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断罪執行官ーチートイレイザーー  作者: 玉白美琴
過去の執着と決別する元皇子
13/13

宰相有給で友人と長期旅行だってよ

文官達が集い、日夜書類に追われる此処、文官宮は大勢の文官達が忙しそうに走り回っていた。


エナジードリンク片手に、血色悪い顔をした文官達は朝の体操としてゾンビダンスを踊っている。


たまに、食事を届けに来た文官宮の侍女や、侍従もフラフラしながら加わるのが日常風景。


そんな宰相執務室では、死人のようにげっそりした顔をした副宰相が居た。


書いていた手紙を封筒に入れると、使い魔である赤い鷲の足にくくりつける。


「……これを……皇帝陛下に……」


そこで副宰相アビゲイルは力尽きた。


犯人は我が父ラルフと、判子の朱肉を利用してダイイング・メッセージを書いて。


文官宮に働いてる文官達は、全てラルフの血筋に当たる一族であり、ラルフと同じ不老不死の呪いで数百年生きている。


ハーレム作って酒池肉林を謳歌していた皇帝の代には、文官達は皇族の命令全て無視してひたすら民達に寄り添っていたし……


戦争大好きな皇帝の治世では、文官一族はストライキして政治をしなかった。



「父と、その友人は呪いを掛けられた時、当時想いを寄せていた相手と別れようとしていたみたいなんだ。件の公爵令嬢とは無理矢理婚約させられただけで、愛なんてなかった様だよ。辛い父を陰日向に支えていた亡き母がそれでも、呪いでも何でも構わないと父や、その友人を支えたんだそうだ。ちなみに、父の友人は、母の親友と婚約者同士だったから問題なかったんだって。呪いを発動するのは、父の血を継ぐ私達とその子孫。いつまでも若いままでもさ、不老不死で盾になれるから便利だよ」


少し寝て寝不足がマシになったアビゲイルは、取材に来たチビエマ記者にそう答えたそうだ。



とにかく忙しい文官達は、時に反復飛びしながらも手足を全力で動かしていた。


『宰相有給で友人と長期旅行だってよ』


アビゲイルのいる宰相執務室から、その噂は瞬く間に文官達に伝わり、文官達はブーたれながらも書類を終わらせていくのだった。


『チビエマ王国国王の歓迎会予定資料誰が書いた!?』


『あっ、俺っす』


『チビエマ達は激辛好きだから、甘いのは少なめにしろ!!』


『すまねえっす!!』


孫と祖父の会話があったり


『今月のチビエマ日記と、皇帝陛下の釣り日誌。ちょっと話が盛らないと駄目か?チビエマ達が一日中王国全土を走り回っているの微妙だし、皇帝陛下が釣れずいじけていたぞ』


『では、改めてチビエマと皇帝陛下にアポを取って来ます』


高祖父と曾孫の会話もあったとか。


「父は元皇族だからな、一族も文官だが変わり者多いんだよ」


アビゲイルは一族達を見ながらブラックコーヒーを飲み、疲れたように溜め息をついた。




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