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クラ姉さんのヤンデレに気づく


 目を覚ますと。

 

 目の前には白服仮面の人達が集まっていた、ええ一体何が起こってるんだ、泣きつかれて寝たまでは覚えているが、クラ姉さんは一体どこに行ったんだ。


「わあ、起きましたよ!!」


「団長の弟さん可愛いですね」


「頬っぺたもぷにぷにで柔らかい」


「目元とか団長に似てますよね」


 ワイワイと頬っぺた触る者や、手を触ってくる者がいた、この声って全員女性なのか、一年前の祭りではそんなに見る暇などなかったので、よく見ると全員が女性の容姿をしていた。


「色々と手続きはめんどくさいですね、あっこらユウが起きたなら呼びなさいあなた達!!」


 するとクラ姉さんが現れ、すぐに俺を抱き抱えた。


「全く目を離したらこれですよ、いいですかあなた達我が騎士団のモットーはなんですか?」


「街の人を守り抜く事です」


 その場にいた全員がその言葉を言うと、クラ姉さんは頷き、全員の顔を見た。


「そうです、ですからこんな子供なんかと遊んでいる暇があるのなら、もっとしっかり働きなさい!!」


 クラ姉さんの指示を聞くと、皆一斉に動き出し、すぐにクラ姉さんとの二人っきりになってしまった。


「いいですかユウ、あなたは私達姉だけを見ていればいいです、間違っても女の子と仲良くなんてならないで下さいね」


 ごくりと唾を飲み、女の子と仲良くなったらどうなるのか聞いてみたいが、まだ喋れないので、赤ちゃん言葉で言うしかなかった。


「うぁうた」


「おお!! 私の言葉を理解したのですね、凄いですねユウは」


 そんなに褒めちぎられると恥ずかしくなってくる。


「団長そろそろお時間です」


 すると白服仮面の誰かが近づきクラ姉さんと話した。


「そうですか、ユウ静かにしていて下さいね、今から怖い人に事情聴取しないといけないんで」


 遂にだこれを楽しみにしていたんだ、異世界の事情聴取なんて一体どんなのか気になっていたのだ。


  クラ姉さんに抱かれながら歩くと、ある部屋にクラ姉さんは入っていった、そこには人間じゃなく動物の顔をした奴が椅子に座らされていた。


「あなた獣種ですね? 聞きましたよ、酒店で暴れたとか」


「別に店主に金を貸してたのに、奴が金を返さなかったから一発殴っただけじゃないか、それなのに人間の連中騎士団なんか呼びつけやがって」


「確かに酒店の店主からそう伺ってます、ですが一方的な暴力はこの街では禁止です、今回は見逃しますが、今度そんな所を見つけたら牢屋にぶち込むので気を付けて下さいね」


「悪かった、店主にもそう伝えてくれ」


 動物顔の奴は、クラ姉さんを見る目が変わった気がしたが気のせいだろうと思い。

 すぐに部屋から出ていこうとして振り返ってきた。


「それとその赤ん坊売る気はないか」


「はっ、あなた、今なんて言いました?」


「だから売る気はないかって聞いてんだよ、俺奴隷商人みたいな事してるんだけどよ、最近じゃあ子供の世話って大変だろ、特に人間の子供はすごい高値で売れるから」


「そうですか、獣種がこんなに大人しいなんておかしいと思ったんですよ、もしかして最初からそれが目的でしたか?」


 クラ姉さんは剣を構え守りに入っていた、さっきまで大人しそうだった動物顔は顔が歪み、牙を剥き出していた。


「最初は事情聴取だけだし言うことさえ聞いてれば帰れると思ったからな、まさか子供を連れてくる女騎士なんて初めてだったからよ、それで子供を売る気はあるか?」


「そんなのあるわけないじゃないですか、このまま大人しく帰れば見逃しますが、本当にいいのですね?」


「お前なんか俺の牙で体を噛み殺してやるよ!!」


 そんな事を言うと、動物顔はクラ姉さんの体目掛け剥き出しにした牙で攻撃してきた。

 

 クラ姉さんはすぐにそれを回避し、動物顔の背中に回り込んだ、クラ姉さんの剣がすぐに背中を切り裂くと、動物顔はうめき声をあげた。


「団長一体どうしたのですか?」


 すると一人の白服仮面が現れ、動物顔はすぐにその子を人質にとった。


「こいつの命が惜しければ、その子供を寄越すんだ!!」


「その子の命とユウの命、どちらが大事なんて決まってますよ」


 するとクラ姉さんは剣を弓矢のように投げ飛ばし、その剣は白服仮面と動物顔の体を突き刺した、動物顔は倒れ込むと、クラ姉さんは近づき、突き刺されている剣を抜いた。


「なんでお前の仲間じゃないのか?」


「仲間、確かに仲間ですね、ですがこの子がユウの頬っぺたを触っていたのを思い出して、すぐにそんな感情消え去りましたよ」


 クラ姉さんは笑いながら、ざしゅざしゅと白服仮面の体を剣で何度も刺していた。


 その子の命は剣を突き刺されている瞬間に消えていたので、そんな事しても意味ない筈なのにクラ姉さんは止めなかった。


 頬っぺたを触っていたのを思い出した、それって目が覚めた時に頬っぺた触ってきた人の事だろうか、まさかクラ姉さんはそんな事で怒っているのだろうか。


「なんだよ、獣種よりもお前の方が危険じゃねぇか」


 そんな言葉を呟き、動物顔の手が白服仮面の子を守るような形で死んでしまった。

 クラ姉さんの剣も動物顔の手に突き刺されていた。


「ああ、ユウにこんな姿を見られたくはなかったですが仕方ありません、まだユウも幼いですし、こんなのすぐに忘れるでしょう」


 すぐに他の白服仮面達が現れ、クラ姉さんは状況の説明をしていた、すると何人かの白服仮面が仮面を外し、死んだ子の側で泣いていた、死んだ子の仮面も外され、どこかにへと運ばれていった。


 分かりたくなかったが分かってしまった、クラ姉さんはヤンデレだ、しかも俺の事だと人も関係なく殺してしまう程のヤバい人だ、これからの人生一体どうなるのだろうか、そんな考えしか今は出来なかった。

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