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挑発

九号室。第四の被害者・千田の部屋。

さあ最終確認だ。

壁一面に描かれた醜い化け物の絵。

妙に存在感がある。

これはブタ? いや猪か? まあどっちでもいいか。

鼻のところが取っ手になっている。

かなり変わった趣向で私には真似できない。

ただの落書きにしか見えないシュールな絵。

化け物は何を見ている?

これはネズミかな。

まあどうでもいいか。とにかく確認。確認だ。

鼻の上にある鍵穴に差し込む。

ロックが解除され隣の部屋にご案内。


十号室。

隣はマジシャンの部屋。

さすがに相棒とは違う。常識ある立派な探偵。

見えるもの以外はなるべく触れないようにする。

うん?

反射して何かが光った気がする。

バッジだ。これはまさか……

いけないとは思いつつバッジを確認。

何か文字が彫り込んである。


【犯罪被害者の会】

マジシャンも会員だったらしい。

確かに副会長の龍牙がそんなこと言ってた気が……

このバッジによりマジシャンが犯罪被害者の会の者だと確証を得る。

龍牙の話のみだったので俄かには信じられなかったが。

マジシャン自身かその家族が被害に遭ったことになる。

または親友や恋人の可能性もあるが。どうであれ動機はある訳だ。

だとすれば彼も何らかの形で今回の事件に関わっている?


お邪魔しました。

無人の部屋に挨拶し元の部屋へ。

うん。収穫はあった。さあ戻るとしよう。

皆が待つ食堂へ。

相棒には先に戻るように言っておいたがどうか?


言い付け通り相棒は食堂で大人しく待っていた。

「お待たせしました皆さん」

やけに騒がしい。何かあったのだろうか? 

「おめえがやったんだろうが! 」

「何だと? ふざけるのもいい加減にしろ! 」

最悪の雰囲気。二人は一体何を揉めてるのだろうか?

早いところ止めなければ。どうも嫌な予感がする。


「どうしました奈良さん。黒木さんも止めてください」

二人が言い争いを始めている。単なるいざこざだとは思うが。

「俺が犯人だって言うんだぜ。もう我慢ならない! 」

「うるせい! 一番お前が怪しい。こいつにはそんな度胸ないし。

マジシャンは第一の事件には縁遠い。

婆さんやガイドたちでは撲殺なんて無理だ。

山田って奴もただの奥手のおっさん。第三の事件でも閉じ込められていたしな。

残るは探偵だが動機がない。だったらもうお前しかいないだろ? 」

黒木は奈良が怪しいと見ている。

うん。早計な気もするがまあ確かに消去法ならそう考えても不思議ではない。


「いや俺にだって第一の事件は無理さ。山田さんぐらいなものだよ」

第一の事件の容疑者は山田さんか?

だが連続殺人を一人による犯行だと仮定した場合彼では無理が……

第三の事件で閉じ込められていた山田さんは容疑から外れることになる。

山田さんは口を挟むことなく様子を見守っている。

「あんたの方が怪しいだろ黒木? 」

奈良はすべての事件に黒木が関係していると主張する。

その根拠があるのだろうか?


「第一の事件は愛人から山田さんの部屋が開いてることを知り得た。

そして第二の事件は元々愛人。どうってことは無い。

第三の事件だって仲間だった鑑定士だ。どうにでもなる。

第四の事件だってこう言えばいいだろ。

『もう疲れた。自首する』

いくら被害者だって仲間がばらすと言ったら飛び出さずにはいられない」


確かにこうすれば殺すことは可能だろう。

ただその後だ。密室は完成しない。

我々がさっき見つけたトリックを使わない限り不可能。

だが逆に言えばトリックを使えば犯行可能。

確かに黒木なら第一の容疑者になり得る。


「おい待てよ。俺には動機がないぜ? 」

黒木が被害者たちと一緒になって詐欺を働いていたのはほぼ皆知っている。

それは我々と一緒に調査したガイドさんも。それ以外も何となく知っているはず。

もちろんこれは建前に過ぎない。

ここにいる者は全員黒木たちに騙された者またはその家族。

だから生き残った黒木を擁護する者はいない。


「仲間割れで殺したんだろ? 」

小駒さんが口を挟む。

「何だとこの! 」

もう冷静ではいられない黒木。

それもそのはず。一人切りでは勝ち目もなければ余裕もない。

「お前らは人間の屑さ! 人を騙した金で遊び惚けてるんだからね」

直球で攻める小駒さん。

「うるさいな俺は知らない。一体何の話をしてるんだ? 」

この期に及んでも認めようとしない。ほぼ告白していたのに忘れたのか?

これでは犯人云々の前に集団で襲われる恐れも。

これ以上詐欺被害者を侮辱してはいけない。

刺激してもいけない。暴発したら止められないのだ。


奈良と黒木の争いは小駒さんを巻き込み次第に皆を巻き込んで大きくなっていく。

食堂はかつてないほどの熱気に包まれる。

ちょっとしたキッカケで暴発しかねない危険な状態。


                 続く

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