真犯人は意外過ぎる人物
相棒がついに覚醒。私は聞き役に徹することに。
どうやってドアを開けさせたのかが焦点。
「被害者たちは来客があっても警戒して開けないはず。一体どうやって中へ? 」
自分が考えたトリックでは少なくても被害者自ら招き入れる必要がある。
そこをクリアしなければただの密室殺人。不可能犯罪となってしまう。
「それは簡単だよ」
意外にもあっさり答える。いい加減な答えなら許さない。
「理由をつければいい」
「いやだから警戒してるんだろ? 無理だって」
「馬鹿だな。警戒してない人間ならどう? 」
訳が分からない。自分が何を言ってるのか分かってるのか?
いや分かるはずがない。人の気持ちだってくみ取れないのだから。
「警戒してない人間って? 」
「だからニチル。君だって」
ついに真犯人が分かった。
身近にいる意外な人物こそが真犯人だった。
そう私。明後日探偵。
真犯人ドスグロ山の雷人はこの私だ!
「ちょっと待て! 俺じゃない。動機もない。それに一緒にいたじゃないか。
忘れたのか! 」
つい焦ってしまい強めに反論。仕方ない。これも疑惑を完全否定するため。
「だから君なんだって」
また言いやがった。何を考えてやがるこの男?
「とにかく想像してみて? まず君が深夜遅くにノックするでしょう」
どうしても私を真犯人にしたいらしい。
アリバイあるんですけど? 主人公なんですけど?
取り敢えず相棒に言われた通りに動く。
まったく困った奴だ。
無実の探偵を犯人に仕立てようとはまさかこれは真犯人による入れ知恵?
相棒は知らないうちに真犯人にコントロールされてしまったのか?
真犯人は私ではない。私ではないんだ!
信じてくれ! 信じろ!
ドンドン
ドンドン
「はい。どのような御用でしょうか? 」
相棒は被害者役。ただ遊んでるようにしか見えないが。
「あの…… 実はお話がありまして」
「どちら様ですか? 」
「失礼。探偵の…… 」
ガチャ。
ドアが開き招き入れられる。
あまりに簡単なので文句をつける。
「おいおい。これはおかしくないか? 」
「そうかな。だって探偵は人を殺さないでしょう? 」
相棒は勝手な探偵像をイメージするが殺す探偵だって過去には存在した。
もちろんそれは例外中の例外。とは言え今回が当てはまらないとも言えない。
「それで俺が犯人だって言うのか? 」
「ううん。アリバイがあるし動機もない。殺したの? 」
「馬鹿を抜かせ! 犯人のはずあるか! 探偵なんだぞ」
相棒の手前強く出るが自分でも本当はよく分かっていない。
もし消去法で来られたら厄介。否定できない。
参加者の中に真犯人がいなければ必然的に自分が犯人となる。
覚えてようが覚えてなかろうが。記憶があろうがなかろうが関係ない。
恨みなどでもなくアリバイも通用しない。
他の者が犯人でなければ私が犯人になるのはこの閉ざされた空間では至極当然。
外部犯などあり得ないのだから。
「うーん。一人なら可能かもね。でも四人全員となるとこれは難しい」
まだ私を疑ってるよ。
「待てよ! 真犯人が一人とは限らないだろ? 」
必ずしも真犯人が一人とは限らない。
今回も複数犯の可能性がある。いやその可能性を捨てるのはただの馬鹿だ。
一つの事件に一人とも限らない。複数の人物が関わっていても不思議ではない。
相棒はどうもその辺のことが抜けている。
「うーん。一人じゃないの? 」
相棒は推理小説に毒されている。
これはフィクションではない。現実に起きてること。
それがどうして分からないのだろう?
まあ最後にはフィクションって書くだろうが。
「どっちでもいいんじゃない? 」
「いいけど。それだといつまで経っても真相に近づけない」
奴はもう真相に辿り着いたのではないのか?
「一人だと思うよ。現場の痕跡がそれを表している。
判別可能な靴痕が二つ。そして現場がここなら犯人は一人」
「おい靴跡って何だ? 」
「だから靴跡があったんだよ」
「だったら誰が犯人か分かるだろう? 」
「うん。警察が来て鑑識が入ればたぶん犯人か誰か判明すると思うよ」
相棒はあっさり言うが大発見ではないか。
なぜ今まで隠していたのだろう。まさか本気で私を疑っていたのか?
「それで誰が怪しい? 」
もう面倒臭いので名前を聞くことにした。
探偵として早く解決するのが先決。すべての謎を解く必要などこれっぽちもない。
「いや全員。ここにいる者全員が怪しいよ」
相棒は追及をかわす。
奴の方が探偵としてのプライドが備わっているようだ。
少しだけ自分が情けなく感じる。
「まったくお前って奴はもう! 」
とにかく新情報も得た。一歩前進だ。
続く




