プロローグ
家に帰り真っ先に自分の部屋に飛び込む。
彼女、三嶌 優衣の6畳の部屋には、男子のような何の面白みもないベッド。
制服や私服がかかっているハンガーラック。
小学生から使っている勉強机。その上には父からのおさがりだが、かなりの高性能のPCがある。
彼女のスマホから通知音が鳴る。
ベッドにダイブして一日の疲労を一番癒せる時にカバンまで行くのは一苦労だがそれでも何とか手を伸ばす。
HARU
「ついにこの日が来たぜ!」
友人の宇野 陽輝からのLIMEだ。
純也
「分かってるって。お前が家でもはしゃいでるのバレバレだからなw」
今度は千葉 純也からだ。
ゆい
「今日学校でもずっとその話してたもんね」
やはり陽輝のテンションはずっとこうなのだと再確認させられる。
既読2で止まっているところを見るともうひとりのグループメンバーの御門 佐良はまだ帰ってないのか?
なにせ今日はあのエターナル社の新作VRMMO、FWAOの配信日だ。
4人とも既に購入済みで何カ月も前から楽しみに待っている。
だから私も陽輝と同じぐらいにワクワクしている。純也も例外じゃないだろう。
このFWAOはここ数年で一気に定番になったジャンル、VRMMOのゲームだ。
タイトルにAdventureと入ってるから冒険がメインだが、このゲームの最大の注目ポイントは、ジョブ機能があることだ。
名前の通りジョブ(職業)が何種類かあり、その中から一つ選んで冒険する。
ネットサーフィンしてみると、いろんなゲーム攻略サイトが数十秒ごとに更新されている。
そのどれもがFWAOの攻略の記事だ。
0時配信だからと言って徹夜で最速攻略と陽輝は意気込んでいたが、配信日とテスト日が重なったらさすがに徹夜なんて言ってられない。
まあ逆に考えれば、テスト終わってスッキリとした状態でゲームを始めれるのでプラスと捉えておこう。
HARU
「早くログインしよーぜ」
「ダウンロードもう終わったろ?」
ゆい
「佐良がまだみたいだけど始めるの?」
HARU
「委員会で遅れるから先に始めといていいって言ってたぞ」
純也
「じゃあ始めよっか」
HARU
「おk」
ゆい
「了解」
充電中のコードを抜き、少し重たいヘルメットに似ているそれをベッドまで持っていき、横になって被る。
アゾリアムが独特の起動音を出す。
目元の画面には[FWAO 100%完了]の文字が青空の広がるアイコンの下に表示されている。
続けて[ゲームを始めますか?]という文字が出てくる。
[はい]を選択するとすぐにロードが始まった。
一つ大きく息をはいて落ち着く。
ロードは時間もかからずに100%まで溜まっていった。
いつもの体が浮くような感覚が全身に走る。
こうして私たちのFWAOライフが始まった。
こうして小説を書くこと自体が初めてで、間違ってるところとかあると思いますけど温かい目で見てくれるとありがたいです。 楽しんで読んでくださるように頑張っていきます!よろしくお願いします!