってこと!?」

 アレスは静かに頷き、依頼書に記された補足情報を読み上げる。


「……どうやら、毒龍は魔女たちの復活魔法によって再生したらしい。しかも、以前よりも強力になっている、と……」

 依頼書の依頼料は破格の額だった。しかし、それ以上に、依頼書の「魔女」という言葉に、カーミラは怯える。


「魔女って……きっと、魔法も強力なんでしょう?  恐ろしいことになりそうだわ……」

 アレスは、再び毒龍と戦うことを決意する。


「シャク、カーミラ。この依頼、俺が引き受ける。一度倒した相手だ。今度こそ、完全に仕留める」


 シャクは静かに頷き、アレスの背中を押す。

「アレスが倒した相手なら、アレスにしか倒せない。俺も、力を貸します」


 カーミラは、少し怯えながらも、二人の決意に背中を押され、小さく頷いた。

「わ、私も、行くわ……! シャクの、役に立ちたいし……!」


 三人で依頼を引き受け、ギルドの受付で手続きを済ませる。受付嬢は、依頼の危険性を改めて説明するが、三人の固い決意に、静かに見送るしかなかった。


 魔女と毒龍が住む森は、都から遥か彼方にある。三人は、馬を駆り、森へと向かう。森の入り口に近づくにつれて、空気は次第に重く、湿気を帯びていく。道端には、毒によって枯れ果てた植物や、不気味な形に変形したキノコが生えている。


「……なんだか、嫌な感じね」

 カーミラが、身を震わせながら呟く。


「毒龍の魔力だろう。以前よりも、遥かに瘴気が強い」

 アレスは、剣の柄に手を置き、警戒を強める。


 森の奥深くへと進んでいくと、やがて、朽ち果てた古い城が見えてきた。城の周りには、禍々しい魔力を放つ結界が張られている。


「……あれが、魔女たちの住処か」

 シャクは、静かに結界に近づき、手をかざす。すると、結界はまるで彼を歓迎するかのように、静かに開いた。


「シャク……!?」

 驚くアレスとカーミラをよそに、シャクは平然とした表情で、城の中へと足を踏み入れる。


「心配いらない。ここには、悪意しかない。だから、俺の力で浄化することができます」

 城の中は、毒々しい色彩の植物や、不気味な魔法陣で彩られていた。城の奥から、毒龍の鳴き声と、魔女たちの不気味な詠唱が聞こえてくる。


「いよいよ、決戦か」

 アレスは、剣を抜き、シャク、カーミラとともに、毒龍と魔女たちが待つ城の最深部へと向かう。


 三人の、新たな戦いが、今、始まろうとしていた。

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