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第二の被害者 

翌朝。

薄曇り山。

案の定親族による血腥い相続争いが勃発。

当主が変死を遂げる。

あわわわ……

震えが止まらない。

取り敢えず動機のある三人の容疑者が未亡人となった奥様によって招集された。


「ほらお前たち。誰が殺したんだい? 」

全員が首を振るも一人だけ挙動不審な者がいる。

大汗を掻きしきりに呟いている様はもはや告白してるようなもの。

今問い詰めれば必ず落ちる。

「お前がやったんだね? 」

「僕じゃない。兄さんたちに決まってる」

疑われているのは三男。

「その震えは何だい? いい加減にしないか! 」

一喝で三男は土下座。

もう罪を認めたようなもの。


果たしてこんなに簡単に事件は解決していいものだろうか。

探偵の出る幕はない。

ただここにはまだ探偵は姿を見せてないが。

居るのは先に来ていた助手の僕だけ。

バカ息子による相続争い。

今当主を殺害しても財産を独り占めできないはずだがこれは一体どう言うこと?

三男を問い詰める。

 

「だって兄さんがそうしろって」

「お前いい加減なことを言うな! 」

まだ次男と言ってもいないのに騒ぎ出す。

これでは二人が共犯だと言ってるようなもの。

兄弟による醜い擦り付け合いが始まる。

「俺は知らない! こいつが勝手に」

「ううん。証拠だってある」

「嘘を抜かせ! 」

「ははは…… 甘いよ兄さん」

仲間割れを始める。何と醜い。

「お前ら」

呆れる次期当主の長男。

次男と三男による共謀。

動機はまだだが犯人が誰か。仲間が誰かまでは放っておいても吐いてくれそうだ。


「僕が悪いんじゃない! 兄さんが…… 」

「何を言う! 私は関係ない。まったく無関係だ! 」

「二人とも見苦しいぞ。どうしますお母様? 」

「反省しなさい二人とも。そして罪を償うんだ。いいね? 」

奥様の説得で犯人は動機を語りだす。


「お見苦しいところを」

奥様がこの後を引き取るとのこと。

あーあ先生早く来てくれないかな。これからどうしたらいいか。

いつもこうなんだもんな。少しはこっちの迷惑も考えてよね。

「済みません。警察が来るまでこのままでお願いします」

どうにか探偵らしいことを言う。

後は警察に引き渡せば完了なんだけどその警察が天候不良を理由に来ない。

来るのは早くても明日。まだ油断できない。

とにかく犯人がすぐに見つかって良かった。

ご主人は残念だけどね。


こうして早朝に起きた資産家殺人事件は異例のスピード解決を見せた。


その頃ドスグロ山。

きゃああ!

女の絹を引き裂くような悲鳴が館内に響き渡る。

またやってしまったか?

寝ぼけてお隣にお邪魔したか?

だがそうではなかった。

悲鳴のした方へ駆ける。

「どうしました? 」

三号室に人が集まっている。

「それがまた…… 」

皆、顔面蒼白。恐怖に戦いてる。

特に若い男と鑑定士の様子がおかしい。

何を隠しているのだろうか?

中へ入る。


「どうした…… 」

全裸の遺体。昨夜見かけた若作りの女性。

あれが恐らく最後の姿。

全裸体とはこれはまた衝撃的だ。

第一発見者は昨日同様ガイドさん。

なぜ彼女がここにいるのか謎だがそれは後回し。

「遺体には触れてませんね? 」

「はい」

ショックの余り腰が抜けたのか立ち上がれずにいる。

仕方がないので起こしてやる。

「大丈夫ですか? 」

「済みません」

「何も触れてませんね? 何も? 」

これは大変重要なこと。念押しをする。

「はい…… 」

災難だったようだ。

取り敢えず遺体に毛布を掛ける。

これで故人を辱めることはないだろう。


次に窓の確認。

今度は全部閉まっていた。

そうすると完全な密室と言うことになる。

凶器はやはり鈍器。バラバラになっている壺であろう。

これは青磁の壺。

と言うことはまさかここのを使ったのか?

確認を取る。

「はい確かにここには青磁の壺が置いてありました」

「ではこの破片はそうだと? 」

「たぶん。壺がなくなっていますし」

凶器は部屋にあったこの壺に間違いない。

そうすると二件の殺人事件では壺を凶器に使ったと言うことになる。

何か意味があるに違いない。

相棒に後を任せて部屋を出る。

食堂に集めて皆から話を聞くことにする。


第二の殺人事件が起こってしまった。

被害者は女性。やはり凶器は壺で戸締りはされている。

これは連続密室殺人だろう。

難事件の予感。


                 続く

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