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犯罪被害者の会

黒木の口が緩んできた。今がチャンス。

事件解決にはなるべく多くの情報が必要だ。

その為には黒木の協力が不可欠。

犯罪詐欺グループのまとめ役。他の者が知らないことも彼ならきっと……

「他には? どんな些細なことでも構いません」

黒木は上を向き唸り声をあげると再び静かになった。

どうやらまだ悩んでるらしい。


私には分かる。彼は誰かに語りたくて仕方ないのだ。

今まで黙っていたのは漏れるから。

だが沈黙を保てばそれこそ犯人の思う壺。

真犯人の目的がただの皆殺しなのか心からの反省なのか?

とは言えもう三人も殺してしまった以上後戻りはできない。

それこそ千田のように最後まで……


探偵は一応は約束は守る。

必要以上に他の者に話したりはしない。

漏らすなと言われれば従うまで。

ただもちろん警察には洗いざらい吐く。

協力を求められたらやはり従うしかないのが現状。

もし守秘義務を守れと言うなら相談相手は弁護士に。探偵にそんな義務はない。

ただ言うにしても警察が要請した限られた場合のみだから現実的ではないが。


「黒木さん? 」

「他? そうだな。あの山田っておっさんを俺の女が狙っていた」

「それは山田さんで間違いないですね? 」

「なぜかは分からないがもっと大金を引っ張れると思ったんだろうな。

だからあの冴えないおっさんに色目を使った。俺の女だってのにな」

黒木曰く計画の内ではないとのこと。偶然出会った男女らしいが。


「山田さんはあなたの目からどう映りましたか? 」

「ああ、ただの冴えないおっさん。あれのどこがいいのか。

夜の誘いまでしやがった。だがあの堅物は何もしようとしなかったとさ。

まったく俺には理解できないよ。あのおっさんの考えてることが。

部屋をオープンにしてもうすぐにでも男女の関係になるところなんだぜ。

それを断るか普通? あり得ないだろ探偵さんよ? 」

黒木がデリケートな話を振るものだからどう答えればいいのか迷う。

一般的な話なら断るのはあり得ない。ただ私なら危険過ぎて誘いには乗らない。

それが探偵の振る舞い。どうであれ山田さんは舞い上がっていたのだろう。

いやそれとも分かっていて乗っかったか? まあ彼に直接聞くのが良い。

ただ彼にとって辛い思い出となってしまった。聞いていいものか。

それだけが心配。いい関係になったミサさんが突然亡くなったのだから。


「山田さんは異常だと? 」

「それはそうだろ。計画では子供が出来たと言って金を巻き上げるつもりだった。

まあいつもの悪い癖だな。殺されちまったのも天罰ってところか。可哀想にな」

仲間…… 愛人が殺されたと言うのに可哀想の一言。本当に血も涙もない奴だ。

仲間意識が希薄なのだろうか? 

いや違うか。もう吹っ切れたのだろう。

もはやミサさんを悲しんでいる余裕は彼にはない。


もうこれ以上は勘弁してくれと言うので大人しく戻ることに。

「ああちょっと待ってくれ! 思い出したことがある」

黒木は一体何を?

「実は気になることが一つ。犯罪被害者の会が作られてる。

訴訟を起こそうとしてるようだがまだ準備が整ってないらしい。

騙された奴らが団結して俺たちを狩ろうと。

まったく冗談じゃない。騙される方が悪いのに。無い知恵を絞りやがって! 」

どうやら逃げ切れないと悟り恐怖を抱いてる。

だがそんな情報を黒木はどうやって手に入れたと言うのか?


「犯罪被害者の会? 」

「鑑定士が知らせてくれた。どうもあのメガネの男が口を滑らしたらしい。

だがこの情報も当てになるかどうか。ただのハッタリかもしれないしな」

黒木の話では鑑定士自体は本物なので言い逃れができない状況。

もし事を荒立てて評判を落とせば仕事に差し支える。

犯罪被害者の会はどうやら鑑定士経由で被害の回復を図るつもりだったらしい。


「分かりました。貴重なお話をどうも。警戒を怠らないように。

明日には助けが来ます。それまで油断しないで下さい」

一応は注意をする。

だがこんな奴らを守ってどうしようと言うのだろう。

罪には罰を与えるべきだろう。

黒木の尋問を終える。


彼から思いもよらぬ話が出た。

新情報はまだ他の者に伏せる方がいいだろう。

それはガイドさんだけでなく相棒にも。

それにしても最後の犯罪被害者の会の件は初耳だった。

この会がどれほど事件に関わっているのかも気になるところ。

続けて話に出た龍牙から話を聞くことに。


                 続く

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