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ホテルの歴史

ドスグロホテルの歴史。

「このホテルが建てられたのは好景気に沸くバブル期。

その後リフォームを繰り返し今のドスグロ山ホテルへと変貌を遂げた。

当時あまり防犯意識はありませんでした。何と言っても山の上。

ホテルの利用客も立地を鑑み強盗はおろか泥棒も発生しないとおおらかだった。

ここは外界から閉ざされた山。外からの侵入はまずない。

下界の村も平和そのもの。実際被害の報告はなかったようですしね」

真犯人は驚いた表情を見せる。なぜここまで詳しいのか理解できないのだろう。


「鍵を掛けない大自然のホテルがここの売り。それなりに好評だったと聞きます。

しかし都会からの客もありそれではまずいとなり鍵が取り付けられた。

ですが常連客からすればやはりいちいち鍵を使うのは面倒。そこで妙案が。

隣合って部屋を取ればいい。

だから今回の様に隣の鍵で自分の部屋が開く事態にもなった。

大家族が二部屋に分かれ泊まることを想定し開放。

即ちそのドアから隣の部屋に自由に行き来できる仕組み」

一旦切り皆の反応を確認してから再び続ける。


「何度も言いますがホテルは建て替えやリフォームを重ね今の形に。

だからその鍵で三号室の鍵にもなるし四号室の鍵にもなる。

逆も然り。四号室の鍵で三号室も開けられる。

ただそれだけでなくその鍵は部屋と部屋を直接つなぐ扉の鍵にもなっていた。

これが盲点。我々が見逃していた秘密の通路。

まあ通路と言っても鍵を開ければすぐなので厳密にはただの秘密のドア。


『ドスグロ山と秘密の扉』


あの絵画を見れば分かりますが同類や兄弟に親子。成長の前と後。

野生と家畜。二つの絵には何らかの関係がある。

恐らく家族だったり仲間だったりを暗示しているのでしょう。

ホテルを再建し団体客用以外にも開放することに。

この絵は秘密の通路の存在を隠す為のもの。

それを知らずに招き寄せられた我々はすべてを知る真犯人に操られた。

恐らく真犯人はホテルのオーナーかまたはそれに近い人間。または仲間か。

とにかく何も知らない我々は単なる犠牲者、または傍観者でしかなかった」


ふう…… どうにか言えた。長台詞だから余計に緊張するんだよな。

「探偵さん…… 」

田中さんの表情が優れない。

そうこれはすべて田中さんからの話をまとめたもの。

どこか違ったかな? 大げさだったかもしれない。だが大体合ってればいい。

補足は詳しい彼女に任せる。


外との連絡も取れず助手がいない以上このホテルに詳しい彼女に頼るしかない。

彼女も法外な報酬に違和感を覚え警戒。ホテルについて彼女なりに調べていた。

もちろん客を守る意味もあるのだろう。

すべてを理解した今もう何も恐れることはない。真犯人を追い詰めるチャンス。


「ちょっと待ちなよ。それなら真犯人は…… 」

「そこまで! ここですべてを明かすのもいいですがこちらにも段取りが。

最後までお付き合いください。皆さんもよろしいですね? 」

余計な行動をしないよう念押し。

現時点で真犯人を追及してもまだ言い逃れが出来る。

真犯人は冷静沈着な知能犯。決定的な証拠を突きつけるまで動くべきではない。

もう少し。あともう少しの辛抱だ。

「ようやく皆さんにも事件の全容が見えてきたでしょうか? 次の現場へどうぞ」


三〇六号室。第三の現場。雑見氏の部屋。

「ここは鑑定士の雑見氏殺害現場。お気を付けください。死体が転がっています。

この際細かいことは省きます。もう密室殺人は解けますね?

やはりこの絵の奥に秘密の通路が。ここと隣の五号室が繋がっています。

真犯人はここでもこの抜け道を使って犯行を重ねました。

ですがここで一つトラブルが発生」

一旦切って真犯人の表情を観察。


「動機はさておきなぜか被害者への強い殺意が感じられません。

真犯人は今回ばかりは犯行を躊躇ったのではと考えます。

いや実際仕方なく殺害したはず。それでも即死とはいかなかった。

これが悲劇の始まり。被害者の雑見は何とかダイイングメッセージを残す。

即死したと疑わない真犯人は思いもよらなかったことでしょう。

即死せずに最後の言葉を残した雑見。力尽き息を引き取る。

訳あって犯行現場に留まった真犯人はダイイングメッセージに気付くが…… 」


ここで止める。

「長々とご苦労様。それでダイイングメッセージの謎は解けたのかい? 」

小駒さんの嫌味攻撃。


【ドスグロ山】

血文字でそう書かれていた。

もちろん解読はほぼ完ぺき。

真犯人の名前も決定的証拠もここに残っている。

ではそろそろ追い詰めるとするか。


                続く

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