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怪しい誘い

この地域に伝わるドスグロ山の雷人伝説。

目撃情報もあるぐらいだ。雷人の力を使えば密室殺人ぐらい訳ない。

まさかあり得るのか? いやそんなはず……


私も探偵の端くれ。この連続殺人事件を化け物のせいには出来ない。

だから当然生き残った者が怪しいことになる。

いつもと変わらずに行動する者が犯人。

だがここに集まった招待客を誰も知らない。

相棒でさえ何を考えてるのか分からないぐらいだ。

彼らの日常など知る由もない。


今ここは閉ざされた極限状態のまさに非日常。

もう四人も殺された。今日殺されるか明日殺されるかと怯えてる。

龍牙まで行かなくても皆動揺してる。真犯人以外は。

真犯人だって人を殺していれば何かしらの動揺があるかもしれない。

だがそれでも四人も殺害したらすでにその段階は過ぎ冷静になってるはず。

あるとすればオーバーアクション。

または犯人と悟られないか異常に警戒してるか。

だからこそ明らかに冷静な者を炙り出す必要がある。


そう言う私も冷静。

だがもちろん探偵だから当然。

これでも探偵で飯を喰ってる。事件にいちいち動揺していたら務まらない。

と言っても事件は優秀過ぎる助手に任せきりで力も落ちてきているが。

相棒と共にそこが最大の弱点。


要するに私は候補から外れる。

ただ自分自身を客観的に見ることは不可能。

寝てる間に豹変しないとも限らない。

犯行時刻が深夜である以上可能性は捨てきれない。

だから正確には真犯人である可能性が極めて低いと言った方が正しい。

これは要するに真犯人候補がすべて脱落した場合再び浮上することを意味する。

探偵であろうと人間。例外は有り得ない。


まあ我々は隣の山に行く予定だったのでまずない。

相棒に気付かれないようにドスグロ山に誘導したぐらいだが。

いやそもそも依頼人の件もでっち上げていればあり得なくもない。

実は誰もが犯人となり得る場合は自分の潔白を証明するのが難しい。

動機がないとか初対面とかも関係ない。

明らかに計画的でなければ候補から外す理由は見当たらない。


相棒についても同じことが言える。

奴が理由があってドスグロ山に来たとしたら疑わしい。

だがそれ以外では私に続いて真犯人に一番遠い存在。

そう言う意味ではガイドさんと料理人の二人も安全圏。

とりあえず彼女たちを信じてみる。


やはり怪しいのはここに招待された者。

特に騙された犯罪被害者の会のメンバーだ。

うしろから相棒と従業員二人が着いて来る。

さあここからが本番だ。気合いを入れて行こう。


「あの…… いいですか? 」

料理人の田中さんが切り出す

まだ現場にも着いてないのに何か閃いたのならそれはすごいこと。

「今さらこの話をするのは混乱するだけなので控えていたのですが…… 

警察がいつ来るか分からない現状では話す価値はあるかなと」

前置きは十分。プラスになるなら何でも話して欲しい。

立ち話も何なのでガイドさんたちの部屋へ。


「まずはホテルについて。開業当初は普通のよくあるホテルだったんです。

オーナは海外の方で地元の新聞にも掲載されていたお金持ち。

バブル期に建てられたお洒落なホテルで人気もあり地元からも歓迎されてました。

バブルが弾けるとあっと言う間に経営が傾きオーナーが変わっていきました。

それからはころころオーナーが変わって現オーナーへ。

ただホテル従業員の誰一人としてそのオーナーの顔を覚えてないとか。

私も一度マスク越しに拝見しましたが特徴がない年齢性別不詳な方でした。

声もこもっていて聞き取りづらかった覚えがあります。

現オーナーになってから企業に貸し出す福利厚生や研修の場に」

ただの料理人がなぜここまで詳しいのか謎だが多少理解を深めることが出来た。

しかしこのオーナーは怪しすぎる。

現在失踪中と言うではないか。


「何で知ってるの? 」

相棒は疑問を口に出すタイプ。

隠し事も苦手。だからもし真犯人が分かっても相棒にだけは教えられない。

「失礼だろうが。せっかく話してくれたのに」

「いいんです。これだけホテルについて調べてるのは異常に思えるでしょうね。

それは私だって理解してるつもりです」

料理人の告白はまだ続く。


                   続く

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