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いつか選択肢に辿り着くために  作者: 七香まど
三章 聖羅ルート攻略シナリオ
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97聖羅ルート エピローグ

 思わず右頬に触れようとして、自分の手がないことに気付く。そうか、ここはあの忘却場か。


 ……ははは! 最後の一秒、心春に全部持っていかれちゃったよ! 右頬に残る温かい感触、やっぱり二秒じゃ足りなかったか……。


 あーあ、……また俺は何も選べなかったか。元から選ぼうという気はなかったに等しいが、何度も繰り返しているのだから、せめて一度くらいとか、……やっぱり考えるわけでして。


 聖羅にいろいろもらっておけば問題も解決するのでは? ここで記憶を闇に葬れるわけだし。


 ……いや、やっぱりそれは間違っている、やめておこう。


 ――思考を闇に忘却する。


 さて、聖羅ルートを無事にクリアしたみたいだし、次のルートについて予定を立てよう。


 月宮さん、聖羅が終われば残りのヒロインは二人。小鳥遊真奈美と三好サラ。どちらも俺とは関りが浅く、小鳥遊先輩に至っては互いに認識すらしていない。


 俺の感覚ではあるが、聖羅ルートは楽な分類だ。一度の失敗でクリアできたのだから幸運だ。まっさらなシナリオだったから最低でも三回は繰り返すものと覚悟を決めていたから、ちょっと拍子抜けしたと言ったら今後が怖い。


 俺は次のルートで真奈美ルートを攻略しようと思っている。難しい方を先に終わらせた方が気は楽だからだ。


 俺のあずかり知らぬ所でもシナリオは進行するから、結局は唯人任せなところが多い。でもサラさんはおそらく初日、唯人がこの街に引っ越してくる日には一目惚れをしている可能性が高い。遅くても翌朝には出会っているからその時だろう。共通シナリオも俺が関わることは驚くほどにない。唯人と共に行動していて少し話す程度だからありがたい。


 逆に小鳥遊先輩は俺が介入しない限り唯人との関係が進展することはない。愛陽としての介入が一番大きいが、“一颯”としての存在も適当にはやっていられない。


 いつもは後半を適当にしていた校内案内も、唯人が図書室に向ったら俺も追いかけて様子を確認したいし、ゲームセンターの後も二人の様子を窺っておきたい。ストーカーと言われても仕方ないが、可能なら小鳥遊先輩の家の位置まで把握しておきたい。


 はあ……、こんなことに心春と花恋さんは快く付き合ってくれるのかな? ちょっと不安だ。


 それと、真奈美ルートのシナリオも考えておかないとな……、情報が少なすぎるから、シナリオの核心に関わるところに俺の存在は入り込めないだろうし、間接的に唯人を手伝っていくしかないか。


 やっぱり寮暮らしじゃないのが辛い。唯人と小鳥遊先輩の二人で関係が完結しているから、俺が堂々と聞き出すこともできないし、終わりの見えないシナリオなんて恐怖でしかない。


 ため息も吐きたくなる。


 ――思考を闇に忘却する。


 ネガティブになる思考はやめよう。だから俺は何かを忘れたはずだ。たしかシナリオを考えようと思ってその先が思い出せない。だったらシナリオは後回しだ。


 ……意外とこの闇の中で考えることってあまりないな。先のことはその時になってみないと全然判断がつかないし、聖羅との出会いでも思い出して感傷に浸るか。


 ……入学式に俺と聖羅の席が隣だったことで、俺が初めてギャル相手に話しかけたことがきっかけだ。当時、聖羅は地元から親元を離れて上京してきたばかりだったから友達もいない。俺も花恋さんを追いかけてきたから高校に親友はいなかった。でも地元の高校ということもあって知っている人は数人いた。


 心春とクラスが分かれたことで少し寂しかったから、だれか話し相手になってくれる人を探していたのかもしれない。聖羅のことは一目でただのギャルじゃないと察した。心春に似た雰囲気を纏っていた聖羅だったから、俺は声をかけることが出来て、……どんな話をしたっけか? 何かで意気投合して教室に入ったら席も隣、その後のオリエンテーションも二人で行動していたわけだが、放課後に心春と合流してからは聖羅の態度が一変したのを覚えている。


 わなわなと震えて、何かお化けでも見たのかと思ったら、心春に抱き着いていた。俺が心春のことを紹介した直後のことだった。


 可愛い、可愛いと心春に抱き着いて頭を撫でて、俺の話を聞いていなかったみたいで、心春が彼女かどうか聞いてきた。兄妹だと伝えたら似てない! て驚かれたな。


 ……簡単に言えばこんな感じ。特別変わったことも無ければ、ありふれた? 出会いがあっただけだ。


 入学時の心春ってまるで迷子の幼女みたいにキョロキョロしていたから、それでロリコン男子共が心春のことを目で追うようになっちゃったんだよな。


 俺と心春の関係を知らない奴から、心春のことを彼女にしたいと正面切って言われた時はその顔面に捻りの入ったストレートを食らわせてやろうかと思った。


 まあひと月も経てば関係が割れて、何人かが謝罪に来たよ。でもその中には心春をくださいお兄さんとかほざく奴がいたから、これは容赦なく蹴りを食らわせた。


 ……聖羅との出会いよりこっちの方が濃いな。心春の可愛さには庇護欲をくすぐられるし、他で言えば花恋さんやサラさんも該当する。……三人とも元俺のヒロインだったわけだが、あの神はロリコンのニーズにだけ応えようとしていたのか?


 はあ……、感傷に浸ろうとして思い出したくもない過去を思い出してしまった。


 ――思考を闇に忘却する。


 そろそろ次の世界が見えてきた。俺という情報もほとんどが分解されていて、再構築ももうすぐ開始される。


 数字の海を泳ぎ、辿り着く先は六月二十五日。また現国の田中先生の眠くなる授業の最中に俺は覚醒するのだ。


 ……俺という情報が構築され始めた。心臓部分が最初に出来上がり、そこに数字が寄り集まって俺という存在を構築していく。時間の感覚もない。一瞬なのか何時間もかかっているかも不明だ。


 でも完成したら瞬時に次の世界へと放り込まれる。


 ――気が付けばここにいる。すっかり忘れていた瞼を持ち上げれば、そこには見慣れた教室の授業風景。


 ……俺はまた、スタート地点に立った。







聖羅ルートはこれで完結です。

ここまでお付き合い下さりありがとうございます。本当は翌日も投稿していきたいのですが、まるで準備が整っていません。幕間とかで繋ごうかと思いましたがあまり余裕がないため可能だったらどこかのタイミングで投稿すると思います。

今後は投稿頻度が極端に落ちてしまいますので本当に申し訳ないです。四章開始は未定ですが、なるべく早く投稿します。


ブックマーク、ポイント評価のほどしてくれたら嬉しいです。感想もお待ちしております。誤字脱字報告でも構いません。なるべく直します。

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