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可能性

山田さんを三〇二号室に閉じ込めるに留まらずバリケードまで。

さすがにやり過ぎな面もあるがこれで落ち着いて朝を迎えられる。

ただ一つ大事なことを忘れている気が。

それは鍵の存在。

自分の部屋の鍵でお隣の部屋を開けられる。

即ちこの鍵で従業員の部屋を開けることも可能。その逆も然り。

防犯の観点ではいくら山田さんを閉じ込めてもオチオチ寝ていられない状況。

これが今最も懸念してること。

それともう一つ。

二人も亡くなり皆普通の精神状態ではないと言うこと。

善良だった一般市民が恐怖から徐々に狂っていきついには殺し合いが。

そうなる前に早くこの連続殺人事件を止めなければならない。

それが探偵としての使命であり義務でもある。


ガイドさんたちと今までの事件を振り返る。

本当は相棒とじっくり振り返るつもりだったがせっかくなのでとお呼ばれされた。

やはり真犯人は山田さんなのだろうか? いやどうもそうは考えられない。

もしこの後事件が起こらなければ彼が犯人だった証明になる。

逆に第三の殺人が起きれば自然と彼が容疑者から外れることに。

そうなれは事件は振り出しに戻ることになる。


「ありがとう」

ホットミルクを持ってきてくれたガイドさん。

念のため相棒に目配らせをする。

最初に相棒に飲ませて様子を見る。

事件が立て続けに起きた。もう誰も信用できない。

信用したくても出来ない精神状態。

決して彼女たちを疑っている訳ではない。

ただ慎重にも慎重に。念の為だ。

「うん眠気が醒めたよ」

一番は毒だが睡眠薬を盛られては動きが取れない。

覚醒したと言うことは逆だから問題ないだろう。


「それでどこまで話したっけ」

口をつける。

ちょっと冷え始めたがそれでも十分。

猫舌とでも言えば怪しまれることも失礼に当たることもない。

そう言う意味では探偵は猫舌であるべきなのかもしれないな。

ゆっくり食べるのもお薦めだ。

もし毒や薬が混入されていた場合に様子を見ながら対応することも。

「まだ殺されるとか何とか」

物騒な話だがこれはあり得ないことじゃない。

真犯人が山田さんかどうかは別として被害者になり得る候補者が何人かいる。

一人目が黒木だ。

奴は殺された二人と関係があった。

「黒木についてどう思う」

「それは…… 怖いって言いますか少し普通じゃない気がするんです」

ガイドさんは鋭い。

「だったらあの若い販売員はどうです? 」

どう考えても彼の仕事が今回の殺害動機に繋がってるように見えるが。

「彼は繊細なところがあります。気持ち悪くなって吐いてしまいましたから」

バスでの出来事を語るガイドさん。

「他に気になる方は? 」

「あの鑑定士さんも関係者じゃないかって。ねえ」

「そう二人は共謀して騙した。そうに違いない! 」

料理人の田中さんが名推理を披露。

私たちもそれには同意。


「それ以外に狙われそうな方は? 」

張り付く意味でもターゲットを絞る必要がある。

「龍牙も何かに怯えてる気がするよ」

相棒が口を挟む。私は彼女たちに聞いてるのだが。

勝手に話に入ってくると話が余計に拗れるから止めて欲しいな。

「ごめんごめん。あのマジシャンも」

付け加えやがった。

「それはどうかな…… 到底仲間には見えないが」

ただここに何をしに来たかは不明。協力者なのかかき回すタイプか分からない。

警戒すべきだが我々の考えの及ばないところに手が届く彼は魅力的。


「ねえ君たちは大丈夫なの? 」

それは被害者になるほどの恨みがあるかと言う意味で。

ただ真犯人として疑ってると警告する意味も。協力者の可能性もある。

「ふふ…… もうふざけないで」

ガイドさんが笑いながら否定。

「まさか私たちが? それはあり得ません」

両方とも身に覚えがないそうだ。

ならばぜひ協力してもらいたいところ。だがまだ信用できない。

誰一人として犯人ではないと断定できないのだ。

それは私もそうだし相棒にも言える。

自分がそうかどうかは分かるが。いやどうだったかな……


「お客様を疑いたくありませんが犯人は必ずこの中にいます」

料理人は断定した。

「いや待ってくれ。私も内部犯だと。ただこのホテルに誰もいなかった場合だ」

「ちょっとそれはどういう意味ですか? 」

料理人が突っかかる。

「いやだからこのホテルにあらかじめ隠れていた場合も考えられる」

「まさかその殺人鬼が夜な夜な殺しにやって来るとでも? 」

「あり得なくもないだろ。その場合はもちろん無差別もあるしただの計画殺人も」

すべての可能性を潰す必要がある。そうでなければ内部犯と断定できない。

もちろん伝説のドスグロ山の雷人が次々と手にかけてる恐れも。

「そんな人いませんよね? 」

ガイドさんが料理人に確認を取る。

「当たり前じゃない」

料理人の言を信じればこのホテルには我々以外誰もいない。

まあ当然か。ただその答えが欲しかっただけなのだが。

これで伝説の怪人以外は内部犯と言うことになる。


                 続く

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