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明後日探偵とドスグロホテルの秘密の鍵

千田と黒木の二人が部屋に籠った。

後ろ暗い過去があるに違いない。

問題は犯人がどこまで把握しているかだ。

まさかターゲットは決まっておらず炙り出すつもりでは?

そうだとすれば下手に騒いだ二人は格好の餌食に。

やはり動機の解明を急ぐ必要がある。


「では残った皆さんで対策を取りましょう。二つの事件は共に撲殺。凶器は壺。

でしたら壺を一か所に集めることにしましょう」

これが連続殺人なら壺を凶器に選んだことになる。

ならばその凶器をなるべく使わせないようにするのがベスト。

そこで考えたのが壺の回収だ。

誰でもそれこそ犯人でも思いつきそうで効き目はないように思える。

だが意外にもこう言った地味な対策が犯人の動きを封じることになる。

少ない経験から導かれた探偵の勘。


部屋から壺を持ってきてもらう。

部屋に籠った二人にも協力を仰ぐ。

「ほら持ってきたよ。それでこれをどうするんだい? 」

さすがに価値は不明。叩き割る訳にも行かない。

だから一か所に集めることにした。

「緊急時です。とりあえず鍵の掛る部屋に置いておきましょう」

第一の被害者の部屋。三〇一号室にまとめる。

「すべて置きましたね? 」

個数を数える。十個あった。

よしこれで被害者二人の部屋を除いたすべてを回収したことになる。


「鍵を掛けました。確認お願いします」

ガイドがマスターキーで鍵を閉める。

元々あった鍵は机の上に。

これはなるべく現場保存を優先したためだが壺があっては意味がない気もするが。

第一の被害者の部屋に壺を置く。

これはある意味壺を監禁したことになる。

「うん。しっかり鍵が掛ってる」

これで犯人は凶器に壺を使えなくなった。

この作戦が功を奏すかもしれない。

問題は犯人が隠し持っていた場合だがそれだって第一の事件で割れてるはず。

何個も隠し持ってる訳もない。それでは目立つ。

念の為にガイドにホテル全体を確認してもらう。

これで完璧だ。


「他に何か思いついたことはありますか? 」

殺人鬼から身を守る為には正確な情報と皆の知恵が必要になる。

「ああだったらちょうどいい。マジックを披露してやるよ」

マジシャンは目立ちたがり屋なのか余計なことをしようとする。

自分の部屋の前まで行くと持っていた鍵で開けるマジシャン。

別にここまでは至って普通のこと。

「ここからがお楽しみだよ」

さすがはマジシャン。お客の心を捉えるはお手のもの。

カチャリ

何と彼はお隣の部屋まで開けてしまった。

このトリックが見破れるか?

集まった観客は皆一様に口を大きく開ける。

なぜこうなったのかと解説を求める声が溢れた。


「ああこれはマジックでも何でもないよ。最初からそうなんだ」

どよめきが起きる。

「実際反対の部屋を開けようとしても開きません」

急いでガイドが確かめる。

「本当だ。あれ何で…… 」

「探偵さん。どうしてこうなったか分かりますか? 」

マジシャンの挑戦を受ける。

「それは…… 」

いきなりのことで訳が分からない。開くはずがないものが確かに開く。

これがショーなら種も仕掛けもあるだろうが今回はただの部屋の鍵。

細工のしようがない。する意味もない。

とにかくこれを信じれば自分の部屋の鍵も同じように開くはずだ。

相棒に開けてもらう。そして隣の従業員の部屋も続けて。

開いた……


そう最初に引っかかっていた謎が解けた。

私たちは酔っぱらって彼女たちの部屋へ。

そして朝、間違えたことに気が付いた。

そうか十二号室の鍵は十一号室も開けられた。

他の部屋でも許可を取り実験をする。結果は言うまでもない。

「これはどう言うことだいお嬢さん? 」

鍵の件は従業員がすべて把握してるはず。

「それが私たちにもさっぱり」

動揺を隠しきれない二人。それは私も同じだ。


まとめに入る。

「要するに誰が一番怪しいかと言うと…… 」

マジシャンが指をさす。

その先にいたのは人の良さそうな山田さん。

「自分ですか? まさか冗談でしょう」

強く否定するが疑いの目にさらされることになる。

「ですがあなたが一番怪しい」

マジシャンが探偵の仕事を取ってしまう。

放置する訳にも行かない。

ここは話を引き取るとしよう。


                 続く

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