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第四の犠牲者

二泊三日の楽しいバス旅行。

ドスグロ山のドスグロホテルに滞在しなければこんな悲惨な目には遭わなかった。

誰もが抱く想い。それは飛び入り参加した我々も同じ考え。


ついに四日目の朝を迎えた。

今日こそは全員無事に朝を迎えられたと思ったのに。残念ながら新たな犠牲者が。

毎日一人ずつ殺されている計算だ。

考えたくはないがもしこれ以上下山が遅れれば全滅もあり得る。


とりあえず現場の状況を確認。

鈍器で殴られた痕は生々しく血だまりが広がる。

凶器は例のごとく壺であろうか。まだ断定出来ないが残骸がある以上はほぼ確定。

連続殺人は再び起きた。

第四の被害者は千田氏。

被害者は頭を鈍器で複数回殴打されたことによるショック死だと相棒の見解。

「他に分かったことは? 」

「もう少し調べないと分からないよ。ただ今は現場を保存すべきかな」

相棒は状況判断が出来ている。数時間後には警察が到着することに。

遅くても昼までには来られるはずだ。

だから余計なことはせずに保存しようと。私も同意見。


とにかく全員を食堂に集めることにした。

被害者はバスツアーで最年少の千田。

ジュエリーの販売員としてこのツアーに参加した詐欺グループの一人。

なぜ彼は殺されたのか?

あれだけ警戒するよう注意したのに自ら鍵を開けたとすれば命を捨てたことに。

到底あり得ないことだがそうとしか考えられない異常行動。


「お集まりになりましたね。私の見解を述べさせていただきます」

いつものように後を相棒に任せ自分の役割に徹することに。

「残念なことに第四の事件が発生しました。

どんな些細なことでも構いません。気が付いたことがあればお教えください」

冷静に冷静に。だが有り得るのか? これは不可能では?

隙があったとは言え一晩中見張り、人の出入りも確認した。なぜ千田が殺される。

彼が殺される合理的説明をして欲しいものだ。


どう考えたってあり得ない。

徹夜の見回りが無意味だったとでも言うのか?

それとも見回りをする前にすでに殺されていたのか?

いやそれはあり得ない。

ドア越しとは言え確認をした。その時は間違いなく異常なしだった。

それなのに千田は殺されてしまった。

撲殺だとすれば物凄い音がしたはず。少なくても両隣は気づくだろう。

それが昨夜は誰も気づけなかったことになる。いやその前もか。

一体何がどうなっているのやら。

もう自分自身が信用できなくなっている。

真犯人に追い詰められていく感覚。

探偵としてこれ以上の屈辱はない。


夜の見回りに行動制限。警戒するように呼びかけも。

誰も中に入れるなと念も押した。それでも第四の事件は起きた。

撲殺体。これは前の三件と何ら変わらない。

今ガイドさんが警察と連絡を取ってくれている。

警察の早い到着が待たれる。


「これはもう誰にも犯行は不可能なのでは? 」

マジシャンは冷静だ。まるですべて予定通りと言った感じ。それだけに侮れない。

「いえ今回は全員に犯行が可能だったと考えています。

一見監視の目を潜り抜け千田さんの部屋に行くのは不可能に見えますが……

私も人間。眠くもなるしトイレも。それに三十分ほど監視を緩めていた時間帯も。

だから皆さんに犯行は可能かと思われます」

さすがに従業員の二人には難しいだろうが。

あの騒ぎがあらかじめ予定されていたのなら共犯もあり得るが…… 

とにかく真犯人だ。真犯人さえ捕まえれば誰がどう関わろうと関係ない。

一人だろうと複数だろうと聞きだせばいいのだから。


「それはないんじゃないの探偵さん。私らには無理な話だよ」

お婆さんが噛みつく。

「その根拠は? 」

「だからさあやっぱり密室だったんだろ? 」

「はい確かに…… 」

今回も今まで同様に密室で細工の痕も見られない。

どうやって入ったにしろ鍵が部屋にあれば普通は密室にならない。

だがどうだろう? それでもやはり密室殺人が起きてしまった。

不可能殺人が我々の前に立ちはだかる。

仮に真犯人に行きついても密室の謎を解かない限り事件解決とはならない。


                  続く

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